長門さん、あーん♪
 出展:2008,05,11 朝倉「長門さん、あーん♪」スレ


朝倉「長門さん、あーん♪」

朝倉「美味しい? ほらほら、口の周りご飯粒いっぱいついてる。もう、袖で拭こうとしない、行儀悪いわよ。もう、舌伸ばしたって届かないわよ。今とってあげるからじっとしててね……。んー、ほら、取れた。え、口で取るなってフフフ。私はいいの。うん、美味しい。もちろんご飯粒よ。はい、じゃあもう一回、あーん♪」

喜緑「朝倉さん。壁に向ってブツブツ呟かないでください。キショイです」
朝倉「ねえ、喜緑さん」
喜緑「嫌です」
朝倉「まだ何も言ってない……」
喜緑「聞かなくても判ります。長門さんと和解を取り持ってくれというんでしょう」
朝倉「あの日以来、学校は仕方ないにしてもマンションにも入れてくれないの……」
喜緑「自業自得です。それよりもいつまで私の家にいるつもりですか?」
朝倉「長門さんが部屋に入れてくれたら。ううん! せめて口を利いてくれたら……」
喜緑「出て行け」


――翌日。

朝倉「お願いしますお願いします入れてください入れてください」
九曜「――うるさい」

朝倉「私、対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース……」
橘「知ってます」
朝倉「だから臭くなんかないんです……よ?」
橘「いや貴女自身じゃなくて、その頭から被ってるダンボールから臭ってくるんです!」
朝倉「え、えっと、雨が酷くて……腐ったミカンのものしか見つからなくて……」
橘「九曜さん」
九曜「――?」
橘「拾ったところに戻してきなさい」
九曜「――ドアの? 前で、啼いてた……うるさい」
朝倉「あ、あの! 私、スパイとか役に立ちます! 長門さんの生写真とかいっぱい……いっぱい……」
橘「スパイなんか要りません、あとこっちの団員も間に合ってます。食べかけのよっちゃんイカあげますから帰ってください」


――翌日。

朝倉「貴女は私の長門さんですか? ごめんなさい。失礼しました。あ、貴女は長門さんの私ですか? 痛っ。ごめんなさい。長門さんは私――じゃなくて貴女ですか? あ、ま、待って……。あれ……靴が片方無い? どこに――あ、貴女は長門、いえ、間に合ってます」

キョン「こんな雨の中ダンボール被って何をやってるんだ。あいつは?」
みくる「な、なんか目のあった人に片っ端から声かけてるみたいで……」
古泉「困りましたね。涼宮さんに見つかりでもしたら面倒なことになりかねません」
キョン「都市伝説だろう。既にあれは」
古泉「それで長門さんはなんと?」
キョン「それがだな」
みくる「あ、あんな目をした長門さん、初めて見ました。怖かったです」

朝倉「歩き辛い……靴の再構成ってどうやるんだっけ……あ、車――きゃあっ!」

キョン「ん?」
古泉「おやおや。急展開ですね」
みくる「あわわわ。何か凄い格好をした人たちが車から出てきました……」

朝倉「あ、長門さんと長門さん! やっぱり来てくれたんだ。あははー」
?A「入国管理局の方から来た者です」
?B「――えと、汚物は、消毒?」
朝倉「長門さんがひとり、長門さんがふたり、長門さんがさ…いっぱい」
?A「体裁というものがありますので、渋々ですけど保護に来ました。渋々です。全くどうして私が…ブツブツ」
?B「ゆっきーおこるとこわい、から」

みくる「あ、連行されていきます!」
キョン「……朝倉って凄く強いってイメージが俺にはあるんだが」
古泉「さて、アレの保護者も無事来たみたいですし我々も帰りますか」
キョン「そうだな。雨も酷くなってきたし」
みくる「あ、あの、あの、放って置いていいんですか? あ、皆帰っちゃう、あ、あ……」


朝倉「ぺろぺろぺろ ん〜、ぺろぺろぺろぺろ」
?A→喜緑「聞きたくないのですが……何ですかそれは?」
?B→九曜「――ABS樹脂、の……飴?」
朝倉「あ、あげないんだから!」
喜緑「要りません」
朝倉「これは長門さんの小学校時代のリコーダーよ!」
九曜「――解職、請求、者?」
喜緑「……小学校時代?」
朝倉「そうよ、長門さんがまだ小さかった時! 今でも小さくて可愛いけど! 義務教育で使ってたものを気がついたら入手していたの!」
喜緑「……私達に小学校時代なんてねえよなんて言っても無駄なんでしょうね」
朝倉「ぺろぺろぺろ ん〜、ぺろぺろぺろぺろ」
九曜「――おしゃぶり」
喜緑「まあ、大人しくなるなら別にいいですか。はぁ……」
朝倉「長門さん!長門さん!長門さん!」
喜緑「うるさいっ! 黙れこの眉毛! こちとらずっと対策会議で寝てねえんだ!」
朝倉「あぁん♪ ビ゙クンビ゙クン……ん、ふぅ……」
九曜「――おおぅ、湯気」
喜緑「……後部座席を見たくないんですがどうなってます?」
朝倉「噴いちゃった――てへ♪」

喜緑「周防、そのゴミを車からたたき出せ。今すぐ」


――翌日。

朝倉「ZZZ……長門さんのこと有希って呼んでもいい? ううんできればゆっきーでもゆきりんでもゆっきっ気でゆききちでもゆーちゃんでもゆきんこでもゆーやっちゃいなよでもいいからお互い渾名で呼び合って親密度を高めてきゃっきゃうふふしたいのおねがいねえこっち向いて話を聞いていかないで捨てないですてないですてないですてないですてな」
喜緑「……ちっ、濡れティッシュじゃ駄目か。起きろザザ虫」
朝倉「ZZZ……どうしていつも冷たいの。そんなに酷いことするなら私だって魔法少女になっていけないおしおきを触手ステッキでしてあげるんだからほらこおんんなになってる」
喜緑「顔を近づけるな息を吹きかけるな触るな暈けるな服の下に手を入れるな嗅ぐな舐めるな噛むな気持ち悪いんだよこの女WAWAWA!」
朝倉「ZZ……あれ……? 長門さんがブロッコリー?」
喜緑「目が、覚めましたか」
朝倉「おはよう、喜緑さん。頭、凄い寝癖ね」
喜緑「……憎しみで人を殺せたら」
朝倉「でも長門さん、妄想や回想シーンですら一言も発しないのって酷くない?」
喜緑「それはいいですから、ご飯ですよ」
朝倉「おはよう、長門さん。ん〜chu♪」
喜緑「その壁一面に貼りやがった特大パネル破られたくなければすぐ来い」
朝倉「はーい……またお粥」
喜緑「今日は雑穀粥。毎日変えてるでしょう」
朝倉「……せめておでんかカレーに」
喜緑「なら周防に食わせて貰いなさい」
朝倉「毎日ラーメンは……その、河相我聞じゃないんだし」
喜緑「じゃあ私は出掛けてきますから、洗い物は任せますよ。あと絶対に外に出ないこと!」

朝倉「長門有希の画像くださいっ…んくんくんく。んぱー、長門さんの着た制服の繊維の入ったお茶が美味しい♪」

喜緑「……本当にストレスが募る毎日なんですよ」
キョン「それはわかったが、俺の布団に潜り込む理由にはなってないぞ」
喜緑「ふふふ、そういう割には積極的だったじゃないですか」
キョン「据え膳食わぬは何とやらだ。お前なら色恋沙汰とかにはならなそうだし」
喜緑「酷い人ですね。でも、乱暴なのも嫌いじゃないですよ」
キョン「どっちが乱暴なんだか。背中がヒリヒリしやがる」
喜緑「男の子の勲章じゃないですか」
キョン「それは向う傷の話じゃ……おい」
喜緑「んー♪ ほらキスマーク。お好きでしょう」
キョン「……まあいい。それで朝倉はどうするんだ。長門があの様子じゃ会話に乗せるのも難しそうだぞ」
喜緑「熊本に要らない子を捨てるポストがあるって聞いていますのでそこに捨てるよう具申している最中です」
キョン「突っ込む気力なくすなぁ」
喜緑「もう、こんな時まで他の女の子の話なんかいいじゃないですか。そんなことより……ね」
キョン「元気だな」
喜緑「今ぐらいアレのことは忘れさせて……」
朝倉「キョンくんキョンくん! 長門さんとの仲を取り持って欲しいの!!」
キョン「うぉっ!?」
喜緑「ど、何処から湧いて出たこのミトコンドリアぁぁぁぁぁぁぁ!!」
朝倉「キョンくんならきっと長門さんも聞いてくれると思うの。考えたの、きっとこれなら上手く行くって。そう思ったらもういても経ってもられなくな……はっぐっぁぁぁ」
喜緑「死ね死ね死ね死ね死ね」
キョン「いや、気持ちはわかるが落ち着け。というか首絞めて死ぬのかお前ら」
喜緑「何回やっても何回やってもパーソナルネーム"アレ"の消去申請が受理されません」
キョン「しかし縛るの早いな」
朝倉「むがぐーっ」
喜緑「慣れましたから。慣れたくありませんでしたが……消音」
朝倉「ーっ ーっ」
喜緑「あのこんな状況ですが続き、できますか」
キョン「いやごめん無理」
喜緑「はぁ、そうですよね……はぁ」
キョン「いや、今更だが俺じゃなくてコンビ研……はないにしろ、あの生徒会長ントコでも行った方が良かったんじゃないか」
喜緑「ただの童貞には興味ありません」
キョン「ただの……って、まあいいけど」
喜緑「それよりあなたの経験について聞いてもいいですか?」
キョン「聞くな」
朝倉「ーっ ーっ」
喜緑「もしかして妹さんですか」
キョン「違う……朝比奈さんが……」
喜緑「え、あの未来人と!?」
キョン「今の朝比奈さん(小)の上司の朝比奈さん(大)の数年後らしい朝比奈さん(廃)がやってきて……」
喜緑「廃、ですか……」
キョン「酷く酔ってて……結婚できないのは俺のせいで……責任がどうとかで無理矢理馬乗りに……うっ、ううっ……」
喜緑「ご、御免なさいっ 何か開けてしまってっ!」
キョン「くっ、すまん取り乱した。まあだから俺も人肌が恋しいって気持ちはわからなくもなかったんだ……はは、はぁ……」
喜緑「キョンさん……」
朝倉「ーっ ーっ(主役、私よね?)」


――翌日。

古泉「で、結局……」
朝倉「わーいながとさんあそぼあそぼ」
喜緑「心も身体も幼児に戻したので受け入れてくれると思ったのに駄目でした」
古泉「本当に行ったんですね、熊本」
喜緑「結局、機関の方に頼ることに全会一致で決まりました」
古泉「いや迷惑ですよこっちも」
朝倉「ながとさんながとさんおでんはいかがですか」
喜緑「これなら涼宮さんも朝倉さんとは気付かれない筈ですよ」
古泉「いや、ですから……」
喜緑「……ただの童貞の分際で黙れ」
古泉「なっ」
喜緑「じゃあ、宜しくお願いします♪」
古泉「あ、ちょっと!」
朝倉「ながとさん、あーん♪」



朝倉「長門さん、あーん♪」 喜緑江美里の憂鬱編                          


あとがき
 一度この台本形式から文章形式に書き直したのですが、状況説明のみで非常にたどたどしく、かつ読みづらいだけになってしまったので結局元のままに戻しました。他の人がタイトル通り朝倉と長門の掛け合いものばかりだったので敢えて長門を一切出さないようにして書いてみました。あそこだと年中長門は書いている状況なのでこういうのも面白いかと思っていたのですが、何故か喜緑さんの話になってました。ツッコミ役は辛いよという流れで。設定としては本編では緊急の場合だったので長門に消されたけど、上の方のお役所仕事で処分保留のまま一応こっそりと存在は許されて続けていた朝倉の末期症状みたいな。書いた時間もまちまちだったので最後は完全過疎となり、実質打ち切りENDに。九曜をもっと出したかったです。お目汚し失礼しました。



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