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『マルチの肩に乗せた手』

『マルチの肩に乗せた手』



 今、隣でマルチさんが一生懸命になって、私のことを藤田浩之さんと言う方に説明
しています。
 私は、彼女が悩んだ時にだけ、口を挟むようにして、ふと、考えていました。

 私たちメイドロボットはこれからの社会を担うための商品となる筈です。
 ですが、マルチさん本人も言う通り、私に比べてマルチさんはあまり、何をするに
も上手ではありません。
 商品とは新しい物ほど、出来が良いはずです。
 なのに何故、マルチさんは……。


 そこで、私はとある光景を思い出しました。


 TVの洗剤などのCMなどで見る、比較広告です。
 新製品の隣には必ず、「当社従来品」というものがあります。


 ………………。


 ポン


 気付いたら私は、マルチさんの肩に手を乗せていました。



 頑張って下さい。マルチさん。




                        <おしまい>


『マルチの肩に乗せた手2』



 今、隣でマルチさんが一生懸命になって、私のことを藤田浩之さんと言う方に説明
しています。
 私は、彼女が悩んだ時にだけ、口を挟むようにして、ふと、考えていました。

 私たちメイドロボットはこれからの社会を担うための商品となる筈です。
 ですが、マルチさん本人も言う通り、私に比べてマルチさんはあまり、何をするに
も上手ではありません。
 商品とは新しい物ほど、出来が良いはずです。
 なのに何故、マルチさんは……。


 そこで、私はとある光景を思い出しました。


 TVの通信販売などの番組などで見る、オマケです。
 何故か必ず「今、お買いあげになるともれなく……」が決まり文句のあれです。


 ……………………。


 ポン


 気付いたら私は、マルチさんの肩に手を乗せていました。



 やっぱり頑張って下さい。マルチさん。




                        <おしまい>


『マルチの肩に乗せた手3』



 今、隣でマルチさんが一生懸命になって、私のことを藤田浩之さんと言う方に説明
しています。
 私は、彼女が悩んだ時にだけ、口を挟むようにして、ふと、考えていました。

 私たちメイドロボットはこれからの社会を担うための商品となる筈です。
 ですが、マルチさん本人も言う通り、私に比べてマルチさんはあまり、何をするに
も上手ではありません。
 商品とは新しい物ほど、出来が良いはずです。
 なのに何故、マルチさんは……。


 そこで、私はとある光景を思い出しました。


 知らない人は居ないとまで言われる有名なTVアニメです。
 緑がいるからこそ、赤は三倍だと判って貰えるのです。



 …………………………。


 ポン


 気付いたら私は、マルチさんの肩に手を乗せていました。



 とにかく頑張って下さい。マルチさん。




                        <おしまい>


『マルチの肩に乗せた手4』



 今、隣でマルチさんが一生懸命になって、私のことを藤田浩之さんと言う方に説明
しています。
 私は、彼女が悩んだ時にだけ、口を挟むようにして、ふと、考えていました。

 私たちメイドロボットはこれからの社会を担うための商品となる筈です。
 ですが、マルチさん本人も言う通り、私に比べてマルチさんはあまり、何をするに
も上手ではありません。
 商品とは新しい物ほど、出来が良いはずです。
 なのに何故、マルチさんは……。


 そこで、私はとある光景を思い出しました。


 TVの四季折々の季節の変わり目に必ず放送される番組のシーンです。
「女だらけの水泳大会 ポロリ続出」なるあの放送で必ず用意されるポロリ要員の人
です。
 彼女らがいるからこそ、視聴率が安定するわけで、ドジでノロマな亀さんことマル
チさんが存在するからこそ、我々メイドロボットは人から愛される存在になれると言
うことに……


 ………………………………。


 ポン


 気付いたら私は、マルチさんの肩に手を乗せていました。



 とことん頑張って下さい。マルチさん。


                        <おしまい>

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