その日は特にいい天気でもなければ、悪い天気でもなかった。  この季節の割に暖かいということもなかったけれども、特別寒い日でもなかった。  それでも、天気の話題をわざわざしてしまうのはオレが緊張しているからだろう。 「どうかしたの?」 「え? あ、いやなんでもない」  立ち止まって尋ねる御薗先輩にオレは努めて平然な顔をして答えたつもりだけれど も、上手く誤魔化せたかどうか自信はない。  それでも、家から学校までの距離はそんなにあるわけではないので、大して話すこ とが無くてもすぐに家に着いてしまう。  登校するときは長く感じるこの距離もこうしているとあっと言う間の気がする。 「御薗先輩はオレの家の場所、知ってるんだよな」 「その言い方はちょっと気になるけど‥‥一応ね」  御薗先輩はそう言って苦笑いを浮かべる。  この家にモデルとして君影先輩を上げたことを目撃し、噂として周りに広めたのが 御薗先輩本人な訳だから、嫌味に受け取られかねなくもない。  だが、そんなことに気づくだけの余裕は今のオレにはあまりない。  異性を自分の家にあげることはそうたびたびあるわけではないけれど、ないわけで もない。  幼なじみの天音や悠姉さん、それに義理の妹になる恋も藍ちゃんに連れられるよう にしてやってきたこともある。百合奈先輩にも絵が完成するまでは通って貰っていた わけだから特に意識することもないのだが、同じように思うには無理がある。 「取りあえず、あがって」 「ええ。お邪魔するわね」  ドアの鍵を開け玄関に彼女を招き入れた手はちょっと震えていて、それが妙に自分 でも可笑しく感じられた。 「普段から家の人は誰もいないの?」 「ああ。親父は世界中を飛び回っているからな」  そんな先輩にオレは大雑把に親父と家族の話をする。  オレと恋が義理の兄妹になったという話の件には、かなり興味を示したらしくて色 々聞いてきた。 「じゃあ桜塚さんとは一緒にこの家に住むの?」 「オレはどっちでもいいんだけど‥‥あいつは今のところそのつもりはあんまりない みたいだな」  初めて会って話した頃の刺々しさはなくなってはきているが、完全に打ち解けたと いう程ではない‥‥気がする。藍ちゃんとの方が打ち解けているぐらいだ。 「オレも一生この家に住むかどうかも判らないしな」 「ふうん」  そんな話をしながら俺の部屋に上がると、御薗先輩は物珍しそうに見回す。 「‥‥随分と片付いているのね。もっとごちゃごちゃしているかと思った」 「そんな部屋に御薗先輩を上げられないさ」 「君影さんの絵を描いていたのもこの部屋?」  その言葉には答えず、御薗先輩は張り替えたばかりで何も描かれていないまっさら なキャンバスと、筆や絵の具などが並んである一角に目をやってそう訊ねてきた。 「ああ」 「そう」  まだ夕方と呼ぶには早い時間だけれども、部屋の明かりもつけていないのでどこと なくほの暗い空間になっている。  次第に言葉数が減ってきていたけれど、ここに来て無言になってしまった。  何を話していいのか分からない。  楽にしてて、とかコーヒーでも飲む、とかそうした言葉が浮かんはくるものの口に 出せないでいた。  ベッドに御薗先輩が座ると、その動きに釣られてオレも何故かその隣に腰をおろし ていた。 「え?」 「あっ‥‥」  そんな動揺した自分の行動が何かおかしくて慌てて腰を浮かしかけるが、制服の裾 を掴まれてそのまま座らされる。 「‥‥その、私はこのままで、いいわ」  はっきりとそう言った御薗先輩の顔を見る。  眉がよっていて、緊張しているようにも思えた。 「キ、キミになら‥その‥‥‥」  そこまで言いかけて、困ったように目を逸らした。 「御薗‥‥先輩‥」  オレがそう呼びかけても、御薗先輩の瞳が不安そうに揺れている。  身体も微かに震えているような気がする。  緊張しているのはオレだけじゃないようだった。 「固くならないで‥‥」 「あっ!」  身体を寄せて、彼女に寄り添うように密着する。 「麻生くん‥‥」  ゆっくりと、制服越しに御薗先輩の身体を抱きしめると、そのままオレが御薗先輩 の身体の上に覆い被さるようにベッドの上に倒れこむ。 「先輩‥‥」  御薗先輩の顔は紅潮していたが、まだ緊張が抜けていないようだった。  聞いてみるまでもなく、全て初めての経験なんだろう。  手足を投げ出すような格好になりながらも、身体の隅々までピンと張り詰めた固さ があった。  オレが身体を伸ばすと、御薗先輩の顔がすぐそばまで近づいていたのに気づく。  間近で目があって、御薗先輩は顔を一瞬逸らしたがすぐに戻してオレの顔を正面か ら見据えるように向いてから、その目が閉じられ、動きを止めた。  長い睫毛が揺れ、固く噤んだその唇がオレに向かって差し出されていた。  その唇に、唇を押し付けるように重ね合わせて、深く口付けを交わす。 「ん‥‥」  初めは唇を重ね合わせるだけの口付け。  どれだけの時間続けていいのかも分からなかったが、勢いに任せることにした。  そして次第に互いの口を吸うように唇に神経を集め、次第に舌で彼女の唇を舐める ように伸ばす。  彼女もすぐに応えてくれ口が開かれる。  舌で彼女の舌に触れた瞬間、彼女は身体を大きく震わせて反応を示すが、オレは彼 女の身体を強く抱きしめることで逃がさなかった。  更に幾度も彼女の口の中を舌で這いずり回るように舐めまわしていくと、おずおず と奥に引っ込んでいた先輩の舌が再びオレの舌を出迎えた。  その刺激が激しくて、彼女の舌に自分の舌を絡ませることに夢中になっていた。  息苦しさに耐えかねてからやっと口を離すと、自分たちの息が荒くなっていること に気が付いた。激しい呼吸音が二つ、無音の部屋に響いていた。 「麻生クン‥」  御薗先輩が少し潤んだ瞳で、オレを見つめる。  強気で押し隠している心が剥き出たように、縋るような目つき。  こんな目をされると我慢できなくなる。 「御薗‥瑠璃子先輩」 「‥‥」  それだけ言って、再び唇を重ねた。  そしてその貪るような行為に御薗先輩も応じてくれた。  キスや口付けと呼ぶより、喰らい合うかのように二人で互いの舌を絡め、唇を押し 潰し、唾を啜りあった。くちゅくちゅと唾液が混ざり合い、舌同士が擦り合う。 「んあ‥‥んっ‥」  その刺激に慣れた頃にオレは御薗先輩が制服姿のままだということに気づいた。  気づいたも何も、まだキスしかしていない。  それなのにそんなことを不思議に思ってしまうのだから、そうとう今のオレは舞い 上がっていた。  そして彼女の呼吸に合わせて膨らむ胸の動きに目を奪われる。  直に目で確かめたくてオレは上着のボタンに手をかけると、思わぬ強い力でその手 首を掴まれた。 「ま、待って!」  真っ赤な顔。  潤みつづけている瞳。  口元からは透明の唾が糸を引いている。  そんな御薗先輩の顔を見ることが来ようとは。 「‥‥その、待って!」  必死に言葉を繋ごうとする。  思考が動かないらしく、その言葉だけを必死になって言っている。  必死なのにも関わらず、自分が何に必死なのかよくわかっていないような素振りに も見える。  不安な表情で、必死な形相。 「そ、その‥‥わ、じ‥‥」  赤く染まった顔が少しだけ血が引くように白くなるが、すぐ再び赤くなった。 「自分で脱ぐ?」 「‥‥‥」  無言でコクリと頷いた。  そう口に出すのが相当恥ずかしかったらしい。  こういう経験どころか、恋愛経験すらないのかも知れない。 「このままだとそ、その‥‥し、皺になっちゃうから‥‥」  そう言いながらオレの身体を避けるようにして上半身を起こすと、座った時と同じ ようにベッドの端に腰掛けて脚を下ろすと何かを吹っ切るように上着を脱いだ。 「ここに掛けてもいい?」 「ああ」  痴態と呼ぶほどのことはないと思うけれども、先ほどの自分のした事に動転してい るのかただ恥ずかしいのか彼女はオレと目を合わせようとはしなかった。  俯いたままリボンを外し、ブラウスの前のボタンをゆっくりと一つ一つ上から外し 始める。その指がぎこちなくて、何度か失敗する。  好きな女性が目の前で服を脱いでいくという行為に、欲情を感じなければ嘘だ。  ベッドの上で身体を崩した格好で見つめていながら、身体はガチガチに固くなって いた。まるでそのポーズで自分がモデルになっているような格好に、自分の今まで描 いてきた絵のモデル達はこんなポーズでずっと動かずにいることを強いられたのだろ うかと馬鹿なことを考えていた。  ボタンが全部外れ、はだけたブラウスから彼女の乳白色の肌が表れた。  彼女はオレがじっと見ていることも気が回らないようで、服を脱ぐことだけに集中 している。  やはり何度か失敗しながら袖口のボタンも外し、ゆっくりと片手を袖から抜いた。  首から胸元にかけてその白い肌が滑らかさを感じさせて美しかった。  反対側の袖も外し、側にあった椅子の背もたれに引っ掛ける。  そしてからオレの視線にハッと気づいたように彼女の身体が硬直した。  発作的に胸を隠して、オレを見た。 「‥‥」  手で胸を押さえたことで、彼女の胸の膨らみの柔らかさを感知することになったの だが、そんなことを彼女が気づくはずも無い。白いブラジャーの肩紐が緩んでいる。 「や、やっぱりシャワー浴びてから‥‥」  オレが何も言わないでいることに不安を覚えたようだった。  怯えている素振りが可愛くて、同時に少し嗜虐心を煽った。  立ち上がり、逃げるように後ずさりする彼女の手を掴んだ。 「あっ‥」  そして力を入れ過ぎないように気をつけながら、彼女の身体を抱きしめた。 「い‥」 「嫌?」  腕を回して、ただ抱きしめる。  本能的に身体を密着させていた。  強く迫ったら逃げられるだろうという恐れと、逃がさないように引き止めなくては という気持ちが交差する。正解は分からない。ただ、こうしていたかった。 「‥‥」 「‥‥」 「‥キ、キミははじめて?」 「あ、ああ‥」  御薗先輩は女性にしては背丈がある方だけれども、こうして抱きしめているとすっ ぽりと自分の腕の中に収まっている。  ずっとこのままこうしていたい気持ちも嘘ではない。  御薗先輩の身体は熱いぐらいに暖かで、そして柔らかい。 「‥‥」 「‥‥」 「本当に?」 「疑うのか?」  オレがちょっと膨れ面を作ってみせると、ようやくホッとしたように安堵の表情を 浮かべてくれた。 「ごめんなさい。緊張しちゃって‥‥」 「オレもだよ」  もっと密着できるようにと、抱きしめる腕に少し力を込めた。  彼女の心臓も、オレの心臓もどきどきしている。 「好きだよ、瑠璃子先輩」 「あ‥」  手を腰から上に回し、ブラジャーの上から指で弄るように胸を揉む。  さっきの光景から想像した胸の柔らかさが指と手の平で感じられる。  加減が分からないので、力はあまり入れなかった。  具体的にどうしたらいいのかも、判らない。  知識だけは人並みに持っているつもりだが、いざとなってみると真っ白になってし まって手順が一つも浮かばなかった。  ブラジャーに包まれた乳房がオレの目の前にあった。  一瞬そのまましゃぶりつきたい衝動に駆られたが何とか堪える。 「外すよ」 「‥‥え、あ、うん」  コクリと素直に頷き、そのまま身動きもせずに弄られるままで立っている。  その普段の先輩からは考えられない子供っぽいような素直さと、上気した顔を俯き 加減にして立ったまま愛撫を受け入れているという状況がない交ぜになって、オレは 先輩の全てを暴きたて、晒していくような制圧感を憶える。  まだ先輩は場に対する緊張は抜けてても、行為に対する緊張はそのままのようだ。  どう反応していいのか分からないだけかもしれない。  それでも抵抗はしてこないので、彼女のブラジャーの下の隙間から指先を差し入れ ていく。その肌に直接触れると柔らかさがはっきりと分かった。  指先を立てることで、その膨らみを五本の指それぞれで感じ取ってみた。  それから手の平を押し付けると、真中の辺りで彼女の乳首の突起をしっかりと感じ 取った。  片手を背中にまわし、ブラのホックを外す。  そして肩紐を外すとだらりと力の抜けた彼女の腕に引っかかることなく、ブラジャ ーは床に滑り落ちた。 「や‥」  熱のある手で触れられるよりも、外気に晒される方が緊張するのか、力の抜けてい た手をオレの手の平に重ねる。 「あ‥、ああっ、あ‥」  後ろから、彼女の首筋を吸うようにキスをした。跡が残るかもしれないが、そこに 気を使うつもりは無かった。  そして鎖骨のある部分を舌でなぞるように舐める。 「ああっ‥‥、やぁっ」  彼女の手が上に上がるが、オレの頬を撫でることしかできていない。  その隙に今度はしっかりと捏ねるように彼女の胸を揉み解す。 「んぁ‥ はっ、はぁ‥‥っ」  鼻から息が抜けるような、甘い声。  愛撫に感じているというよりも、異性に初めて胸を揉まれているという状況に興奮 しきっているようだった。  オレも彼女を悦ばせることよりも、初めて味わうこの細やかな肌の感触に酔いしれ ていて、すっかり夢中になっていた。  そんなぎこちない愛撫でも緊張と興奮は少しも醒めることなく、上り詰めていく。  先輩の全てを見たい。  先輩の全てを知りたい。  先輩の全てを蹂躙したい。  沸き起こる欲求。初めは淡く感じていただけの感情が、身体を突き破らんばかりに 膨らみきっていた。  乱暴にしないことだけの我慢も、いつまで保つのかわからない。  片手が制服のスカートに伸び、ホックを外す。そのままファスナーをおろして、ゆ っくりと脱がせる。スカートは彼女の体を抜けて、微かに音をたてて落ちる。 「‥‥‥ぁ」  ショーツだけになった御薗先輩の身体を抱え込むようにしながら、再びベッドへと 倒れこんだ。 「‥っ!」  悲鳴をあげる先輩を押し倒すように身体をずらすと、目の前で揺れる乳房にしゃぶ りついた。 「んああっ!」  先輩が一際大きな声をあげたが、構わずに貪り続ける。 「くっ! あっ‥‥くんっ! ‥‥んぁ‥あっ、あっ‥‥ぁあっ! ‥‥ぁ‥‥」  初めはオレの肩を押すようにして抵抗していた彼女の手の力もいつの間にか緩み、 今は力無く投げ出されている。  わざと舌は伸ばさずに口全体で挟むように、彼女の胸の上を滑らせる。  そして大きく広げていた口を閉じ、唇で乳首を軽く挟む。 「ゃっ!」  そうしてから舌先で口の中にある彼女の突起した部分を突つくように舐める。 「あ、そ‥‥んあっ! やっ‥‥あぁ!」  そんないい加減な戯技でも、彼女はひとつひとつ強く激しく反応してくれていて、 汗が光りだし、顔だけでなく肌全体がうっすらと赤く染まっていた。 「んあぁぁ‥‥ あぁ! あ‥‥んっ‥‥」  一度胸から顔を離すと、御薗先輩は激しい呼吸を繰り返している。 「あ、あそ、くん‥‥んぁ、‥‥も、もっと胸、触って‥お願い‥」  羞恥を堪えるよりも、それに溺れた方が楽だと感じ取ったのか、自分の衝動を抑え 切れなかったように御薗先輩が愛撫をねだってきた。  迎えられるように彼女の形のいい乳房が突き出される。 「んぁっ! ひぁっ‥‥あっ、あっ‥‥ああぁっ!」  目の前の果実の恩恵に預かるべくオレは片方の乳房を口に、もう片方を手の平一杯 に掴んで味わい尽くす。 「いあぁ‥‥ ぁあ! ぁ、んぁ‥‥」  悶え続ける先輩の声が更にオレを高ぶらせる。 「はぁっ‥‥はぁっ‥‥はぁっ‥‥」  暫くそうして夢中で先輩の胸を味わい続けていたが、一度顔をあげてみた時にオレ の下で、先輩激しく呼吸をするだけなのに気づいて頭が冷えた。 「あっ‥‥ご、ごめん。ちょっと‥‥夢中になり過ぎた」 「‥はぁっ‥はぁ‥‥はぁ‥う、うん‥‥はぁ‥」  謝るオレに首を縦に動かして頷いてくれているが、目の焦点が合わず、ボーっと上 気した顔のままだった。 「その‥‥もっと優しくするから」  自分でもアテにならない言葉を投げかけて、虚ろな目をしている御薗先輩の唇に自 分の唇をゆっくりと重ね、彼女の唇の柔らかい感触を存分に楽しむように長いキスを する。 「‥‥んん‥‥‥‥はぁ」  彼女の熱い吐息が顔に当たって少しくすぐったい。  そして彼女の呼吸が一旦落ちつくまでの間に、手早く自分の服を脱ぐ。  上着を脱ぎ、シャツのボタンを一つづつ外す。  自分の部屋なのでシャツと靴下以外、制服をいつものようにハンガーにかける。 「んぁ‥‥」 「ん?」  最後にトランクスを脱いだところでベッドから息を呑む音がして、そこで自分の方 への視線に気づく。 「そこ、こんなになるんだ‥‥」 「‥え、あ‥‥ああ」  トランクスをその場に落とし、上半身だけ起こしていた御薗先輩の隣に座る。 「そ、その‥‥触ってもいい?」 「そっとな」 「え、ええ‥‥」  ずっと御薗先輩の目はオレのモノに釘づけになっていて、その手を側まで近づける と一瞬だけ躊躇ってから竿の部分に指を触れる。 「あうっ‥‥」  その瞬間、腰から背中にかけてゾクゾクとした感覚がオレを襲う。 「え、ええと‥‥」  躊躇いを残しながらも、ゆっくりと確かめるようにオレのモノを掴む。 「る、瑠璃子先輩‥‥」 「痛かったら‥‥い、言ってね」  彼女の表情もまた幾分強ばりはじめる。  そしてぎこちない手つきで握った手を上下に動かす。 「凄く‥熱い‥‥」  そう呟きながら、根元からしごきはじめる。 「‥‥ん‥‥ぅ‥うっ‥‥」 「気持ちいい?」  御薗先輩の手で自分のモノがしごかれているというシチュエーションと、彼女のひ んやりとした手の感触を竿全体で感じとることで、オレは既に脳髄の隅まで参ってし まっていた。 「あ、ああ‥‥」 「それじゃあ、もっとするわね」  オレの表情を見た御薗先輩は少し勝ち誇ったような顔をして、更に大きなストロー クでゆっくりと竿をしごきだす。  先から滲み出る液が竿を摩る彼女の手の動きをスムーズにする。  オレは奥歯を噛みシーツを強く握り締めて堪えていたが、それよりも主客転倒して いる状況を打破すべく、熱心にオレのモノを弄っている御薗先輩のショーツに指を入 れる。 「‥‥‥っ」  弄ることで主導権を奪い返しかけていた御薗先輩の手の動きが止まる。 「続けて」 「え、ええ‥‥」  オレに言われて再び摩り始めるが、意識がゴムに軽く指を引っ掛けるようにしてい るショーツの方にいっていて、さっきほどの快感はなかった。 「瑠璃子先輩、脱がすぞ」 「‥‥ちょ、ちょっと待って」 「待たない」  そう言って彼女の身体を抱きかかえるように引き寄せてから、両手で彼女のショー ツをおろす。 「‥‥ゃ‥」  唾を飲みこむ。  御薗先輩の大事な部分が露わになる。  綺麗に形の整った秘所の入り口から愛液が垂れ落ちて、光っていた。 「‥‥そんなじっくりと見ないで」 「綺麗だ、先輩」  ここで再び主導権を取り戻す。  彼女をそのまま横たわらせると、その大事な部分を手の平で包み込むように触り、 上下に優しく動かしてみる。 「んあっ‥‥はぁ‥‥んっ」  亀裂の部分をなぞるようにして指を這わせると、先輩の途切れ途切れの吐息が聞こ えてくる。 「ん‥‥あんっ‥あっ‥‥」  ぷくりと突起した敏感な部分を軽く触れる。 「あんんっ‥‥」  その瞬間、彼女の身体が震える。 「んくぁ‥‥あぁ、んっ‥‥はぁ‥‥っく‥‥はぁ‥んぁっ‥‥やっ」  充血して固くなっていたそれに執拗な刺激を与えるように指を動かしていくと、そ の動きに合わせるように声が漏れる。 「はぁ‥‥ぁあああっ、ん‥‥はぁ‥‥!」  指先で先輩の中心部を念入りに揉み解し、その指を入り口に少しだけ差し込む。 「ひっ‥‥ぁん‥‥」  初めは激しい抵抗を指先に感じたけれど、 「っく‥‥ああぁ‥‥はぁ‥‥あぁ、あっ‥‥!」  ゆっくり出したり引いたりを繰り返すうちに、徐々に飲みこまれるようにしてスム ーズに彼女の奥に入っていった。 「あ、ああぁ‥‥んっ」  埋めこんだ指を小刻みに動かすと、ぬるぬるとした透明な液体が溢れ出す。 「あっ‥ああぁ‥‥っく‥‥はぁ‥‥!」  熱く絡みつくような先輩の中を指で感じながら、第二関節あたりまで深く飲み込ま せる。 「ひゃっ‥‥! あぁぁ‥‥あっ‥‥」  軽くかき回すと、更に愛液が零れ落ちると同時に締めつけもきつくなる。  右に左に首を振り、髪を振り乱して悶える先輩の声と指から伝わる熱くきつい感触 に興奮して、夢中で指を動かし続ける。 「はぁ‥‥ああぁっ‥‥はぁっ、ああっ‥‥」  愛液の量が増え続け、指から手の平にまで絡みつくように流れ落ちる。 「はぁ‥‥あん、あっ‥‥いやぁぁぁぁ‥‥!」  艶のあるその声に自分で吃驚したのか、ハッと息を呑む様子がした。 「はぁ‥‥はぁ‥‥はぁ‥‥んんぅぅ」  一度強弱をつけるように指をうねらせて激しく弄ってから指を引きぬく。 「あうっ、ううう、うぁっ‥ くっ!」  そして腰を屈めると、声を押し殺すようにして小さく喘ぎ続けている先輩の秘所に 舌を這わせた。 「んぁぁっ! んふぅっ‥‥‥んっ、んはぁっ‥‥」  初めは裂け目に沿って丁寧にゆっくり舐めるものの、溢れ続ける愛液には音を立て て啜るしかなかった。 「んぁっ! ぅああっ、いっ‥‥‥んんっ、んっ‥‥ぁあ! ‥‥んっ」  次第に吸いたてるように口を押し付け、舌を伸ばして中から愛液を掻き出す。 「んぅ‥‥んんぅ、んぁっ‥んくっ‥‥‥」  目を固く瞑り顔中を真っ赤にしながら、口を必死になって抑えている。  その姿に興奮をかき立てられる。 「はぁ‥‥んくっ‥んはぁ‥‥はぁ‥‥」  甘い吐息を漏らす先輩に我慢できなくなって、耳元で囁く。 「‥‥もう、いい?」  薄目を開け、焦点の合っていない目つきでオレの顔を見てから御薗先輩は頷いた。  手を口元にあてたままもう一度、頷いた。  はっきりとした言葉が出ないらしい。 「え‥‥あ‥‥ああっ!‥‥んっ」  互いの性器が愛液が混ざって擦れる音が響く。  挿入する前からその生暖かい感触が、そこからオレの背筋を通して全身に行き渡り それだけで果てそうになる。 「くっ‥‥」  こみ上げる感触を我慢しながら御薗先輩の腰を両手で固定して、分身で襞をかき分 けるように押し進め、ゆっくりと腰を突き入れた。 「んぐ‥‥あっ、ああっ‥‥ぅっ!」  今までの嬌声が悲鳴に変わる。  彼女の身体が震え、先端部分が少し飲み込まれる。 「‥‥ぐっ‥‥うぅ‥‥ああ‥‥ああぁぁ‥‥!」  目尻から涙を零しつつ、苦痛を我慢しようとする姿がいじらしい。 「ぐ、んん‥‥んっ、んんぁっ!」  必死の形相で、唇を噛んでいた。 「んはぁぁ‥‥い、いぁ‥‥あっ、ああぁぁ‥‥」  徐々に力を込めて、中に捻じり込むように襞を広げていく。  彼女の中へ中へと突き進ませながらも早く終わらせてあげたいという焦りと、この 感触をもっと深く味わい尽くしたいという欲が交差して頭の奥がチカチカする。 「あ、あっ‥‥いた‥‥‥ぁあっ‥‥」  破瓜の痛みから逃れようと動く先輩の腰を掴み直すと、強く引き寄せるように抱き しめていた。  入り口を無理矢理抉じあけ、押し込みたい衝動を堪えきれなかった。 「あっ‥‥んぁぁぁっ!」  その瞬間、絶叫と共に彼女の身体が弓なりに仰け反る。  そして、オレのモノは抵抗を突き破って一気に彼女の奥まで埋め込まれた。  ヌルリとした感触が根本の方で感じる。 「うぁぁ‥‥!」 「る、瑠璃子先輩‥‥」 「うはぁ! はぁっ、はぁっ、はぁっ‥‥」  大きく呼吸を繰り返すことで痛みを堪えている。 「先輩‥‥」 「はぁ‥はぁ‥はぁ‥‥あ、麻生、く‥‥あぁ‥‥」  涙目になりながらも、必死に耐えている先輩の顔が痛々しい。 「ごめん。強引過ぎた」  申し訳ない気持ちで一杯になる。 「あ、あそ‥‥くん‥‥」 「‥‥瑠璃子先輩」  彼女の目尻から零れ続ける涙を指で掬う。 「はぁ‥‥う、ううん。いいわよ、もうだ、大丈夫‥」  異物を押し込まれた痛みに顔を歪めながらも、御薗先輩は笑顔を作ってくれた。 「ごめんな」  もう一度謝った。 「ふふ‥‥口は殊勝だけど、身体は違うみたいね」 「ああ。先輩を愛してるから‥‥」  我ながら馬鹿みたいな科白だとは思ったけども、先輩は、 「いいわよ。大分、慣れてきたから」  そんな嘘をついてくれた。 「じゃあゆっくり‥‥」 「ええ‥‥んはぁ‥‥‥ぁっ、うぁ‥‥」  恐々と身体を強ばらせつつ、浅くゆっくりと挿入を繰り返す。 「だ、だいじょ‥‥だから‥‥」  綺麗な眉が歪み、汗の量も激しい。  それでもオレが止めないように気遣った言葉をかけてくれる先輩が愛しくて溜まら なくなる。  この人はきっと誰よりも愛されることに飢えている。  愛情を欲し続けている。  そんな彼女の思いが擦れる部分を通して伝わってくるようだった。 「あっ、ああぅ‥ああぁ‥‥」  息を荒げながら、自ら招き入れるように腰をうねらせる。 「先輩‥‥そんなに‥‥」 「んあっ‥‥あっ‥‥ぅああ‥‥」  目の前で彼女の柔らかい胸がたぷたぷと揺れる。 「んんぅぅ‥‥」  それと同時に彼女の締め付けは痛いぐらいに激しさを増し、奥の方へ奥の方へと飲 みこんでいく。その背中を走る快感を歯を食いしばることで堪える。 「はぁ‥‥あ、あん‥‥ぁんん‥‥あ、はん‥‥」  両手でたっぷりとした胸の膨らみを捏ね回すようにゆっくりと愛撫を続ける。 「ああぁぁ‥‥あぁ‥‥んぁ、んく‥‥あぁ‥はぁ‥‥!」  乳房に舌をはわし、乳首を夢中で吸い上げる。 「はぁ‥‥」  乳首を唇で咥えながら、舌先を伸ばして先端を突つく。 「んはぁ‥‥っく‥‥くぁ‥‥あああぁ‥‥い、い‥‥」 「可愛いよ、先輩」 「んぅ‥‥い‥‥やぁ、あん‥‥‥あぁ‥‥」  幾度となく御薗先輩の中で突き上げ、その先端は子宮を突いていた。  結合部分はグチュグチュと愛液の音が絡む。  同時に先輩の熱い吐息に潤んだ瞳がオレの情欲を一気にかき立てる。 「はぁ‥‥っく‥‥麻生くん‥‥」  中で暴れ回る自分のモノがこれ以上なく膨れ上がるような射精感に、我慢し切れな くなる。愛撫する余裕もなくなり、ひたすら腰を打ちつけ続けていた。 「せ、先輩‥‥も、もうっ‥‥」 「‥あっ‥ああぁ‥‥んんんぅぅ‥‥!!」  オレの声が聞こえたのか聞こえていなかったのか判らなかったが、先輩の声が一層 大きくなる。 「んっ‥んっ‥んっ‥んっ‥‥あっ、あっ‥‥ああっ、ああぁ‥‥!」  次第に両手は首の後ろに回り、強く胸を押しつけるように抱きしめてきた。  そしてより深く求めるように脚を腰の後ろに絡める。 「う、うぁっ‥‥」 「だ、だいっ‥‥ぶっ‥‥あぁっ! い、あぁぁ‥‥」  彼女はオレに縋りつくように身体を密着させる。  それでもオレの腰の動きだけは止まらない。  突き上げる速度は限界を越え、自分で動いている気がしなかった。  こうして先輩を貪り求め、彼女の中で果てることしか頭になかった。 「ああぁぁ‥‥!!」  一際強い締めつけと共に痙攣した感触が、オレの射精を後押しした。 「んぁ‥‥あああああぁぁぁ‥‥!!」 「っく‥‥!」  一瞬にして沸き上がる感触と共に、オレは御薗先輩の中に全てを注ぎ込んだ。 「んぁっ! んぁぁぁぁ‥‥ぁっ、あぁぁ‥‥」  延々と吐き出し続けるオレの精液が先輩の膣の中を満たし続ける。 「はぁ‥はぁ‥はぁ‥はぁ‥‥はぁっ‥‥はぁっ‥‥はぁっ‥‥はぁ‥」 「る、瑠璃子先輩‥‥」 「好き‥‥」 「え?」 「好き‥‥」  そう言って彼女はオレの唇を貪るようにキスをしてきた。  改めて強く抱きしめてくる。 「‥‥ぅんっ!?」 「はぁ‥‥はぁ‥‥はぁ‥‥」  ずっと欲しくて欲しくてたまらなかったものをもう手放すまいとする彼女の思いを 感じる。  普段の彼女が絶対に見せないでいた部分――彼女の本当の素顔を見た気がした。  そんな行動が愛しくて、 「‥‥ぅん?」  全身で汗ばんでいる息を荒げたままの御薗先輩の頭を優しく撫でていた。  艶やかな髪のサラサラとした感触が手の平いっぱいに広がる。  指をその髪の間に通して梳くように流してみる。 「先輩の髪、綺麗だ」 「‥‥‥あっ‥‥ん‥‥ありがとう‥」  素直に頷く今の先輩は紛れもなく、『女の子』だった。 「撫でられるのは嫌?」 「ううん。こんな風に頭を撫でられたのっていつが最後だったかなって‥‥」  オレの胸に両手をあてると、うっとりしたように目を細める。 「本当に私がまだ、子供の頃の時以来だった気がするわ」 「なあ、御薗先輩」 「‥‥改まって、何?」 「凄く、気持ち良かった」 「馬鹿‥‥」  泣き笑い。 「‥‥でも、嬉しい」  そして真っ赤になって照れてくれた。 「‥‥」 「あっ‥」 「ご、ごめん‥‥」  御薗先輩のそんな表情を見ていただけで、彼女の中に入ったままのものがまた大き くなっていた。 「‥‥」 「も、もう‥‥あっ‥」  顔を赤くしたまま、先輩は困ったように視線を泳がせる。 「え、ええと‥‥」 「‥‥し、知らないっ‥んぁっ‥‥あっ‥」  我慢できなくなってもう一度、先輩に甘えることにする。  精液と愛液で滑りやすくなったせいか、一度でかなり慣れたのかさっき程痛がる素 振りも見せず、オレの動きに応じてくれた。 「はぁっ‥‥あ、あぁ‥‥あんっ、あっ‥‥」 「瑠璃子先輩‥‥好きだよ‥‥」 「んぁ! んはぁ‥‥はぁ‥‥はぁ‥‥はあっ!」  そのままオレ達は互いを求め合い、身体を重ねることだけに没頭し続けた。 ・ ・ ・  随分と回り道はしたけれど、この二週間余りは得るものが大きかった気がする。  短い間に随分と成長したような気分にさせられるし、実際その考えは間違っていな いと思う。  今、オレがこうして自分に自信を持って絵筆を握っていられるのも、その貴重な経 験のおかげなのだから。  オレに絵に対する拘りを気づかせてくれるきっかけをくれた君影百合奈先輩。  生きているものには絵では敵わない、表わす事が出来ない魅力がいっぱいあるとオ レは思う。それでも絵で表したいと、人を描いてみたいという気持ちにさせてくれた のが‥‥ 「ちょっと、何を考えているのかしら?」 「ん?」 「こうしてモデルである私が身動きするのも我慢しているんだから、キミには他のこ とを考えてボーっとしていて欲しくないんだけど」 「いや、ボーっとなんかしていないさ」 「どうだか」 「失敬だな」 「それこそ、今更じゃないの」  そう言って笑う彼女。  オレのキャンバスの中の彼女にも同じ笑顔を描きたいと、再び絵筆を振るう。  何も隠すものはないと一糸纏わぬ姿でいるオレの彼女――御薗瑠璃子を前にして。                             <完>
《後書き》  SSと言うよりも補完シナリオを考えるとこんな話の流れがいいかなとか思っただ けのものかも。説明不足というかはしょっている部分もありますし。  シナリオを意識したので原作の科白や進行をかなりなぞっています。あからさまに 句読点が多い部分は弄りましたが(爆)。


この作品への感想を是非。

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