『聖なる遺伝子』
僕は長瀬祐介。 電波少年だったのも昔の話。 今は一流企業に勤め、可愛い妻と仲睦まじく暮らしていた。 あんな力はもう必要ない。 そして妻の沙織に子供が出来た。 勿論、僕の子供だ。 最初はそれこそ猿のようだが、成長するにつれ…… 「ここは俺に似ている」 「ここはわたしかな」 なんて夫婦の会話が成り立つのだが……。 成長した子供の顔は馬面だった。 結果、息子はグレ、妻は逃げだし、近所からは間男に寝取られた亭主とまで陰口を 叩かれた。 僕は封印していた力を使って、一族を皆殺し同様な廃人にしようと思って……。 ・ ・ ・ そこまで話した時、裁判長が宣った。 「判決、無罪」 裁判所、スタンディングオベーション。 <おしまい>