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抱擁
 巨乳万歳。  そんなことを取り立てて思ったことは今まで一度もない。  断じてだ。  年相応のスケベ心はあったが、それ以上に他人と関わりあうのが面倒臭いと投げて いた俺だった。  他人に自分の何もを分け与えたくない。  自分だけが全てというわけではない。  自分だってどうだって良かった。  自分の面倒も見たくないのに、人の面倒なんかもっとみたくない。  そんなわけで互いに互いに干渉する尤もたるものの一つである恋愛なんか面倒で厄 介でしかなかったし、性交渉などは関わりあいたくないと思っていた。  性欲よりもそれについて周る面倒事への忌避が、異性に対する関心を殊更意識しな いようにしていたのだろう。  従って女の容姿体型性格に関しては、気にしないのではなく、気にも止めないよう に努めて心がけていた。  だからこそ行きずりとも言える栗原との成り行きでの初体験で、他人よりも遅めの 思春期の性衝動に悩まされる羽目に陥ったのだが。  そんな俺の事情を知ってか、いや知る筈は絶対無いのだが付きまとってきたのが明 日菜さんだった。  彼女は彼女なりの目的と、打算と言うにはあまりに哀しい話だが事情があって俺と いう存在を得ようと迫ってきた。  初めは胡散臭がり、気味悪がって距離を置こうとした。  自分という存在が他者から迫られるだけのものと思わなかったのと、思いたくなか った。これまで築き上げてきた要らない自分に縋っていたかった。けれども、明日菜 さんは俺を逃がさなかった。執拗に、時には病的といえるぐらいに飛び込んできた。  そして勢いに負けるようにして、何となく付き合い始めていた。それは明日菜さん の喜びであったが、俺にとっても気分の悪いものではなかった。  ちゅっ。  音を立ててキスをした。 「ん……ふふ……」  ちゅっ、ちゅっ。  何度も何度も唇を突き出して啄ばむようなキスを繰り返す。 「ん、んふぅ……」  その音のせいか、行為自体のせいか、可笑しそうに明日菜さんが笑う。  俺も笑っていた。  確かに、随分と可笑しい真似をしている。  幼い子供同士が戯れるように、大人の真似事を意味も判らないままするように、唇 を突つき合っているのだ。  いい年をした男女が。  他人がしているのを見たら無条件で笑える。  ちゅっ、ちゅっ。  それでもキスを続けた。 「んふっ、んふふふふ……」  俺の方から。  明日菜さんの方から。  交互に何度も何度も唇を突き出してキスを続けていた。 「――んっ」 「あっ、んぅぅ……」  そして頃合を見計らうと、最後の締めとばかりに唇を押し付けるように深く重ね、 口を開かせて彼女の舌を絡め取った。 「ん、あ……」  彼女の口腔内へと舌を侵入させ、舌先で口の中の至る所を這い回るように愛撫する。 「……っ、ぁ、んんっ」  そのまま舌を舐めあい、唾を啜りあい、それでもべちゃべちゃと口を重ね、ちゅう ちゅうと口を吸い続けた。  それが甘露であるかのように、互いの唾液を欲し続けた。  舌で、唇で、口の中で、彼女を感じ、そして味わった。  最後にまた大きく音を立てて、舌が離れた。 「あははは……」  糸を引かせながら唇が離れた時、彼女は照れ臭そうに笑う。  荒い鼻息が当たっていたらしい。 「あはは……」  お互い様だったので、やっぱりこっちも笑っていた。  笑いっぱなしだった。 「明日菜さん、しようか」 「うん……そうだね」  いつも主導権を取られていたので、先手を打った。思うのは幾らでも思えても、わ ざわざ口に出して言うのは恥ずかしい。彼女は赤くなっていた頬をますます紅潮させ、 コクリと頷いた。 「しよう、時紀クン」  羞恥よりも興奮。  そして期待。  いつでも積極的な明日菜さんだった。 「これ、全部脱がして」  ところどころボタンが外れた服から覗く肌と下着を誇示するかのように身体を揺ら し、俺にもたれかかってくる。 「うん……」  自分でも不思議なくらいに素直に返事をして、彼女の身体を後ろから抱きとめると、 手を回して残ったボタンを一つづつ外していく。  シャツのボタンを外し終えてブラジャーのホックを外すと、ふるん、と解放された 二つの乳房が揺れる。 「あ、今、唾飲み込んだでしょ」 「――ええ」  明日菜さんを知って俺は少し大人になって、少し子供に戻れた。  これまでの生き方を否定し、後悔することはないけれど、今の生き方には満足して いて前に戻りたくはなかった。  明日菜さんのいないあの頃には。 「これも……」  後ろから鷲掴みにした衝動をひとまず抑えて、彼女の肩からシャツとブラジャーを 剥ぎ取った。パンティ一枚の明日菜さんの裸身が目の前に現れると、先ず何よりもそ のたわわに実った乳房に視線を向ける。 「……っ」  その無遠慮な視線を向けている自分に気づき、慌てて目を反らしかけると、 「じゃあ、今度はアタシが脱がしてあげるね」 「えっ」  一人で慌てていた俺はそんな明日菜さんの動きに一瞬遅れをとった。 「お返しお返し」 「え、あ……」  明日菜さんは慣れた手つきで俺のズボンのベルトを外すと、またたくまにジッパー を下ろして、勃起していたモノを取り出していた。 「わっ」 「……」 「すごい、おちんちん、もうビンビンになってる」  早速俺のペニスを手で握り、ゆっくりと上下に動かして擦ってくる。  素早い動きに戸惑う暇もなく、翻弄され続ける。 「んっ……」  明日菜さんの手の平の感触や、擦れることよりも、彼女に握ってもらっているとい うことだけで興奮していた。  丁寧に、大胆に、これまでの経験や知識を生かして多彩に明日菜さんは俺のモノを 弄ぶ。  硬く強張るソレに、明日菜さんは時折愛しげに頬ずりしながら、その細くしなやか な指で、絡めるように締め付けるように扱く。 「ふふふ、じゃあ……」  俺の反応を確かめ、うっとりと目を細めると、ちろ、と伸ばした赤い舌で先端を舐 めた。 「……っ!」  不意打ちのままに、一気に咥え込んだ。 「ぁ……」  唇が先端に触れた瞬間、そして今、飲み込まれて口一杯に包まれた時と二度、背筋 を鳥肌が立つような感触が襲ってきていた。 「……ぐっ」  情けない声を上げそうになるのを必死で堪える。  いつものパターンと違う攻めに、防戦一方になる。 「ん……んむ……ん、ん……」  口内で、れろれろと舌を動かし、亀頭を刺激する。  思わぬ刺激と湧き上がる興奮で膨らんだペニスを口に咥えたまま彼女が顔を動かす。  喉奥まで飲み込んだかと思えば、雁首まで引き抜いたりと初めはゆっくりとそして 徐々に激しく吸い付く。  更には生温かい口腔の熱さと、唾液でぬらぬらと濡れた部分が外気に触れてひんや りとした冷たさという二つの異なった温度差に翻弄される。 「ん、んん……ん……」  柔らかい唇の締め付けと、侵入物を持て余すようにしながら巻きつこうとする舌の 動きが重なって刺激となって俺を攻め立てる。 「ぁ……」  かと思うと、また急に口を離して昂ぶりを鎮められる。  思わず漏らしてしまった情けない声が明日菜さんに聞こえたのかどうかわからない。  彼女はまた最初から改めるかのように、鈴口の辺りにキスを繰り返す。  いつもの同じ行為といつもとは違う順番にやる。  明日菜さんのその予想のつかない動きに、俺はうろたえるばかりだった。 「ああ……ん……んっ」  ただそれが興奮に直結していることは、静脈を浮かして、硬度と容積をこれ以上な く増していくイチモツではっきりとわかる。 「ん……んむ……ん……ふん……」  溜めた唾液を舌で塗りつける。  ぺちゃぺちゃという水音と、その淫猥な快感でしきりにペニスがひくついた。  幹の部分も横から這わせるように舌先で舐め廻す。  その際、上唇の内側で擦るように滑らせて慰めるのも忘れない。 「ぅんっ……んむっ……ん……」  彼女が口に含むと先が上あごの裏を叩くほどにそそり立っていた。  上目遣いで俺の表情を見ていた明日菜さんは軽く微笑んだように見えた。  頬が膨らんでいて滑稽に見える反面、その表情こそが自分のモノをしゃぶってくれ ている証ということを改めて知覚すると、鳥肌が立つように震えた。 「……ん、んむ……んくっ、ぅ……すごい。まだ大きくなってる」 「こんなにしちゃって」  可愛いんだ、そう言ってまた先端にキスをする。  唾液と先走り液の区別がつかない粘液が彼女によって啜られる。 「ん……」 「うあっ!?」  手の平で先端を被せるように擦りながら、勢い良く陰嚢を口に含んできた。  これには意表を突かれる。  袋の上から玉を舌で転がされながら、竿の全体を指の一本一本を使ってゆっくりと 先端から根本までを移動しながら刺激していく。 「ん……んっ」 「ぅあっ……」  歯を食いしばっているのに、時折耐え切れなくなり声が漏れる。  その回数も増えてきていた。 「時紀クン……苦しそう」  ドクドクと脈打ち、早く射精したくてたまらないペニスを優しく撫でたかと思うと、 ピンと指先で弾いて見せた。 「今、楽にしてあげるからね……」 「くっ……」  全く……明日菜さんはっ!  噛み締めて目で抗議するが、明日菜さんは俺に止めを刺すべき最終兵器を用意して いた。 「はーい。時成クンが好きなものですよー」  おどけた様に言って、自分の乳房を両手で抱えるようにして近づくと、そそり立っ ている竿を両側から挟み込む。 「ふかふかだよー」  乳房を左右から摺り寄せ、その温かくも柔らかい抱擁で俺を圧倒させる。  クリームなど滑らす小道具を用意していなかったので、挟み込んだだけだったがそ れだけでも頭が爆発しそうになる。  そしておもむろに乳房の合間から突き出た先端を、チロリと舌を伸ばしてまるで労 わるように丁寧に舐めてくれた。  そのさっきまでとはまた違った献身的な舌使いに、彼女の意地悪な愛らしさを覚え る。 「どう?」  返事どころか目で訴えるのも苦しいぐらいになってきていた。  その表情で察したのか再び口での奉仕に戻る。  左右から乳房で揉みほぐしながら、舌の愛撫が唇に代わり、また舌に戻す。  身体を寄せて、微かに上下に扱くように動き出す頃には全身全霊で堪えることしか 出来なくなっていた。 「くっ……」 「ん、ん……」  しかしそんな我慢も、長くは続かない。  舌先を尿道口に潜りこませるように突付かれた時に、遂に決壊した。 「ぁぅ……っ」 「っ! んぐっ……んっ」  喉の奥に勢い良く精液が飛び込んだのか咽るが、それでも口を開けて解き放たれた 精子を受け止める。 「ん、くっ……んぐ……ぐっ……」  迸る大量の熱い白濁液が、明日菜さんの口内に飛び込み、溢れていった。 「っぅ……、ふぅ……」 「はぁ……はぁ……はぁ……」  重なることのない二つの荒い息が、籠もった室内に響く。  独特の饐えた臭いがツンと鼻を刺激する。  人が一番獣に近くなる、臭い。 「じゃあ今度はこっちの番だ」  その臭いを嗅ぎ続け慣れてしまっていた明日菜さんより早く覚醒した俺は、そう言 って彼女をベッドに押し倒した。すかさず彼女の足の間に身体を入れる。 「えっ」  ぐちゅ。  丸く濡れた跡が見えるパンティに指を引っ掛けて横にずらし、不意打ちには不意打 ちをとばかりに最終目的地をいきなり攻め込んだ。  俺の目の前で足を開いたままの明日菜さんの秘所は、俺の指を易々と飲み込む。 「ひゃ……ぁっ!」  明日菜さんのそこはもうびしょびしょで、軽く指を差し込むとそれだけで手首にま で垂れ流れてくる。 「明日菜さん」 「……ああんっ、言っちゃ駄目ぇ」  恥ずかしがっているというよりも照れているような物言いに、まだ余裕があると判 断した俺は一気に中を掻き回した。  ぐちゅちゅちゅちゅちゅ。  何の誤魔化しも効かない音を立てながら、愛液が零れ出す。 「あっ! ああんっ! や、駄目ぇっ!」  指で中から押し上げるように掻き回すと、彼女の下半身の肉が波打つように揺れた。  手の動きと共に太腿やお尻の肉がぷるぷる震えるのを見ると、もっともっと激しく 強く動かしたくなる。 「あっ! あっ、ああっ! あぁぁぁぁっ!」  強く激しく動かすたびに彼女の声が大きくなっていく。  表情に余裕がない。  感じているのは間違いないようだった。 「時……だっ、やめ、やめっ! 駄目ぇぇぇぇっ!」  攪拌するように単純でもその力強い動きに、明日菜さんは大袈裟な程に反応する。 「やめぇ……アタシ、感じやすいんだから……」  荒い息の元で抗議するが、勿論手は止めない。  また、本当に止めて欲しいのかどうかもわからない。 「ぅあ、ぅ、あぅっ!」  指で膣内を掻き混ぜながら、彼女の大きくはちきれんばかりの胸に口づけをする。  初めは乳房だけに舌を這わせるが、すぐに舌先で乳首に触れると取り込むように口 に含む。 「あんっ! ダメェ、ホントっ、だっ……」  早くも乳首をしゃぶるというよりも胸に口を吸い付かせていた。  自分でもおかしなぐらいに余裕がなかった。  もう一方の乳房は指で挟んだ乳首を擦るように、しながら全身全霊を賭けて明日菜 さんをカせようと必死になっていた。 「はぁ! あ、ああっ、あ、あ、ああああっ、あっ」  まるでそれが至上命題のように。  そうすることが全てのように。  蜜壺を掻き混ぜ、果芯を捏ね回す。  小刻みに震え続ける明日菜さんの身体を乳房に吸い付く口元だけで押さえ込む。 「ぅあん! んあ、あんっ!」  髪を振り乱す明日菜さんの顔が視界の隅に写った。  固く閉じられた目尻からは涙も零れているようだった。  たったこれだけのことで。  こんなことで。  耐え切れない自分。  堪えきれない彼女。  冷める事のない興奮だけが膨れ上がって、 「やっ やぁっ ああ――――っっ」  明日菜さんの身体に一際大きい痙攣が起こるその時まで、俺は何ひとつ動きを止め ることはなかった。  二回目の終焉。  荒い呼吸を繰り返す明日菜さんが落ち着くのを眺めつつ、指に溜まった彼女の愛液 を舐める。  慣れているとはいえ、何とも言えない味だった。  明日菜さんは暫く動けないでいたようだったが、次第に呼吸を落ち着かせると、 「コラ!」  顔をこちらに向けて、怒ったという素振りを見せた。  何か自分でもわからないぐらいにそんな彼女が可愛く、愛しく感じる。 「上になるね」  そう言うと、明日菜さんは最後の下着であったパンティを脱ぎ捨てて、俺の身体の 上に跨がった。  ベッドに横たわりつつ下から明日菜さんを見上げていると、初めて彼女とエッチし た時もこの体勢だったなと思い出す。  蜜をポタポタと垂れ落とし続ける秘部が、彼女の指で押し広げられる。  それを凝視することで、ますます自分の下腹部が固くなり、そそり立つ。 「あうっ」 「くっ」  先端が敏感な粘膜に触れ、同時に悲鳴をあげる。  それも一瞬で、すぐに俺のものは明日菜さんの膣の中に飲み込まれていった。 「んぁっ……」  自分から腰を落としながら、叫び声を上げ続ける。  無論、それは悲鳴ではない。  歓喜の絶叫。  彼女は俺の悦びを声で表してくれる。 「ああっ……んっ」  奥まで突き刺さっていた。  あまりに深く繋がったので、先が明日菜さんの奥に当たっていた。  弾け、痺れるような感覚。  ただ、快楽。 「……んぁぁっ!」  明日菜さんが喘ぐ。  唾液が唇同士で糸を引き、赤い舌で断ち切る。  そんな彼女の表情を見ながら俺は下から突き上げたい気分を抑える。 「じゃ……あ、ああぁっ」  何かを言いかけるが、言葉にならない。  その意味は、行動で理解できた。  喘ぎながら、悦びながら、呻きながら、打ち震えながら、彼女は腰を動かす。  激しいとまではいかないが、決してゆっくりとは言えない余裕のない動きだった。 「あ、んあ! んぁぁっ」  ゆっさ、ゆっさと明日菜さんが俺の上で動くたびに彼女の大きな乳房が揺れる。 「ひゃ――ぁ! ぁぁっ」  下から手を伸ばして、彼女の両乳房を掬い上げた。  たっぷりとした量感を己が手の中で味わう。 「んぁ、んん、んんん、ぁ……」  唇を噛み締めようとして、果たせなかったらしい。  鼻に掛かった声が途絶えることはない。  そんな彼女に声をかけてあげたかったが、俺もそれほど余裕はなかった。  全ての衝動を抑え、発達した彼女の胸を、揉みしだくことに専念する。  掴み、握り、そして捏ね回す。  柔らかい。  本当に柔らかかった。  その弾力はなかなか味わえるものではない。 「……や、やぁっ! ん、ぁ、やぁ……あ……」  手の中でぐにゃぐにゃに形を変え、絞っても手の隙間から乳房のが零れ出る。  そのはみ出る媚肉が指が乳房に吸い込まれていくのかよく判る。 「明日菜……さんっ!」  次第に弄り方がいい加減になってくる。  我慢できなくなってきていた。 「え……あ、あぅぅぅぅ、あぅ、あぅぅっ!」  我慢できなくなり、両手を彼女の腰に持ち替え、これまでの我慢を全てぶつけるよ うに下から彼女の動きを無視して突き上げた。 「あぅ、うぁぁっ! や、あぁぁぁっ! ぅあっ……んぁぁっ!」 「ぅ、くっ、くぅっ……」  苦行の如く歯を食いしばって、呻きつつ、鼻息荒く、必死になって腰を突き出す。  彼女の臀部とぶつかる音が、徐々に大きくなっていくようなそんな気がした。 「ひ、んぁぁぁぁっ……んあ、んあ、んぁぁっ! ふぁぁっ!」  騎乗位の名の如く、明日菜さんを跳ね踊らせるかのように下から何度も何度も突き 上げる。  俺の動きで弾む彼女の身体と共に、結合部では俺のペニスが彼女の肉壁にぶつかり ながら跳ね踊っていた。 「ぃ、あ、あ、んあああっ、ゃぁっ、ゃああっ、あっ……」  快感で頭が呆けてくる。  身体を動かすことと、湧き上がる悦楽とまた別のところに思考が落ち込もうとして いく。  このまま堪えてきたものが、緩んでしまいそうに、そうしてしまって良いような気 分になっていく反面、下半身からの刺激は骨の髄まで通ってそれを抑圧する。  その快感がまた頭を蕩けさせ、尽きることのないような循環が繰り返される。 「明日菜さん!」  堪らずに腹筋の力で起き上がると、そのまま両手で明日菜さんの身体を抱きしめた。 「あっ、あっ、あっ……やぁっ!?」  腰から背中に両手を廻して固めるようにしがみ付きながら、腰を今まで以上に突き 上げる。  終わりが来るのを待つよりは、自分から終わらせる。  そんな場違いな考えが瞬時よぎり、それを否定しながらも肯定するかのような行動 を起こす。  全てはただ、自分の快楽の為に。  解放の為に。  性器同士の結合から沸きあがる衝動と、脳裏を痺れさせる欲求の全てを満たす為に 俺はセックスを終わらせる。 「ああっ、あっ、あっ、あああぁぁぁぁぁぁぁっっ!」  悲鳴をあげながらも俺の動きについていこうと、彼女もまた俺の背中に両手を廻し て抱きついてきた。  応えてくれた。  その単純なことが嬉しくて更に手に力をこめて抱きしめる。  悦楽がある。  愛しさがある。  どちらが重いのか、どちらが大事なのか。  それともその二つは等しいのか。  同時に湧き上がった想いが、俺に襲い掛かる。  そして思う。  これが人を好きだと思うことなのか。  わからない。  けれど、今のこの気持ちだけは真実だと思う。  この瞬間、彼女と共にいたいことを。  彼女とセックスをすることを、終わらせることを。またすることを。  何度でもしたいことを。  今、繋がりながら、また次に繋がることを夢想する。  はしたなく、意地汚い。  けれど、ただセックスがしたいわけじゃない。  明日菜さんとセックスがしたい。  これが、今の偽りない俺の気持ちだった。  このまま繋がっていたいのではなく、またこうして繋がりたい。  育みたい。  結果としての新たな生をではなく、今ここでの二人の性を望んでいた。  目的ではない。  行為がしたかった。  明日菜さんと、俺の二人が悦べる行為を。 「ぁ、ぁ、ひぁぁんっ……ぁ、ああん、あんっ」  明日菜さんを蹂躙する為に、必死に腰を動かし続ける。  俺の呼吸音はまるで騒音のように耳障りに聞こえるくせに、彼女の蕩けるような喘 ぎ声がその上を塗り潰すように聴覚を刺激する。 「くぅ……あっ!」 「ゃぁっ! ぁっ、ぁっぁああぁっ! やぁぁっ……あっ」  彼女の膣が俺のペニスを絞り上げて離さない。  絶頂が近づくのがわかる。  俺の。  明日菜さんの。  限界が重なろうとしている。  肌を寄せ合い、抱き、抱かれて結び合う。  溶け合えとばかりに、深く埋め込んだ。埋め込まれた。 「ぅぁああああああああああああああああっっっっ――――――っ!!」  明日菜さんがイった。  俺も、彼女の中に吐き出した。 「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――っっっっ!」  ぶるぶると震える。  身体が、膣内が、髪が、睫が。  ガクガクと震える。  身体が、肩が、ペニスが、腰が。 「はぁ……熱、い……あつい……」  胎内に注ぎ込まれた精の迸りと、その余韻に震える腰。  痴呆のように繰り返す彼女の言葉が、遠くなる。  気が抜け、心も抜け落ちそうになる。  疲れた。  とても疲れた。  三度目の停滞。  全ての終焉。  今度こそ、終わりだった。  愛し合うという儀式。  尽きることなく、飽きることのない性欲の宴。  言葉を飾ろうとも、言い繕うとも誤魔化せない。  セックスが好きだった。  気持ちが良かった。  明日菜さんの身体は、俺を最高に喜ばせてくれた。  興奮させてくれ、満足させてくれた。  これ以上なく、幸せだった。  そんな想いに満たされたせいか、常になく人に優しくなれていた。  自分が満足したから、他人に気が向けられる。  単純過ぎて、違うのかもしれない。  けれど、照れるからこそそんな理由付けをしておきたい。 「明日菜……さん……」 「ん……時紀……クン……」  彼女の乱れた髪を手で梳くように撫でると、明日菜さんは俺の胸に身体を摺り寄せ てきてくれた。  彼女が本当のところ、俺に何を求め、何を期待してくれているのかはわからない。  以前にしったことが全てのような気もするし、そうでないかも知れない。  けれど、今だけは思う。  この瞬間だけは、そう信じていた。  こうしている時は。互いに心から愛しているということを。                            <完>

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