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暑い日
 暑いと思う。  体温は無駄に高く、身体全体の肌の表面、毛穴という毛穴から汗が微かに滲み出し ている。  暑いと感じる。  窓を開けても風はない。  掃除をしていないエアコンは使えない。  扇風機は押入れの奥にしまったままだ。  暑くて、辛い。  こういう時は何を考えても何をやろうとしても集中力が続かない。  何か他の事を考えていても身体の全てがオレに「暑い」という信号を送り続けてそ の思考を疎外する。  辛い。  勉強をしても駄目。  気分転換に遊んでも駄目。  団扇で身体に風を送るのも流石に疲れた。  元より集中力の期待できない状態で、そんな退屈な運動を持続させる事などハナか ら無理だったのだ。  これでは涼める事はできない。  身体も、心も。  心までが、暑い。  半端にべた付いた身体をベッドの上に横たわらせる。  部屋が狭くなるという理由で避けていたベッドだったが、親父が戻ってきた時に作 業場を別の部屋に用意してくれると共に何故か買ってきたので使っている。  その半端な高さが気に入ったのだが、今はそんな感慨に浸る気にはなれない。  シーツが肌にくっつく感触が心地悪い。  それでも、身動きする気が起きない。  部屋の電気はとっくの昔に消されている。  それでも横たわった者の習性として目を閉じた。  特に寝不足な訳ではない。  特に疲れている訳でもない。  じっとしていたら暑さが是正される訳でもない。  それでも、じっと目を閉じたまま何も考えることをせずに横になった。  開けたままの窓は風を運ぶ事がない変わりに、騒音を運ぶ事も無かった。  時たま遠くで車が走りぬける程度の音。  静かな夜だった。  頭が、暗い。  考えないのではなく、考える事ができなくなっていた。  眠くなくても眠れるものらしい。  オレは眠ろうとしていた。  意識が落ちていく中、最後に気にしたのは足元に中途半端に丸まっていたタオルケ ットが邪魔だなぁということでしかなかった。  ‥‥‥  ‥‥  ‥  暑い。  とても、暑い。  僅かに身に纏っている服が邪魔だ。  袖なしのシャツにトランクス一枚という裸の一歩手前というだけの姿の筈なのにヤ ケに暑い。  身体が暑い。  外から、肌から、外から暑い。  暑くてたまらない。  暑いものを押しつけられている。  暑いものを吹きつけられている。  暑いものにのしかかられている。  暑くて、そして、変だ。  そう思ったと同時に、ぼんやりと目が開く。  暗くぼやけながらも天井が見えた。  違和感。  寝ているだけで起きるはずの違和感。  暑い原因。  オレは首を下に向けた。 「あ‥‥」  暑い理由がそこにあった。 「あ‥‥」  オレの声と重なる声。  オレの足元に、原因がいた。  ベッドが揺れる。  彼女の重みで。  彼女が、動いて。  オレのモノを熱い手が握っていた。  熱くなって汗ばんでいる掌で掴んでいた。  オレのモノを熱い舌が舐めまわしていた。  熱い唾液を塗りたくられていた。  オレのモノに熱い息が掛かっていた。  熱く興奮した鼻息でくすぐられていた。 「あ、お、起きちゃった‥‥?」 「‥‥‥」  驚いた声で顔を上げ、でも手は掴んだまま放さない状態で彼女はオレを見た。  身体を半分起こした状態でオレは驚いたまま、暫く反応が出来なかった。 「な、何を‥‥」  なにをしている、そう言いかけて言葉が詰まる。 「‥‥気持ち良く、ないかしら?」  そんなことは聞いていない。  そう思ったが、彼女はその言葉と同時に握っていたものを上下に擦りだした。 「う、うぁっ‥‥!?」  寝ていた時はなすがままにされていただろう動作も、こうして意識がはっきりした 中でされると反応も全然違ってくる。  肉体に与えられた刺激以上に、精神に広がっていく刺激がオレを覚醒させる。  身体が、熱い。 「な、なにを‥‥やめろってば!」 「だーめ。やめない」  そう言ってわざわざ彼女はオレを鼻先まで顔を近づけてくると、 「‥‥っ!?」  唇でつっつくようなキスをしてきた。 「ぅあ‥‥」  言葉を出そうとすると、強くモノを握られて声が詰まる。 「やめないわよ」  目の前でそう言う彼女の顔は穏やかで、楽しそうで、でも少し引っかかる表情をし ていた。  その彼女の顔も一面に真っ赤で汗ばんでいる。  化粧っ気のない素顔。  顔だけでなく身体まで赤いのは彼女も興奮、動揺、羞恥‥‥そして熱さからきてい るのだろうか。  少し舌を出して自分の唇を舐める。  塩辛い味がした。 「ん‥‥」  目を閉じた彼女の顔にオレの方からキスをする。  汗ばむ肌が唇を頂点にして重なる。  唇を開く。  熱い舌がオレの舌を迎え入れる。 「ぁ‥‥んぁ‥‥」  彼女の熱い息がオレの顔にかかる。  それまで後ろ手にして身体を支えていた手を伸ばし、彼女の身体を抱き寄せるよう に抱える。  同時に支えを失ったオレの上半身はベッドの上に落ちる。  彼女の身体を道連れにして。  マットの中のスプリングが軋む感触を背中に感じた。  べた付いたオレの手にはべたついた彼女の寝間着越しの背中の感触があった。  寝間着の中に手を突っ込ませる。  べたべたしながらも、彼女の身体は不思議と冷たかった。  ひんやりとした気分に少し戸惑いながらも、彼女の汗ばむ身体を手で弄りまわす。  彼女はオレのべた付いた服を巻き取るようにして脱がそうと四苦八苦していた。  互いに互いの身体に手を這わせながらの作業は困難を極める。  それに気付いたオレ達は、ちょっと笑ってから作業を入れ替えた。  オレは半端に巻き取られていた服を脱ぐ。既に下着の意味を果さなくなっていたト ランクスも放り捨てた。  彼女も夏向きとは思えない飾りの凝った寝間着を脱ぎ捨てるようにして、オレの脱 ぎ捨てた服の上に放り投げた。  下着は初めからつけていなかったのか、形の良い乳房が暗闇の中、白く揺れるのが わかった。 「大輔」 「瑠璃子先輩」  初めてお互いを呼び合って、それが合図のように身体を重ねた。  肌を通してオレの汗と彼女の汗が交わる。  室内の温度はオレ達の高まる体温と共に上昇する。  開けたままの窓からの風は相変わらず、吹いてくることはない。  汗が更に噴出する。  シーツも汗で濡れそぼっていく。  身体中が暑い。  熱く繋がれた状態のまま、更にオレ達の身体からは外からも内からも暑さの飛沫が 飛び散るように吹き出していく。  自分達の熱で倒れてしまいそうなほど、熱く、熱くなっていく。  翌朝妙に冷えた、それでいて身体中をべとつかせた不快感一杯の気分で目覚めるこ とを知りながらも、オレ達は熱くなる。  ―――そんな酷く、暑い日の夜。  そして、早朝から目一杯シャワーを浴びる。  初めは冷たいと二人で騒いでいたオレと彼女も、今はもう気にならなくなっていた。  それよりも心配なのは、シャワーの後の事だ。  こうして水を浴びている最中は気持ちが良くても、ひとたび蛇口を捻って水を止め、 浴室を出てバスタオルで身体を拭く頃にはなまじ表面だけ冷ましただけの体温が外気 の温度と身体自体の熱は却って暑さを演出することだろう。  こればかりはどうにもならない。  エアコンでもあれば、予め閉めきった部屋を用意してシャワーから出たらその部屋 に直行すれば快適を維持できる。  だが元々それができないからこそ、シャワーを浴びて誤魔化しているのだからどう にもならない。 「ぇあ‥‥ん、ぁ‥‥」  肩口、そして胸元へと白い岩肌に流れ落ちる飛沫を掬い取るように舐め続ける。  紅い頂の根本に舌先を押しつけるように突くと、 「うぅっ‥あっ、んぁっ!」  瑠璃子先輩が哭いた。  昨日、結果的に早寝をしたのでその分早起きをしているので時間は気にしなくても 問題はない。  普通ならこの時間はまだ眠っていて良い時間だ。  だが部屋のカーテンの外はもう太陽の光が燦々と降り注いでいて、惰眠を貪ること は我慢比べをするぐらいの気力を持っていなければ許してくれそうも無かった。  汗だくのベッドシーツやら寝間着や下着やらを洗濯する間、シャワーを浴びようと 誘ったのはオレの方だった。  立ったまま体を重ねる格好でシャワーを浴びてお互いの手で遊んでいるうちに、冷 たい水と対照的に火照りつつある体に手を焼く事になっていた。  昨日の余韻だと片付けるには些かお粗末だが、久々ということで気にしない事にし た。  今はもう立つ事の出来ない彼女は、壁に体重を預けるように寄りかかった姿勢で座 りこんでいた。  それほど広くない浴室なので、あまり無理なことはできない。  内腿の肉を唇で軽く挟むようにして肌の表面を滑らす。  付け根に近づくにつれ唇を萎め、そして大きく開いて痙攣している場所に辿りつい てから漸く舌を伸ばす。  震えるように動くそこからは、彼女の頭上から降り注ぐ水とは明らかに異なった液 体がとめどなく流れていた。  それを舌先に乗せるように掬い取ると、舌の腹で強く押しつけるように刺激した。 「ぁ!‥‥‥ぁああんっ‥‥!」  ザァザァと流れる水の音の中、 「ん、んぁ!‥‥あ、ああ‥いぃ‥‥ぃぃ‥」  赤く上気した白い体が跳ねる。  俺が顔をそこから離すと同時に彼女が大きく息を吐き出す。  水音にかき消される事無く、逆に狭い浴室で響くように聞こえる彼女の声がまた、 耳から脳に興奮という刺激を与えてくれる。  ぼーっとなりかける頭をシャワーの水を被ることで冷やす。  もう一つ熱が溜まっているところへは別の手段がある。  オレは彼女の腰に手を当てて、体を浮かせるように試みた。 「ぇ‥‥あ‥‥」  お尻を持ち上げるように手を廻すと、不意に手の先が浮き上がるような感触がした。  その時は目が、息が、気持ちが不思議なほどに合った。 「ぅあ‥‥あ、熱いぃぃ‥」  瑠璃子先輩の根元まで俺のモノが入る。  彼女の中は、とてつもなく狭くて熱かった。  閉めつけが、痛い。 「ん‥‥ん、ん、ん‥‥」 「は、ぃあ、ああっ、あぁん、ぁっ」  散々弄っていたお陰で既に寸前まで達していたらしく、彼女の目はオレを捉えてい なかった。  頭から散々シャワーの水を被っているので、綺麗な髪もまるで物の怪のように顔に 張り付いてしまっていた。  オレは彼女のお尻を揉んでいた方の手で、顔に張りついた髪をかき分けてから唇を 貪った。 「‥‥っ! んんんんっ‥‥んっ!」  そのまま何度も腰を突き上げ、両手で改めて壁に押しつけた彼女の身体を抱きしめ る。  途端に高い声を上げて反応する彼女の声は、オレの喉の奥にしか響かない。 「ぅぐ‥‥んん、んんっ‥ん‥‥んん あ、ぁあああっ」  重ねていた唇がずれると、その途端に彼女の声が響く。  初めは我慢していたせいか、息を止めて吐き出すようにしていた声も、次第にエス カレートしていく。  何の解決にもならず疲労だけが積み重なるだけだと知りながらも、オレ達は熱くな る。  ―――そんな酷く、暑い日の朝。                            <完>

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