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畜生故に劣らない
 寝室の前、つまりはハクオロの部屋の前でトウカが自分の指を折って何かを数えて いる。 「エルルゥ殿、カルラ、ウルトリィ殿、サクヤ殿、休養日を挟んで‥‥‥ううぅ、こ の日をどれだけ待ち望んだ事か」  数え終わると、その拳をぎゅっと握り締める。 「どうしてそれがしはこういう勝負には弱いのであろう」  ハクオロの側に仕える順番、つまりは夜伽の相手の順番は一方の当事者であるハク オロ本人の関与しないところで相談され、籤による公正な取り決めをなすことで関係 者全てが同意し、ハクオロも特に口には出さないまでも追認するという形で合意がな されていた。  その籤の結果、トウカは最後の最後を引き当てていた。 『何事も、オオトリは悪い事ではありませんわ』  カルラはそう言って笑っていたが、二番目しかも最初は申し合わせの結果でエルル ゥなだけに、籤では一番目を引き当てていた彼女の言葉に説得力は無い。  無論カルラもからかって言った言葉だろう。  流石にそこまでは騙されない。  その籤自体が彼女に仕組まれたものだとまでは思いも拠らなかったが。  しかも考えてみればトウカの直前でわざわざ休養日が入ること自体、胡散臭いもの を感じるべきなのだが、そこにまで考えは至らないようだった。  それよりも籤そのものに対して眦を吊り上げるエルルゥに対して王族というのは民 の安寧の為にも子を多く産む義務があるというところから、対外的にも自分達を側室 として置かないでいると、諸豪族達から王と親族になる為に娘が送られてくることに なり、エルルゥ自身にもハクオロにもその娘達にとっても不幸の種をばら撒くだけだ という話が繋がっているようで繋がっているカルラの説明にトウカは「そこまで深い 考えが‥‥」と、苦笑いを浮かべていたウルトリィとサクヤを除く面々同様に感心し きってしまっていた。 「‥‥‥‥‥‥‥‥」  なので真っ正直にただ待つことだけが彼女に出来たことだった。  そう、彼女はずっと待ち続けていた。  思えば長かったこの年月。 「いよいよ‥‥」  主に逃げられたという風評を聞いたらしい里に住む一族の皆の視線は痛かった。  本当のことを話したところで理解されるわけもなく、また話せる内容でもないだけ に仕方が無かったのだがそれが蔑みの目ではなく、哀れみの目であったのが本当にき つかった。  優しい声が本当に堪えた日々だった。  駄目な奴と面と向かって罵られるのではなく、なまじ労れたりしたのが辛かった。 「いよいよ今夜‥‥」  しかもその労りの中心が、女の魅力は顔じゃないからとか言われてしまって酷く落 ち込んだものだ。  偶然旅先で出会った知り合いからその晩、どっちに似たのが悪いと両親が家を半壊 させる程の夫婦喧嘩をしていたと聞かされた時には死のうかとさえ思った。  だが、そんな苦しんだ日々も終わろうとしている。  あとは、そう、ただ優秀な一族の子を授かるのみ。  そう思えばこそ、面子のオーラスだろうと、何故かカルラがハクオロの部屋から出 てこなかった休養日が挟まろうとも我慢できたのだ。  ゴールはもう目の前なのだから。 「いざ、ゆかん!」  腰の剣を抜く。  虚空を切り裂くこと数度。  そして鞘にしまう。  一点の曇りもない剣筋。  色事もこれほど明確なものだったらどんなに良かっただろう。  だが、それを今は憂うことはない。  どれだけ回り道をしようとも、不器用であろうとも、今宵これからもうすぐ待ち侘 びたその時がきたのだから。 「テァッ――!!」  だが、それだけに今度こそしくじる訳にはいかない。  里の両親の為にも、一族の誇りの為にも、そして何より自分自身の矜持の為にも。 「聖上」  ハクオロの許可を得て寝室に入ってきたトウカに、ハクオロは「まずは一献」と酒 を勧める。  それからトウカもまた、他の者と同じようにハクオロがいない間に自分が何をして いたか、皆はどうしていたのかの話をはじめた。カルラと共に諸国を渡り歩いた話は 先にカルラ自身がハクオロに話していただろうが、ハクオロはトウカの語る話を微笑 みながら聞いてくれた。 「しかし、カルラとでは相当苦労しただろう」 「そ‥‥そのようなことは‥‥少し、は、その‥‥」  トウカはそう答えながらも道中に起きた数々の苦労を思い出してきたのか、語尾が 弱まってくる。 「ははは。しかしトウカも相変わらず堅苦しいところは直っておらぬようだな」 「いえ‥‥これが性分でありますゆえ」 「ふふ、そうだったな」 「ですが、こうして再び聖上にお仕えさせていただけて、嬉しゅうございます」  盃を置くと、両手をついて深々と頭を下げる。 「必ずまた、出会えると毎日願い続けた甲斐がありました」 「そうか‥‥」 「はっ」 「心配をかけたな」  ハクオロはそう言うと、トウカの肩に手を乗せる。 「皆のお陰で私は今、ここにいる。そんな気がするのだ」 「いえ、そんな。某は‥‥あっ」 「おっと!」  慌てて居住まいを正そうとして、足が縺れて膝から前に崩れるトウカ。 「どうした」 「い、いえ‥‥その‥‥あっ」  自然、正面で受け止めたハクオロの胸に抱かれるような格好になる。 「大丈夫か、トウカ」 「‥‥‥」  そう尋ねるハクオロに対して、顔を紅潮させて俯く。 「トウカ?」  ハクオロの胸の中で彼女の躰が微かに震えているのを感じ、声をかける。 「こ、このように、聖上には‥‥」 「ん?」 「聖上には某、みっともないところばかりを見せてばかりで‥‥」  彼からは俯いたトウカの表情は見えなかったが、躰を震わせながらそう呟く彼女の 声でどういう気持ちなのかを察し、ハクオロは彼女の背中を自然と撫でていた。 「そう気に病むな‥‥」 「いえ、某はこのような時でさえも聖上に縋って甘えようと考えてしまう情けなき者 なのです。こうして口にすること聖上ので情けを期待してしまう狡さが許せなくて、 でも堪えられなくて‥‥」 「トウカ‥‥」  僅かにあげたトウカの目尻には涙が光っていた。 「そう思うと某、自分が情けなくて情けなくて‥‥っ!?」  更に言い募ろうとするトウカの唇が、ハクオロの唇によって塞がれた。 「せ、聖じょ‥‥んぁ! っ‥‥んんんっ‥‥」  いきなりの口づけに戸惑うトウカを追いかけるようにして、唇を吸う。 「んぁっ‥‥ふぅ‥‥んんぁ‥‥はぁっ」  そのまま舌を吸い上げ、更に唇と唇を強く重ね合う。 「んっ‥‥っ、んっ‥‥」  トウカは喉奥から悩ましい吐息を漏らしながらも、躰が小刻みに震えるのを懸命に 堪えようと歯を食いしばる。 「んぁっ、あふぅ‥‥」  トウカの躰から力が抜け、ハクオロに躰の全てを預けるようにしてしなだれかかる。 「はぁっ、はぁっ」  ハクオロはそのまま彼女を抱き寄せるようにして、耳元で囁いた。 「そう思い込むことはない。トウカの良さは私は良く知っている。そのような些事に 等しいところでそなたの価値が下がることなど決して無い」 「で、ですが‥‥」 「卑怯な言い方だが‥‥私はそういうトウカが好きだぞ」 「せ、聖上‥‥」 「まあ夜は長い。今宵はもう少し酒と共に語り明かすとしよう」 「い、いえ某は酒はその‥‥」 「ふむ。ではこっちの方が望みか」 「あ、ぇ‥‥ぁぅっ」  ハクオロはトウカの羽毛で護られた柔らかい耳を噛む。 「ではゆっくりと再会を楽しもうぞ」 「聖上‥‥」  弛緩したトウカの隙をついて服の隙間に手を挟み、胸を少しだけ揉む。 「んぁ‥‥‥」  その手から逃れようとするトウカの腕を逆に抑えて、もう片方の手で顎を掴む。 「ゃ、ぁ、ぁぁ‥‥」 「どうした、トウカ。隙だらけだぞ」  そう言ってハクオロはいやらしく笑うと、再び強引に唇を重ねる。 「ん‥‥んんっ‥‥んぁっ! ぅ‥‥」  そしてそのまま無理矢理に舌をねじ入れる。 「ハッ‥‥ぁぁっ」  そのままトウカの口の中をあちこちと嘗め回すと、一端離れる。 「‥‥んっ」  つぅ、と唾液の糸が引く。 「はぁ‥‥はぁ‥‥はぁ‥‥ こ、今宵の聖上は‥‥」  トウカはそこまで言ったものの最後の方は言葉を飲み込む。  主従という関係が彼女にその言葉を最後まで言わせることを躊躇わせたというより も、彼女の性格がそうさせていた。 「そうだな‥‥少し、酔うたかも知れぬな」  彼女の口籠った理由を察したようにハクオロは静かに微笑を浮かべて見せた。 「トウカ、介抱して貰えるか」  トウカが仰向けに寝具の上に横たわると、ハクオロはその裸の肩の上に片手をつい て上から覗き込むように顔を近づけた。  彼女はその首に両手を廻し、下から抱きついてくる。 「聖上‥‥」  名を呼び、蕩けるような目でハクオロを見詰める。  その期待に応じるように、今度は静かにゆっくりと唇を重ねた。  再び舌を捻入れると、逃げようとする彼女の舌を捕まえて絡ませる。 「んぁ‥‥んんん‥‥」  混ざり合った唾液を彼女の喉に注ぎ込むと、トウカは自然と飲み下す。 「少し酒臭くなっていないか」 「い、いえ‥‥そのようなことは」 「エルルゥが厳しくてな。飲める機会があると遂、過ごしてしまうことが多い」 「そう思われるのでしたら、もう少し一度の酒量を控えては如何でしょうか‥‥」  この状況下でのトウカの言葉にハクオロはくすと笑う。  彼女は死ぬまでこの生真面目さが変わることはないのだろうと思うと、愛おしさを 覚えると同時に、悪戯心が沸いてきた。カルラの気持ちがとてもよくわかる。 「うむ。そうだな」  そしてそうわざとらしいほどに頷いて、酒を注いで満たした盃を手にとってトウカ に近づく。 「ではこれを最後にしよう」  自分に渡されるのかと思い躰を起こそうとするトウカを、ハクオロは軽く手で制す。 「‥‥は?」  怪訝がるトウカをそのまま横たわらせ、そして盃を少し傾けた。 「つ、冷たっ‥‥」  当然、トウカの裸身に振り掛けるように酒を注がれる。  透明のその雫は粒となって、彼女の肌の上に飛び散っている。 「聖上‥‥何を‥‥」 「零れてしまったな」  戯れるようにハクオロはそう言うと、盃を置いて彼女の肌に散った雫を舌で一つ一 つ舐め取っていく。 「や、やめて下され。聖上‥‥」  トウカは懇願するが、ハクオロの舌は止まらない。  舌で肌の上を滑らすように、這い回り続ける。 「そ、そっちには‥‥」  臍の下まで舌が伸びる。  柔らかい肌の撓みが舌で押されて、敏感に反応するトウカの躰が震える。  ハクオロはその反応を楽しみつつ、更にもう一度盃を傾けて彼女の腹に酒を零す。  そして今度は零れる前に音を立てて啜った。 「ひ、ひぃ‥‥」  悲鳴をあげながらも、必死に目を閉じて責め苦に耐え続けている。  躰を小刻みに震わせながらも、抗うことなく受け入れていた。 「ふむ。ここは少し味が違うな」 「んぁっ」  下腹部から内股へと舌を這わせると、秘裂から流れ落ちる透明の液体を舌で掬い取 る。 「んぁっ‥‥ぁぅ、ぁぅ‥‥」  ハクオロは舐めとっても舐めとっても乾くことの無いその秘所から出る粘液を啜る。 「トウカ」  突起を舌先で突付く。  トウカの引き締まった腰が寝具の敷布から持ち上げられて、波打つようにくねる。 「ひぁっ」  びくんとトウカの身体が撥ねる。  彼女の内奥が粘液で滑り、真っ赤に充血した肉の弾力で進入しようとするハクオロ の舌を押し返していた。 「せ、聖上そこは‥‥」 「どれ‥‥」  皮を手で剥いて突起を露出させる。 「あんっ、ぅ‥‥!」  悲鳴から喘ぎ声。 「んっ‥‥んぁ‥‥くぅっ‥‥」  トウカは自分の声にはしたないと思ったのか、一生懸命に歯を食いしばって堪えよ うとする。  その必死な姿にハクオロはおかしさをこみ上げつつも、敢えて何も言わずに行為を 続ける。 「んんっ、ん‥‥ぁぁっ‥‥」  そしてその突起を再び舌で、今度は押し潰すように押し付けつつ先っぽで転がすよ うに舐める。 「んはぁっ! ゃぁ‥‥っ!」  その攻撃に思わず声を漏らし、直後に慌てて手で口を押さえるトウカ。  ままらなくなっている自分が情けないのか、感じ過ぎているのか、顔を真っ赤にし て泣く寸前になっていた。 「いいんだぞ、トウカ。もっと声を出しても」  ハクオロは声を押さえようと必死なトウカの素振りを可愛く思いながら、そんな許 可を出す。 「で、ですが某は‥‥んぁぅっ!」  音を立てて舐るように舌を動かす。  身を捩ってトウカはハクオロから逃れようとするが、それ以上の抵抗はできなかっ た。 「んぁっ‥‥んぁぁぁっ‥‥あぅっ、ぅぁぁぁっ‥‥」  結局は、腿でハクオロの顔を挟み込むようにして、ハクオロの愛撫を受け続けるし かなかった。 「ひ、ひぎっ‥‥ぁぅっ‥‥ぁぁぁ‥‥ ぐぅ‥‥んぁ、はぁっ、はぁっ、はぁっ」  トウカは全身が引き攣るような震えを起こし、くにゃっと躰の力を抜けた。 「いくぞ、トウカ」  ハクオロは自分のものをトウカの秘裂にそのままあてがうと、彼女のそこはそれを 待ちかねていたようにひくついて吸い付いてきた。 「せ、聖上ぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」 「ハッ!?」  いかんいかん。  まだ何もしていないうちからそんな‥‥ 「某としたことが!」  妄想を振り払い、両手で頬を叩いて気を引き締め、戸に向かう。 「聖上‥‥?」  そう呼びかけようとした時、部屋の中に人の気配を感じた。  それも、女性の声。 「まさか‥‥抜け駆‥‥」  有り得ない話じゃない。  特にカルラ。  あの女ならやりかねない。  そんな疑念が、トウカを戸を開けさせるという行為を行わせた。  彼女の姿が浮かぶとどうしても疑い深くなるのは仕方がないだろう。 「聖じょ‥‥!」  待て。待て待て。  落ち着けトウカ。  どうせ、慌てて戸を開けるとそこには聖上と添い寝に来たアルルゥがいて変な目で 見られるというオチとかに決まっている。 「フゥッ‥‥」  軽く呼吸を整え、頭を落ち着かせる。  某もそれなりに成長している。  ここは大人の余裕を見せて、アルルゥに快く譲るとしよう。 「別にがっつくほど某は未熟ではない故に」  でも正直、いやかなりそれは悔しい。何とかならないものか。 「待てよ‥‥」  声がするということはまだアルルゥも部屋にいるのだろう。  となると、  警護に来たと称して寝室に入る。  アルルゥがいる。  トウカお姉ちゃんも一緒に添い寝しよ♪ 「はにゃ〜♪ ‥‥はっ!?」  いかんいかん。  また頬が緩んで‥‥ 「でも嬉しいにゃ〜 ‥‥はっ!?」  いかんいかん。  それにこのままウロウロしていてはアルルゥが寝てしまう。  そうしたらまさか自分からは言い出せないし、聖上がそう言うとも思えない。  急がねば。 「コホン。ご、御免‥‥」  一人上手を止め、意を決して音を立てないように静かに戸を開けた。 「聖上‥‥トウ――っ!?」  すると予想通り、ハクオロは家族とのひと時を過ごしているようだった。  仮初とはいえ、父と娘。  何か他人にはわからないものも多くあるのだろう。  だが、  それでも、 「‥‥‥」 「お、お‥‥さま‥‥」 「うっ‥‥うぅっ」 「な、な‥‥」  某には睦み合っているとしか思えなかったのだ。 「お、おじさま‥‥」  聖上と‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥カミュ殿が。 「キ、キ、キンシンソウカ――――――――――――――ンッッッッッッッッ!!」 「この声はトウカさん‥‥一体どうかしたのでしょうか?」 「さあ、きっと面白いものでも見たんじゃないかしら?」 「カルラ、あなたまさか‥‥」 「別に、わたくしはなにもしていませんわ」  カルラの部屋で酒を酌み交わすカルラとウルトリィの耳にトウカの悲鳴が届く。  月夜の晩、聴き慣れない獣の雄たけびと呼ぶには哀しげな叫びが、その日は一晩中 木霊したのだった。                           <おしまい>

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