『由綺からのクリスマスプレゼント 〜あなたにあげられるわたしのもの2〜』


1999/12/17



 さて、今日は12月24日、クリスマスイブ。
 俺の恋人こと由綺の誕生日だ。

 去年はクリスマスコンサートがあったりして、プレゼントを渡す機会が無かったが、
今年も似たような事態となった。
 折角用意したプレゼントは今度会う時に渡す事にしよう。
 俺も今日はのんびりと家でTVでも見て過ごそうと決意していたら、

 ピンポーーーン。

 と、ベルが鳴った。

「あ、はい……」
 俺が返事をしながらドアを開けると、そこに弥生さんがいた。
「おはようございます」
「あ、弥生さ……」
 弥生さんは今日も変わらないスーツ姿の……筈だった。
 頭に真っ赤なリボンを付けている以外は。
「あ、あの……」
「今日は由綺さんの用事で参りました。中に入っても宜しいでしょうか?」
「え、あ……はい……」
「お邪魔いたします」
 俺の動揺を無視して静かに弥生さんは部屋の中に入ってくる。
 頭に真っ赤なリボンをして。
「あの……弥生さん……そ……」
「今日は由綺さんの誕生日且つクリスマスイブということですが……」
「……あ、はい」
 俺の質問に被せるようにして弥生さんが喋り出す。
 頭に真っ赤なリボンをして。
「ですが、由綺さんは藤井さんも知っての通り、今年もコンサートがあり、そのまま
全国ツアーに雪崩れ込む為に去年の様に、お会いすることは出来ません」
「知ってますよ……」
 ちょっとむくれる。
 俺はそんな聞き分けの無い人間ではない。
「そこで、由綺さんは藤井さんに申し訳ないということで……」
「はぁ……」
「せめてクリスマスプレゼントをと……」
「はぁ……って、ま、まさか……」
 ハッとした顔をする俺に弥生さんは頷きながら、胸を微かにそらした。
 頭に真っ赤なリボンをして。

「……ええ。由綺さんからのクリスマスプレゼントです」
「…………」

 取り敢えず、食べてみた。









                         <おしまい>


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