Opening Let's Start!




――神様へ。

 この物語は適度に破綻しておりまして、お子様に見せるのには少々、ぶっちゃけけっこ
ーまずいんじゃないカナ? ないカナ? とか思ったり思わなかったりしちゃいますがそ
こら辺は無問題って事で一つヨロシコ。つかマジでお願い。……駄目?

 ――まあいいか!



―――いきなりここを読み始めた人に対するこれまでの判り易いあらすじ。



「愚姉!」
「愚妹!」
 高田君が鎖鎌を握ったッ!
「「誰だよ」」


 では、本編をだうぞー。





「……焼肉、ですか?」
「ああ」
 藤乃がきょとんとした顔で呟く、と橙子も何事も無かったように答えた。
「肉を焼く――古来よりある伝統的な調理法だ。その昔、人類の祖の一人は、肉を焼いて
喰うと美味い、と言うことを見つけた。それから数千年、何百種の肉を焼き、作り、何千
種もの料理として作り上げ――そうして人類は、また原初の「肉を焼く」というシンプル
な解答にぶち当たった」
 聞いてもいないのに橙子は言葉を続けていた。
「君達に課せられた事は唯一つ、食べる事。唯食べて、喰って、吐いて、出して、で、ま
た食べて……」
 あまりの突拍子さに呆然とした藤乃だったが、なんでこんな事せんとあかんのだろうか、
とようやく思った。
「あの……」
「とりあえず、ウチでは君がエースだ」
「はい?」
「君は満腹感じる事無さそうだし。食いすぎて限界になったとしても気にせず食べてそう
だし」
「まあ、なんて無神経――」
 隣でふわふわ浮いてた霧絵がいかにも意地悪く言う。無論こちらの事情なんて彼女は知
らないだろうが。
「凶げていいですか?」
 ああ、私は今素敵ニ嗤ッテイル。
 しみじみと笑顔をしている事を実感していた。
「まあ、止めておけ。どうせ無駄だし」
「貴女から先に…っ!」
「はい先生」
 霧絵が小学生のように手を上げた。
「うむ何かね?」
 藤乃は言いたい事を遮られてちょっと寂しそうだ。でも誰も慰めようとしなかった。
 構わず話は進む。
「私物食べられません」
「ああ、君は妨害役だ。思う存分引っ掻き回してくれ」
「サー」
「幽霊だからな、心霊写真ならぬ心霊焼肉とかはどうだ? 皿の上にある肉を落すんだ」
「地味ですね」
「嫌かね?」
「じみー」
 どうにも気に入ってるように見える。
「……焼肉、ああ、焼肉」
 美沙夜はぶつぶつと呟いていた。
「子供の頃からの憧れだった焼肉が、お大尽の食べ物の焼き肉がっ」
「昭和三十年代の子供かね君は。まあいい、食べる気はまんまんのようだな」
「ええ。子供の頃、両親に唯一度だけ我儘を言った時、「あれは名高きお大尽様の食べ物
なんだよ」と優しく諭されて……、その名高き焼肉様が今私の前に、嗚呼!」
「これこれ、妄想を見るな。まだ何も出てないぞ」


「―――いいかな、それでは状況を説明する」

/

「今回はね、3人一組で食べてその皿の数を競うの」
 青子の話に、しかし都古とシオンの二人は聞く耳を持っていなかった。最も互いに違う
意味で持っていないのだが。
「お肉食べてボインの一歩、お肉食べてボインの一歩……」
 都古はすでにトランス状態に入っている。成長期真っ盛りの幼女と言うこともあってこ
れは期待できそうだった。
「そうよ、そして貴方は悪のおっぱい星人と戦わなければならないの」
「あくの…」
「そうよ、今、地球は悪のおっぱい星人に狙われているの! やつらに地球(意訳:首輪
が似合う美少年)を渡すわけにはいかないわ! あと志貴も!」
「……」
「その為には、貴方は、「正義の巨乳ロリ魔女っ子」にならなくてはならないの」
「せいぎの……きょにゅーろりまじょっこ……」
「英語で言うと、……ぐ、ぐれえと……?」
「ぐれえと……ぐれえと!」
 青子の疑問系な言葉は気にならず、その単語の響きが気に入ったようだった。
「ぐれえときょぬーろり!」
「そう、ぐれえと! 今の貴方は愛の魔女っ子レベル1! 英語で言うと、……ら、らぶ
(以下略)?」
「ぐれえときょぬーら(以下略)!!」
 二人でヒートアップしまくってる間、シオンは殊更冷めていた。青子と都古が欲望を込
めた気合を入れていると、シオンはいかにも納得してませんとでも言うかのように口を開
いた。
「ミス・ブルー、何故私が貴女のエンゲル係数の低下を手伝わなければならないのですか?」
「あら、貴女にとっても不都合ではないでしょう?」
「いえ、私の栄養補給はエルトラム秘伝の味ことカロリーメイト改シオンX味限定ですし」
 そう言って、シオンは懐からいかにも健康に悪そうなドス黒いカロリーメイトを取り出
し租借しはじめた。
「だからこそよ。志貴と真祖の混合液が欲しいのでしょう?」
「ええ」
「焼肉食べた後って結構精がつくのよ」
「ふむ?」
「効果的な焼肉の食べ方を作り上げて、通常の数倍の精を出すように仕向ける事ぐらい、
貴女には簡単ではなくて?」
「――――なるほど」
「貴女なら、赤い肉にすることもできるのでは?」
「――通常の三倍、ですか」
「ええ、伝説の赤い焼肉――」
 ニヤリと嗤う、魔法使いと錬金術師。そしてガッツポーズを取る幼女。
 ――三咲町は今のところ、トコトン平和だった。今のところ。

/

「――とまあ、こんな処か。他に質問は?」
「……はい」
 藤乃がおそるおそる手を上げる。
「この、妨害アリって……」
「ああ、殺してもオッケーってか寧ろ殺せ」
「ガンホー」
「ガンホー」
「……」
 ――母さま、もうゴールしていいですか?
 藤乃が現実逃避をし始めた。その時――
 藤乃、藤乃や……
 ――その声は、お母さまっ!? 助けてくださいお母さまっ
 まあ、藤乃ったらはしたない。
 ――はしたなかろうがなんだろうがDIEピンチなんですっ
 でもね、藤乃、藤乃はやれば出来る子でしょう?

「ちょっと、君。怪しいトリップは止めてくれないかな。恐いから色々と」
 橙子の声も聞かず、藤乃は脳内母様と会話を続ける。

 ――出来る出来ないの問題じゃなくて!
 大丈夫よ、藤乃。ガッツで補うの。とはいってもマッシブになれと言うわけではないわ。
……ぷっ。
 ――なんですかっ、お母さまなんですか今の笑いはっ!
 いえ、つい想像してしまって――まっしぶふじのん。ぷぷ…ああ、おかしいわおかしい
わ。なんて滑稽なのかしら。……藤乃。
 ――…なんでしょうか。
 私、あなたをそんな、まっしぶに育てた覚えはありませんっ
 ――育児を途中で放棄したくせに何を言いますか
 まああれは不可抗力というものがあったりなかったりー。
 ――どれだけ、どれだけ私がっ……

「あら、泣き出し始めましたわね」
「しっ、見てはいけない。電波が強すぎるぞ。見たまえ、彼女を」
 美沙夜を制し、霧絵を指差す。そこには妙にぶれた霧絵が。
「あ、あらー、これはどういう事なんでしょう」
「驚くことは無い。すべてプラズマで説明できることさ」
「古いですね」
「いいじゃないか」

 あらあら、藤乃。泣かないで。そうだ、いいモノを見せてあげるわ。はい、こっちいら
っしゃい。
 ――誰ですか?
 や、やめてくれっ、離してくれっ、こんな格好嫌だぁーっ
 こーら、巴ちゃんてば暴れちゃだめよー。……あ、この子、巴ちゃんって言うの、通称
もえもえ。ほらー、ゴスロリとネコミミが似合ってるでしょーこの子。
 ――……おかあさま。
 やめろって言ってるんだろこの、うっ…
 あぁらー、もえもえったらそんな事いっていいのかなぁ? またいぢめられたいー?
 や、やめて……そ、それだけは、やめてください、……うう……うああ……あう、に、
握らないで……
 あらあらあら、ぐずっちゃって、かわいいー。大丈夫、今日もたっぷり搾り取ってあげ
ますからねー?
 いやだぁぁぁぁ、お願いだからやめてくれぇぇ……
 だぁめー。…………あらどうしたの藤乃。黙りこくっちゃって。

 ――帰れーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

「………はぁ、はぁ、はあ、はああ、はぁ、はぁ」
「どうしたそんな息を切らして。」
 見れば、周りの人が皆藤乃から遠ざかっていた。
 ――藤乃のゴールは、未だに遠かった。

 藤乃。
 怒ると小皺が増えますよ。

           母より。

 脳味噌に直接そんなメールが届いた。
「……」
 何もかも嫌になりかけて――
 ――そのうち藤乃は、考えるのを止めた。
「……おなか空いた」
「うむ、では肉を食うぞ」
 どうでもよかった。

/

「……ぅぅぅぅぅぅ〜〜〜っっっ、はっ!」
 丹田に混めた気合を気合と共に吐き散らす。
「おおー、カッコいいわよ、お嬢ちゃんっ」
 まばらな拍手が響く。
「へ、へへー。……あたし、ぜったいに悪のおっぱいせーじんをたおす! そしておにー
ちゃんを取りもどす! ありまみやこのなにかけて!」
 この前再放送でやっていた何かのドラマに影響された言葉を都古は叫び、それを微笑ま
しそうに青子は見つめた。
「うん、判ったわ、――都古。がんばりましょうね?」
 そう言われると、都古はにっこりと笑う。
 呼び捨てにして貰ったのが嬉しかった。認めて貰った、そう感じていた。
 最後は、最後に認めて貰うは、お兄ちゃんに。さて、そのゴールは未だに遠かった。
「――覇ッ!」
 遠かったが、――気合を入れた。一歩でも近づく為に。志貴ゲットの為に。そして志貴
と(ぴー)するために。

 鼻血が出た。

「……都古?」
「な、なんでもないの、なんでもないのっ!」
 全力で否定するが、そのハァハァと聞こえる荒い息は止まらない。
「……ねぇ、都古?」
「な、なあに?」
 未だとめどなく溢れる鼻血を抑える都古は、慌しくも青子の言葉に耳を傾けようとして
いた。
「犬耳」
 両手で抑えた鼻から血が出た。
「――首輪」
 すごい鼻血が出た。
「――――靴下一枚だけ残して、全裸」

 出血多量。





――――暫くお待ちください。




「……ああ、ときがみえる」
 もう駄目だ。それがシオンが真っ先に思ったことだった。
 虚ろな視線のまま、起き上がる都古。
「おはよう。――おめでとう、都古。貴女は生まれ変わったのよ――どう?」
「――すてき」
 都古の目の奥は、どろりと濁っていた。
「どんな世界が見えた?」
「……くびわいろ」
「よろしい」
 青子と都古は互いに手を取った。

 ――青子と都古の首輪同盟が発足するのは、この握手から5年後の事であった、かどう
かは定かでは無い。

 シオンは溜め息をついた。
 ――しかし、もし彼女にエーテライトを渡したらどういった事に使うのでしょうか。
 その内貸してみよう、と彼女は思っていた。どうやら都古の隠された可能性に惹かれた
らしい。

 ――かなり腐った可能性では在るが。

/

「ところで、会場はどこでしょうか?」
 美沙夜は今にも喰いつからんばかりの勢いだった。
 橙子は、両手を叩きつつ美沙夜を流した。
「まあ、慌てなくてもいい――

/

 ――そろそろ、いいか。それじゃあ行くわよ」
「…?」
 シオンがいぶかしむが、気にせず青子はトランクを地面に降ろしたまま、両手を叩いた。

 ボッシュートされた。

/

「い、一体なんなんですか?!」
「知らんのか。この町は至るところにボッシュート穴があるのだぞ」
 落ちながら藤乃が叫ぶと、橙子はとんでもない事を答える。
「嗚呼、これが伝説のボッシュート穴!」
 美沙夜は感激に震えていた。
「はしゃぐな、諸君。そろそろ終点だ……ところで、一人足りないようだが?」
 ――そして霧絵はおいてけぼりを喰らっていた。浮いてるし。
「…くすん。待ってください」

/

「お。お。おーっ、落ちるーっ」
 都古は驚きながらも楽しそうに滑り落ちていた。
 対して、シオンは余りにも意外だった事から頭から滑り落ちていた。額の辺りから煙が
出ている。
「た、た、たす、たすけっ、んっ、あちっ、あちーっ」
「二人とも、そんな暴れなくていいから。そろそろ終点だし」
 青子の言う通り――。
「よっ」
「わっ」
ごきっ
 ――終点に辿り着いた。約1名、人生の終点に辿り着きそうであったが。

「――逃げずに良く来たわね」
 青子は、同じく終点に辿り着いた姉に向って言った。
「ふん、来ないはずが無いだろう?」
「あー、そうだったわね。万年貧乏人」
「ぬかせ住所不定独り身っ、弐〇代後半のクセしてシャンプー3日に1回娘!」
「良く言うわねオフロどころかシャワーすら浴びれずに公園の水道とタオル使って洗って
るくせに!」
「よくも言う、ならば服ぐらいちゃんと新しいの買え! 何年も前のバーゲンセールで買
ったシャツなんぞ未だに使いやがって貧乏性!」
「物持ちがいいって言ってくださる? この物欲魔人。この1年でスタパ斎藤といい勝負
の癖してこの一人物欲戦隊ブツヨッカーがっ!」
「ふん、随分いい物食べてるそうじゃないか? 団子虫やゲンゴロウの味は如何だったか
な?」
「いえいえ、普通ではとても味わえない素晴らしいお味です事で。ああ、毎日毎日お茶ば
かりのおねーさまにはまず分かりっこない味でしょうね」
 次から次へと罵詈雑言を巻きちらし、次第にボキャブラリが少なくなって「バカ」だの
「アホ」だの「お前のかーちゃんデベソ」だの「あんたも同じ母親だろうが」だのレベル
の低い争いになっていった。
 互いのチームメンツは呆れていたが、二人はそれに気づく事は無かった。
 ――そして、決定的な一言を漏らす。
「はっ、あおあおの癖に良くもまあ――」
「傷んだ赤色が何を言うのやら――」
 空気が凍った。
「……」
「……」
「「……………………………………………………………………………………………………
…………………………………………………………………………………………………………
…………………………………………………………………………………………ぶっ殺す♪」」
 今、姉妹の心が一つになった。方向性はまったくの真逆であるが。
 そして、ライトが青子と橙子の周りを照らした。
 真中から誰かが出てくる。胸に輝く、「大帝都肉喰委員会」のバッチ。そして腕に持っ
たマンガ肉(定価3000円)。正しく、この大舞台の司会者であった。
「……どういった基準ですか?」
「しっ、それ以上聞くとフリー銘尊に連れ去られるぞ!」
 上手いところ抑止力が働いた所で司会者が口を開いた。

「――さぁて皆さんお待ちかね! ここ焼肉屋「大帝都」地下闘技場にて、最強のヤキニ
ッカーが集った! え? 何でニグループだけだって? 他の参加者はどうしたって? 
それが聞いてくれよジョニー、この二人が参加するって聞いたら皆ブルって逃げちまった
のさ! そんなチキンどもは焼いた所で美味いはずが無い! 焼肉屋に来て、不味い肉を
食わせられることバッドな事はねーなー! おおっとこの「大帝都」は別だ! もし不味
かったら俺はここにいちゃいねえ!
 昨日も肉今日も肉明日も肉! 肉が全ての俺は肉が好きだからこそコ・コ・ニ・イ・ル!
 だが今日は肉を喰う為にここに来たわけじゃあない――肉の喰いッぷりを見届けに来た!
 さあ、お前等準備はいいか?
 肉を焼きにきた餓鬼どもの到来だ!

 ――喰って喰って喰いまくれぇぇ!!」

 司会者の五月蝿い喚き声にドームの端と端から、二つの集団が現れた。
「――君タチに最新情報を公開するッ!
 痛絶の火力!
 極限まで揃えられた肉の種類!
 そして、小隊捕食システムで、全てが変わる!

 只今よりッ! 第二次大帝都焼肉大戦――これより会戦の狼s」「さてここでN/きの
こと! ――今回、相棒の武ちゃんはお休みでちゅー。
の宇宙テレフォンショッピングの時間でちゅよー。
 今日の商品は――これ!

 商品ナンバー555、『戦うフランスパン』!」



            *お詫び*

 只今、ある特殊な毒電波による異次元世界のCMが紛れ込んだ事に対してSSP委員
会は深く謝罪いたします。謝罪はしますが賠償はしませんあしからず
 ですがご安心ください、すでに対処法は施行されておりますので



「……ぁあっ?! え、抉り取られた?! な、なんと蒼崎姉妹が動いたかと思いきや、
胃次元生命体N/きのこが一瞬にてバラバラにされたーっ!? 中の人はやはりいなか
ったかきのこ! そして焼けつく鉄板にきのこの残骸が飛び散り燃え上がる!そして、
美味しそうにいただかれたァーー!
 前哨戦としての腹ごなしはどうやら丁度いい具合のようだぁーっ?!」

 ――というわけで、訳の判らない物体が蒼崎姉妹の腹に入ったので安心して続きをどう
ぞ。

 気を取り直してナレーターが声を張り上げた!
「さぁ! 今回の血戦場に現れしメンツを紹介だ! プロモビデオ! スタートゥッ!」

 唐突にスクリーンが落ちて、映像が始まった―――


『盗撮、編集、お手の物。
 気になるあの子の情報何でもお届けのクガミーエージェンシーの提供でお送りし
ます。

 脇役でならした俺たちは、メインヒロインになる機会すら与えられず二次創作に
望みを託すしかなくなった。しかし何時までも脇役で燻ってる俺たちじゃあない!
 出番さえあればなんでもやってしまう命知らず! 特攻野郎A(ozaki)チーム!

(BGM;ぢゃらららぢゃーらぢゃっぢゃーぢゃぢゃーららっぢゃー BYSSP
製作委員会肉声音楽担当)

 私は蒼崎橙子、通称傷んだ赤色。私のような変人でなけれb――』

 突然スクリーンが燃やされた。
「ったくムナクソ悪い」
 橙子は手に浮かんだ火に息を吹き掛けて消した。顔は未だに険しい。
 向こう岸では青子がケタケタと笑っていた。橙子のツラの歪みは最大限に登った。
「え、えーとスクリーンが燃やされてしまいましたがご安心ください! 予備のスクリー
ンは何枚も御座います! それではお次の対戦相手の紹介だーっ!」

『盗撮、編集、お手の物。
 気になるあの子の情報何でもお届けのクガミーエージェンシーの提供でお送りし
ます』
「またか」
『――――20XX年X月X日! 何かスゲエヤツらがやってくる!(予定!)

『志貴、貴女はとても軽率な事をしたわ(ハァハァ)』
『先生っ、その首輪のような物体いったいどこから出したんですかっ! 後僕男な
のに貴女ってっ!』

 その名も!

 『あおあお伝説』―――幻の第0話・俺たちのぶるーでぃs』カチャ、ターン
「誰よこんな捏造仕立て上げたのは!」
 スクリーンは青子の魔銃弾により全て破壊された。
 その向こう側では、橙子が腹を抱えて笑っている。青子のオデコに浮かんだ血管は10
や20ではきかない。ちなみに単位はダースだ。
 ――ブッ殺す!
 ああ、その怨念の濃さだけは、例え仲違いしている姉妹であったとはいえまったく同じ
物だと言うのに。
 ――後日、クガミーエージェンシーとやらが文字通り(物理的に)潰れてたりするが、
それはまた別の話。
 そんな事はまるで無かったかのように司会は話を続ける。
「さぁて! 今回、食してもらう肉は、これだぁっ!」
 司会者が手を上げると、幕が上がり肉が姿を表した。

 ――ビーフ500%

 突然の光が眩しかったのかモー、と鳴いた。
「生きてる!?」
「しかも5頭?!」
 怯む声が上がる。が、しかし橙子は臆さず叫んだ。
「だからどうした! 牛だと思うな、肉と思え!」
「元から肉ですよ」
「五月蝿い黙れ! いいか勝つぞ!」
「えー」
「大丈夫だ我々は負けない!」
「その根拠はどこから?」
「決まっている――。我々は4人だな?」
「ええ」
「それぞれ、最低でも常人の二倍の力はあると見た」
「そうですね」
「2×4は8だ!」
「それが?」
「――8を横にしたら、∞だ!」
 ゆで理論ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー?!
 橙子チームのテンションはがくっと下がった!

「いい、都古。あれが敵よ」
「あれが、てき……」
 青子は都古に、橙子たちの姿を見せる。
 特に、胸の辺りを。じっくりと。
「てき……」
「そう、貴女が倒すべき、敵。――悪のおっぱい軍団!(誰かいいネーミング募集中(嘘)」
「敵!」
 そして青子チームのテンションは上がりっぱなしだった。
「彼女等を倒して、栄光を手に入れるのよ、都古!」
「うん、そして、おにいちゃんも―――」ぱん
 ばくはつ。
「……誰か輸血ーっ?!」



『さぁーて、準備はぃいかぁっー!』



 ――今、様々な思惑と怨念と妄執とその他混ぜたら危険であむないっぽいものをごった
煮にして



『――It’s!』





 第二次蒼崎大殲、勃発。






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