『由綺からのクリスマスプレゼント 〜あなたにあげられるわたしのもの2〜』
さて、今日は12月24日、クリスマスイブ。 俺の恋人こと由綺の誕生日だ。 去年はクリスマスコンサートがあったりして、プレゼントを渡す機会が無かったが、 今年も似たような事態となった。 折角用意したプレゼントは今度会う時に渡す事にしよう。 俺も今日はのんびりと家でTVでも見て過ごそうと決意していたら、 ピンポーーーン。 と、ベルが鳴った。 「あ、はい……」 俺が返事をしながらドアを開けると、そこに弥生さんがいた。 「おはようございます」 「あ、弥生さ……」 弥生さんは今日も変わらないスーツ姿の……筈だった。 頭に真っ赤なリボンを付けている以外は。 「あ、あの……」 「今日は由綺さんの用事で参りました。中に入っても宜しいでしょうか?」 「え、あ……はい……」 「お邪魔いたします」 俺の動揺を無視して静かに弥生さんは部屋の中に入ってくる。 頭に真っ赤なリボンをして。 「あの……弥生さん……そ……」 「今日は由綺さんの誕生日且つクリスマスイブということですが……」 「……あ、はい」 俺の質問に被せるようにして弥生さんが喋り出す。 頭に真っ赤なリボンをして。 「ですが、由綺さんは藤井さんも知っての通り、今年もコンサートがあり、そのまま 全国ツアーに雪崩れ込む為に去年の様に、お会いすることは出来ません」 「知ってますよ……」 ちょっとむくれる。 俺はそんな聞き分けの無い人間ではない。 「そこで、由綺さんは藤井さんに申し訳ないということで……」 「はぁ……」 「せめてクリスマスプレゼントをと……」 「はぁ……って、ま、まさか……」 ハッとした顔をする俺に弥生さんは頷きながら、胸を微かにそらした。 頭に真っ赤なリボンをして。 「……ええ。由綺さんからのクリスマスプレゼントです」 「…………」 取り敢えず、食べてみた。 <おしまい>