『はるかとカラーひよこ売り』


2000/01/17



冬弥「あ、はるか……こんな所で何してるんだ?」
はるか「ひよこ」
冬弥「あ、ああ。そうだな。これ売ってるのか?」
はるか「見てる」
冬弥「見てるだけか?」
はるか「私はね。で、冬弥が買うの」
冬弥「……決めるな」
はるか「50年生きるよ」
冬弥「で、明日死んだら「昨日が49年364日目でした」とか言うのか?」
はるか「ううん」
冬弥「じゃあ何て?」
はるか「明日は別の通学路で売るから」
冬弥「カタ屋かよ」
弥生「いえ、カタ屋はドロンです。それは怪しげなマジック道具セット売りです」
冬弥「や、弥生さんっ!?」
はるか「あ、オーナー」
冬弥「オ、オーナー!?」
はるか「赤鬼マイク」
冬弥「それはホーナー! しかもマイクは青鬼で赤鬼はトムだ!!」
弥生「はるかさん、売れていますか」
はるか「冬弥が全部買うって」
弥生「そうですか。お買い上げ有り難うございます」
冬弥「そんなこと言ってないっ!!」
はるか「うそつき」
冬弥「どっちがだっ!!」
弥生「占めて50円です」
冬弥「だから買わないって……って50円?」
弥生「はい。全部で50円です」
冬弥「ず、随分安いですね」
はるか「冬弥にだけ特別ご奉仕価格。今ならこのカラー鶏もついてくるよ」
冬弥「成長しただけだろーが」
弥生「如何ですか? それとも、50円も払えませんか?」
はるか「冬弥、貧乏だから」
冬弥「だからって50円も出せないほど貧乏じゃないぞっ!!」
弥生「無理にとは申しませんが……どうします?」
冬弥「…………」
弥生「由綺さんはたった50円を惜しむ自称恋人さんの行為をどう思いましょうか?」
冬弥「自称は止めて下さいっ! 買いますよ、買えばいいんでしょっ!!」
はるか「わーい」
弥生「では、明日トラックで自宅まで運ばせますから」
冬弥「ったく、どーやって始末すれば……って、トラック?」
はるか「世話が大変だね」
弥生「はい。50円で50万匹のひよこを……」
冬弥「ちょっと待てっ! ここにあった全部の値段じゃないのかよっ!!」
弥生「ではまた明日」
はるか「じゃあね、冬弥」
冬弥「おいっ! 待てコラっ!!」
はるか「カラー鶏も宜しくね」
冬弥「待てーっ!!」


理奈「ねぇねぇ、弥生さんから聞いたんだけど、冬弥君って動物好きなんだって?」
冬弥「……」
理奈「あ、あれ……冬弥君。泣いてるの? どうして!?」



                         <おしまい>


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