魁!楓塾


2000/05/15


「楓お姉ちゃん、宿題でわかんないとこがあるんだけど…」
「…どこ?」
「ん。ここだよ」
「…英語……I like…」
「うん。その後の単語が、わかんなくって」
「…C、U、R、R、I、E、D、R、I、C、E…」
「うん、なんて読むのかなあ?」
「ですから、C、U、R、Rと…」
「アルファベットは、読めるってばあ」
「……」
「楓お姉ちゃん、ひょっとして、その単語、読めないの?」
「…読めます」
「そうだよね、高校生だもんね」
「…初音」
「うん」
「この単語は、別に難しい単語ではありません」
「そうなんだあ」
「はい。書いてある通りに、発音すればいいんです」
「そうなの?」
「そうです。そして、書いてある通りに読めば、あなたもよく知ってる言葉を、思い出すはずです」
「ええーっ」
「では、ヒントを差し上げます。最初のほうは、『クリ』」
「クリ?んーと…クリ、何かなあ…栗饅頭とか、栗キントンとか?」
「ハズレです。不正解な初音には、寝癖を一年分、プレゼント」
「そ、そんなのやだよお」
「では、第2ヒントで正解したら、ナシにします」
「う、うん。私、頑張るね」
「では、第2ヒント。最後のほうは、R、I、C、Eと書いてありますが、CEは、実は、『ス』と発音しないと、こ
の場合、意味が通らないようです。誤植なのかも知れませんね。つまり、『リス』と読んでください。さて、正解は?」
「え、ええっと…最初が、『クリ』で、最後の方が、『リス』だから…え!?」
「わかりましたね、初音」
「わ、わかったけど…い、いいのかなあ、こんな言葉、教科書にのっけて…」
「最近は、そういう事を早めに教えるそうですから、大丈夫なんでしょう」
「で、でも、それだと、これを訳すと、私は、そのク…スが、好きです、って、なるよ?」
「きっと、男の人なんでしょう」
「そ、そうかもしれないね」
「でも、女でも、好きな人は、いるでしょう。初音は、好きですか?」
「や、やだあ、楓お姉ちゃんたらあ」
「初音とも、こういう女同士の話ができるようになって、とても嬉しいですよ」
「え、えへへ…」
「では、忘れないうちに、すぐノートに書いておいた方がいいでしょう」
「うん。ありがとう、楓お姉ちゃん。明日は、先生にあてられる順番だから、すごく助かっちゃった。えへ」


 そのやり取りを聞きながら、俺、柏木耕一は思った。


 ああ…

 明日…



 初音ちゃんの学校に、行きてえええええええええええっ!!








 俺も行きてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!
 見てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!
 触りて(…そりは犯罪でしゅ☆)


 幾度もNTTT様が呆れるまであの手この手でせがんだら戴きました。
 6666Hit記念SSです。
 NTTT様にとって初挑戦となる痕SSだそうで、貴重なSSです(笑)。
 NTTT様、本当にありがとうございました。


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