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恵篇
 いつの間にか、俺は恵の部屋のドアの前に立っていた。  すでに夜も遅く、居間の電気は消えていた。  トントン……  俺は、ドアをノックした。 「……」  返事がない。  寝ているのか? と思ったが、そうではなさそうだ。  ドアの隙間から、部屋の灯りが漏れている。  ノブを回すとドアが開いた。 「……」  部屋の中に、恵の姿は見えなかった。  バスルームから、水の音が聞こえてくる。  俺はしばらく、ボーッと立っていた。  どうしたらいい……出たほうがいいのか?  その時、水の音が止まった。  俺は慌てて、どうすればいいのかわからず、キョロキョロとしてしまった。 「……?」 「……?」 「……!?」  バスルームから出てきた恵と……バッタリ出会ってしまった。  恵の目が……大きく見開かれる……  驚きのあまり、俺も顔をそらす事ができなかった。  そのまましばらく、恵と俺はお互いを見つめあう格好になった。  ……胸が高鳴る。  恵は……どういうわけか、悲鳴もあげなかった。 「……ど、どうしたの。お兄ちゃん」 「え……」  妹の声。  思わず間の抜けた声を上げていた。 「あ、その……」  顔をそらすこともできずにただボーッと、妹の身体を見ていた。  俺はいったい……何をしてるんだ? 「あ、す、すまない!」  そこでようやく自分のしていることに気づき、慌てて外に出ようとする。 「待って!」 「……え?」  呼び止められる。  いや、腕を掴まれていた。 「待って、お兄ちゃん……」 「……」  強い力ではなかったものの、裾を掴まれた俺は動けなくなってそこで立ち竦んでし まった。 「そ、その……私は大丈夫だから」 「で、でも……」 「ちょっと、びっくりしたけど……」 「ごめん。夜中なのに」 「ううん、いいの。お兄ちゃんは特別だから」  恵はそう言って掴んでいた裾を離してから、俺の前に立つ。  湯上りで火照った身体から立ち上る恵の香りが俺の鼻腔をくすぐる。  クラクラした。 「ここ、座って」 「う、うん……」  恵に言われるがままに、彼女のベッドに腰を下ろす。  普段なら女の子のベッドに座ることなどしなかったのだが、そうした判断ができな くなるぐらいに動揺していた。  本当に俺は一体、何をしているんだろう。  眠れない程に気になっていた筈のことが、霞のように頭から消えていく。  俺は真っ赤になって、そのままぼんやりと立ちつくす。 「あの……お兄ちゃん……」 「う、うん?」  びっくりして、声が上ずってしまった。 「こんな時間に、私の部屋に……」  一つ一つ噛み締めるように恵が呟く。  気がつくと、恵の顔も真っ赤になっている。 「夜這いにきたわけじゃ、ないんでしょ?」  よ、夜這い!? 「と、とんでもない! その、お、俺は……」 「わかってる、わかっているから落ち着いてお兄ちゃん」  慌てふためく俺を宥める恵。  まさかそんな風に思われていたなんて。  でも、いきなり夜中に部屋に入ってきていたのだからそう思われてもおかしくはな い。 「俺は、その……」  昼間インターネットで見つけたあの別荘の写真を、できれば住所を知りたかった。  マナと18年間共に過ごしてきたあの場所を。  マナに会えるかもしれないあの場所を。  忘れろと言われたけれど、決して忘れることはできない。  俺はその為にここに来たのだと思い出した。 「お兄ちゃん、突然部屋にいるんだもん……」 「すまない……」 「いいんだってば」  恵が、笑いながら手を振っている。 「と、とにかく俺、ひとまず部屋を出てるから」  話はその後でと立ち上がりかけると恵に制された。 「いいのよ」 「でも、その格好のままじゃあ、風邪をひいてしまう」  お風呂上りなのだから尚更だ。 「大丈夫」 「だけど」 「だったら……」  恵はそう言って俺の隣に腰を下ろすと、 「お、お兄ちゃんが……」 「え?」  真っ赤になって何かを呟いたが最後の方が聞こえなかった。 「お、お兄ちゃんが……」 「めぐ……?」  暖めてくれる?  そんな風に聞こえた。  いや、聞き違いだ。  そんなことは…… 「昼間の別荘が気になるの?」 「!?」  何の前触れも無く、その話題に触れられた。  慌てて顔を上げると、対照的に恵は顔を伏せていた。 「お兄ちゃん、そこに行くの?」 「い、いや……」  そんなつもりで、いる。  行かなくてはならない。  行かなくちゃいけない。 「行かせたくない」 「……え?」 「お兄ちゃんを、行かせたくない」 「めぐ、み……?」 「お兄ちゃん、きっとそこにいったらもう帰ってこない気がするから……」 「なっ!?」  そんな馬鹿な、そう言い掛けて口籠る。 「恵の前からいなくなっちゃう気がするから」 「そんなことはない。すぐに帰ってくる。ちょっと行って、ちょっと見て戻ってくる だけだ」  今更行かないとか、そのレベルの嘘はつけない状況だった。  元々、俺は嘘が下手な人間らしいし、何より嘘をできることならつきたくなかった。 「約束する。きっと帰ってくるから」  そう重ねて言う俺の言葉にも恵は大した反応を示さない。  だからこそ必死になる。  俺は恵がいたからこそ、ここに存在できる。  この世界にいられる。  その恵を哀しませたくない。落ち込ませたくない。  必死だった。 「お兄ちゃん……」 「恵……」 「あのね……お兄ちゃんがね、さっき部屋にいた時すごく驚いたんだ」  また話が戻っていた。  どういうことなのか。  俺は更に混乱し、動揺する。  恵のことがちっともわからなかった。 「それは……」 「だって、それまでずっとお兄ちゃんのこと、考えていたから」 「!?」  ゆっくりと顔を上げた恵の顔は真っ赤になりつつ、微笑んでいた。  嬉しそうに。  そして、愛しそうに。 「お兄ちゃんのことを考えていたら、すぐ目の前にお兄ちゃんがいたの」 「……」 「すごく驚いたし、すごく嬉しかった……」  はじめて見る、妹の顔。  その目は潤み、声が震えていた。 「ずっと気づいてたけど、ずっと気づかない振りでいたけど、我慢したけど、忘れよ うとしてたけど……でも、駄目なの」 「めぐ……」 「今、こうしてお兄ちゃんを前にしていると止まらないの」 「……」 「お兄ちゃんが、好きです……」 「!?」  その時、俺の頭の中には沢山の残像が、流れていった。  沢山の人との出会い。  大事な人との出会い。  昔のこと。  そのずっと昔のこと。  更に昔のこと。  多くの、人と見詰めあい、向き合って、語り合った頃のことだけが思い出されてい く。  あの時、あの世界で、俺は幸せだった。  マナがいたから。  多くの友達がいたから。  皆笑って、楽しそうに、幸せそうに暮らしていた。  でも、それは仮初の世界。  俺は身動き一つできない呪いにかかっていた。  あそこで共に過ごした少女達もみな、この世界では傷つき、苦しんでいるという。  俺をこの世界に呼び戻した町に住む女は、彼女達の一人を愛しその傷を癒すことの みが俺の助かる道だと言っていた。  だが俺は彼女達ではなくマナを選んでいた。  マナを探したかった。  マナだけが、俺にとって本当に必要なものだったから。  俺をずっと無条件で慈しんでくれていたマナ。  俺だけを労わり、俺だけを見てくれたマナ。  マナには傷が無いから、そうあの女は言ったが俺はそんなことはどうでも良かった。  俺が求めていたのは、俺の呪いを解いてくれる力を持つあの少女たちではなく、俺 を慈しんでくれたマナだったのだから。  俺だけを見つめ、俺だけを愛してくれたマナ。  マナだけが、俺にとって特別だったのだ。  あの世界では。  そしてこの世界。  俺にとってのマナが……ここにいた。  俺の妹。  俺の家族。  そんな係累とはまた違うところに恵はいた。  俺が自分の両親を両親と思いきれない反面、恵だけは俺の妹だと思いこめていた。  家族に対する思い入れが違うから?  恵が一番俺に近くしてくれていたから?  違う。  恵はマナだった。  夢幻の世界で俺だけを見ていたマナと同じように、この世界で恵は俺だけを見つめ 続けてくれていた。  マナが向こうで俺の傍から離れることなく、俺を守ってくれている間、恵はずっと こっちで俺を護ってくれていた。  向こうにはマナがいた。  でも、こっちには恵がいるのだ。  俺は、何でそんな単純なことに気づかなかったのだろう。  この18年間、柏木勇介という男を護り続けてくれた恵。  その彼女を前にして、俺はどうして妄執に囚われていたのだろう。  俺がここにいる限り、マナはここにはいない。  そんなことは、ここに来た時から気づいていないといけなかったのだ。  いや、気づこうともしなかった。  ずっと俺の心だけはあっちに置いてきてしまっていたから。  そんな俺ですら、恵は見捨てず、支えてくれたというのに。  恵。  恵、恵、恵。  胸が熱くなる。  心の奥が震える。  夢幻に忘れていった俺の心が、今、ようやく自分の元に戻ってきた気がした。  身体に遅れ、意識に遅れていた心が、ようやく落ち着くべきところに落ち着いたの だと思った。 「恵……」  俺はそっと腕を伸ばすと、湯冷めしてかかっている恵の体温を補うように抱きしめ た。  そのまま肩口に顔を埋めて呟く様に、でもはっきりと答えた。 「ずっと……俺の傍に……」  うん、と頷く恵の声。  その声に抱きしめる力が更に強くなる。  今度は決して、離さない。  離れない。  永遠に続くことのない、僅かな時間。  終わることが定められているこの世界での時を、 「お兄ちゃん」 「恵」  俺は、  恵と居続ける事で刻み続ける。 「ぁ……」  強く、強く抱きしめていた。 「お兄……ちゃん」  そして、そのまま唇を重ねていた。 「……!?」  恵の目がびっくりしたかのように見開いた。  実際、びっくりしたのだ。俺もびっくりしていた。  どうしてこんなことをしているのか。  わからなかった。  けれど、こうしないといけない気がした。  こうしなくちゃ、いけなかった。  恵も抗うことなく、目を閉じて応じてきた。  互いに、互いの唇の感触に浸る。  親愛のキス。  情愛のキス。  そのどれででもあり、どれででもないキス。  俺と恵のキスは、俺と恵のものでしかなかった。  ここから始まり、後戻りの聞かない関係。  やり直しのできない、二人だけの関係。  一度ほつれた糸同士が絡み合うような、頼りない触れ合い。  それをこのまま強く結びつけるかどうか、俺は決めなくてはならない。 「ん……ぁ……」  重ねていた唇を離し、恵の顔を見た。  間近でみる、恵の顔。  ずっと俺のことを見守り続けてくれた女の顔。  俺の、掛け替えのない妹。  彼女が望むのなら、兄でいよう。  家族でいよう。  俺にとってはそれはもう当たり前のことであり、とっくの昔にわかっていることだ。  マナは母であり、彼女であり、家族であり、親友だった。  それと同じ感覚が恵にはある。  だからこそ、妹というだけの括りで終わらせることなどできるはずも無かった。  けれど、恵はどうだろうか。  恵はマナであり、マナが恵であるのは俺にとっての話だ。  恵にとって、俺は兄であるならば……。 「お兄ちゃん……」 「めぐ……っ!?」  見ると、恵の身体からバスタオルが滑り落ちていた。  抱き寄せた時に、解けてしまったらしい。  身体が少し離れたこの瞬間に、押さえを失ったそれは身勝手に落ちていた。  慌てて顔を逸らそうとして、できなかった。  恵は真っ直ぐに俺を見ていた。  俺だけを見ていた。  恥ずかしそうな顔をして、それでも目で必死に見つめていた。  俺の目はそんな恵の目に吸い寄せられていた。   「いいのか……?」  その目で、察することはできたが確認をしておく。  今すぐに触れたい。  抱き寄せたい。  吸い付きたい。  その沢山の感情を抑えて、精一杯の理性で聞いた。 「お兄ちゃんだから……たった一人の、私の好きになった人だから……」  笑顔で、泣いていた。  微笑んで、涙を零していた。  高潮させて、それでも真っ直ぐに俺を見て、恵が答えた。  真っ白な肌。  その綺麗な肌に目を奪われる。 「綺麗だ……」  思わず呟いていた。 「ずっと、お兄ちゃんに見てもらいたかった」 「……え?」 「おかしいって思うだろうけど、ずっとお兄ちゃんが好きだった。初めてお兄ちゃん に会った時から、ずっとずっと……」 「恵……」 「私がお兄ちゃんを見て、そしてお兄ちゃんにも私を見て欲しかった」  恵の目から涙が流れ続ける。  それでもじっと俺を見つめ続ける。 「兄妹だからって、そう思ってた。思おうとしていた……でも、お兄ちゃんが、お兄 ちゃんでなくても、恵は……きっと……お兄ちゃんの傍に居たいと願ったと思う」  絶えない告白。  まるで押さえつけていたものが堰を切ったように。  恵はその思いをぶつけてくる。  それだけ必死なのか。  それとも必然なのか。  俺が恵の中にマナを感じたように、恵も俺に何かを感じているのか。  男と女。  兄と妹。  そんな関係では片付けない、惹かれる心。  求めていたもの。  それが恵にとっては俺なのか。 「私をお兄ちゃんの傍にいさせて欲しい」  この世界を何もかも突き抜けてしまった。  それが、今の恵だった。 「恵……」  そしてその恵に対する俺の感情は、たった一つだった。  傷を持っているという少女達の誰へでもなく、俺と同体化していたマナへでもなく 向けられた感情。  遠い昔に覚えて、その為に誤った感情。  人を崩し、揺らがせる感情。  それゆえに何よりも尊く、何よりも醜い感情。  愛。  俺は、今、恵に愛を覚えた。  くすぶっていたものの正体がはっきりと浮かび上がってきた。  そして自覚していた。  俺は、恵に愛を感じていると。  ずっと見守ってくれていた人に。  世話を焼いてくれた人に。  家族である人に。  妹である人に。  異性である人に。  この世のただ一人の人に。  俺は、愛を感じた。  俺が求め、彼女も求めていた。  それが自然な流れのように、恵の身体を再び抱きしめて唇を重ねていた。 「……ん……んぁ……」  彼女の口腔を味わうべく舌を伸ばし、唇の中に差し込んだ。  恵もそれに応じて、舌を重ねてくる。  絡んだ互いの舌が、更に二人をかき立てる気分にさせる。  激しく、音を立てながら共に貪り合う。  溢れかえる唾液が唇から零れて、口の端から流れ落ちる。 「ん、んはぁっ……」  息継ぎをするように一度口を離すと、そのまま彼女の首筋に吸い付いた。  そして呼吸と共に上下に揺れる彼女の柔らかい乳房を両手で掴んだ。 「や、ぁ……ぁっ! だ……」  掴んだ瞬間、ビクンと恵の身体が弾んだ。  ちょっと驚いたが、止めようとは思わなかった。  気遣う、余裕がなくなっていた。 「恵……」  揉む。  彼女の双丘を両手でもみしだいていく。  ゆっくりと包み込むようにして、恵の胸の、その柔らかさ、そして暖かさを掌一杯 に感じ取っていく。  手の中で思うが侭に形の変わっていくそれに顔を近づけ、 「んぁ、ん……」  その先端を唇で挟んだ。  二度三度と唇で揉んでから、舌を這わせる。 「……ん……ぁあ……ぁ、ん……」  乳首がその刺激によって硬くなっていくのが判る。 「んぁっ! ……んぁぅっ」  もう一方の乳首を左指で摘んでいた。  捏ねるように、そして押し潰すように弄っていく。 「あっ! ……あふ……ん、んんっ!」  その行為の度に彼女の胸が震えるように揺れる。 「ぅ……」  夢中になるあまり無理な体勢になっていたと気づいた瞬間、そのままベッドの上に 倒れこんでいた。 「きゃっ」  軽い恵の悲鳴。  それでも俺は彼女の身体を弄るの止めなかった。  浅ましく、必死な行為だった。 「ふっ、あぅ……ん……ぁぅっ……」  左手と口で胸を弄っていたが、いつの間にか俺の右手は彼女の下半身へと伸びてい た。  彼女の腿の内側、繁みを掻き分けそっとその奥を触ってみる。 「あんっ! ……はぁ、んぁぁ!」  彼女の体液に濡れたそこは、彼女の敏感なところだった。  得体の知れない程の快感があるらしく、さっきよりもずっと激しく彼女の身体が撥 ねた。それを見て、俺はさらに秘裂の奥へと指を進める。 「……んっ、あああぁっ!」  何か、突起物に指が当たった。 「……だ、大丈夫?」  思わず聞いてしまうような、恵の反応だった。 「ぁ……う、うん。そ、その……」  俺の動揺した声に気づいたのか、どう答えていいのかわからない様な困った顔。 「だ、大丈夫、だから……」  重なり合うように倒れこんでいた格好から俺は一度身体を起こした。 「ぇ……?」  一瞬、恵は何かわからなかったようだ。  俺は仰向けになった恵の太腿に手を添えると、そのまま押し開いた。 「……きゃ、きゃあっ!?」  俺が部屋に居た時にもあげなかった悲鳴が恵の口から漏れる。 「お、お兄ちゃん、駄目!」  俺の意図、というよりも視線に気づいた恵が必死の声をあげる。 「恵のここ……綺麗だ……」 「み、見ない……で……」 「ごめん」  謝っただけで、視線を外すことはできなかった。  申し訳程度の繁みに、ピンク色の秘裂は隠されていた。 「恥ずかしいよ……」  じっと見つめる俺に恵は涙を零しながら言う。 「でも、綺麗だ……」  それしか思いつかなかった。  きっと何の予備知識も無いで見たら思わなかった言葉。  沸かない感情。  でも、今の俺にとってそこはそう表現する以外ないところだった。 「……や、やぁぁぁっ!」  指で恵の秘裂を押し広げる。  そしてもう一方の手で、その中心を指の腹を使って擦る。 「ん! あ……あぁ……ぁぁっ!」  秘裂からは、湧き水のように愛液が滴り落ちる。  そして彼女の中心のそこが目に入る。 「ここが……恵のクリ……ト……」 「い、いやぁ……!」  秘裂全体がひくついていた。 「んっ……んあぁ! はぁ……んん……」  上気する彼女の身体からは汗と彼女自身の匂いが立ち上っていた。  鼻腔一杯に恵を感じながら、乳房と秘裂への愛撫を続ける。 「っん……んんぅ、んぁ……んぁぁぁぁっ!」  俺の身体の下で喘ぐ恵。  もうこれ以上、我慢できそうになかった。 「はぁ……はぁ……はぁ……」 「恵。俺、もう……」 「……うん……お兄ちゃん……」  彼女の肉壁を確認しながら、俺自身をそこにあてがった。  そして、一度目で確認をとってから、ゆっくりと侵入させていった。 「くっ……ん…ぅん……」  形のいい眉を歪め、苦しそうな表情を浮かべる恵。  彼女を苦しめ、傷つけているという懼れと、彼女と俺の望む結果に至っているのだ という自負。  そしてその全ての考えを追い払う圧倒的な快楽。  愛液に溢れた彼女の膣の中は、とても熱くて、狭かった。  無理に入れようとして痛みを覚えながらも、入れられようとして苦しんでいる彼女 を知りながらも、快楽だけがその行為を強く後押しした。 「く……くぅぅっ!」 「んぁ、ああぁぁぁぁぁぁぁ――――っ!!」  恵の膣内は、俺の全てを飲み込んだ。 「ぁ、ぅぅぅ……」 「んぁ、んぁぁっ……」  刺激がどうしようもないぐらいに増した。  彼女の膣は俺のモノを締め付け、快楽を与え続けていた。 「うぁっ、くぅぅっ……」 「……あ、あぁっ!」  溜まらず、腰が動いていた。  その動きに恵が痛みを訴える。  わかっていた。  けれども、止まらなかった。 「ご、ごめ……」  最早、自分の為にだけ謝罪の言葉を漏らし、聞こえてもいないだろう恵の意思を無 視して、俺は更に膨れ上がる快感を逸らすために、更なる快楽を求めて、激しく動い ていた。 「いい。凄く、いい……ぁ……」  自分勝手に吼えていた。 「お、お兄……ちゃん……」  そんな俺に、恵は脂汗を流しながら必死に笑顔を作っていた。  我慢している。  それがわかっていたも、どうしようもなかった。 「いいん……だ……」 「すごく……すごく……」  答えながらも、腰の動きは止まらなかった。  止めてしまったら、全てが終わってしまうかのように必死で動かしていた。  夢中になっていた。 「うれ……しぃ……」  ギュッと彼女の腕が俺の背中に回される。  深く抱きしめ、そしてそれがさらに深く繋がることとなった。 「……うぁぅっ!」 「恵っ!」  苦しむ妹を更に痛みつけるべく、腰を揺らす。  彼女の肉襞が俺に絡みつき、用意に動かさせてくれない。  それにも構わず、腰を揺すり続けた。 「くっ……」 「んっ……んっ……」  責めて、責め続ける。  俺のために。  俺の快楽のために。  俺は彼女の肉を貪る。 「んぁっ……あっ、ああっ、あ、ああぁっ、ああっ……」  そんな俺の動きにも彼女の膣は耐え、包み込んでてくれていた。 「ん、あぁっ、んあっ、あっ、ああっ……んっ!」  くちゅくちゅと愛液の音と、動かすたびにぶつかり合う肉の音、そして俺たちの声 だけがこの部屋を支配していた。 「お兄ちゃん……お兄ちゃん……」 「恵……恵……」  必死に恵の身体を抱き寄せる。  背中に回っていた恵の手に更に力が籠もる。 「あっ、ああっ! お兄ちゃん……おにいちゃんっ!」 「もう……お、俺……」 「いいから、きて! お兄ちゃん! きて!」  必死に叫ぶ恵の声に縋るように、俺は更に腰を動かした。  自分の欲望を達成すべく、解放を求めて動かし続けた。 「う、ぅぅ、も、うっ……ん、んんっ!」 「あっ、あっ、ああっ、ああああっ、んぁぁぁぁぁっ!!」  絶頂。  限界まで膨れ上がった快楽の渦に飲み込まれながら、俺は恵の膣内に全てを放って いた。 「……ぁ! ぁ、ぁぁぁ……あぁ……」 「は………ぁ……」  全てを放ち終えると、恵の身体の上に倒れこむ。 「恵……恵……」 「おにい……ちゃん……」  荒い呼吸の中、俺は顔を上げた。  うっとりと何かに酔ったような恵と目があった。 「お兄ちゃん」 「めぐ……んっ……」  上気させた恵は俺の頭を押さえつけると、そのまま唇を押し付けてきた。  彼女からの俺への意思表示だった。  俺はもたれかかっていた彼女をもう一度、強く抱きしめた。  彼女――恵の傷。  これからも強く、深く刻まれる傷。  俺と共にいることでつけられた傷。  俺はそれを癒す。  その為にこの短い命を捧げようと誓った。  たとえそれが、天に反することであっても。  誰の意にも適わないことであっても。  矛盾することであっても。  運命から外れることであっても。  俺は、恵と共に居る。 「お兄ちゃん……」 「恵……」  もう一度、キスをした。  愛する人と共に生きることを誓うキス。  遠い昔に果たせなかった、俺のもう一つの道。  それは重ならない二つの思いが一つになった、そんな瞬間だった。                            <完>

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