沙耶の唄 2004,1,24

 グロテスク云々とありますが……正直、警告は要らないような。逆に下手に身構えた分拍子抜けという印象が。
 それこそゾンビ退治系のガンアクションゲーの方がかなり怖がらせるような絵やシーンがあった気がします。
 最初に出てきた主人公の顔が一番掛け値なく怖かったです。凍えるところがあるとすればここでした。
 解説でアクションではなくホラーということでそういう驚かし方はしないようにしたという形ですがそのホラー自体で捉えてみると、恐怖方面からだけ言えばホラーが苦手な人でも平気かもしれません。
 特にホラーに詳しいわけではありませんが、ホラーで怖いのは「先が読めない展開とその理不尽さ」みたいなものだと思いますので。
 お話として形成が確りしていれば確りしているほど、話に筋道が通り納得が出来、判り易い流れになるので「先がわからなくてビビる」ということがなくなりましたので。
 これが「こんな可能性があるけど、この可能性を見るのが怖い。そうなってくれるな」という見方をさせるホラーだとしても、その怖いというの根幹に「得体の知れないもの」を混ぜないと恐怖は呼び起こしにくいかと思います。
 前例があるから二度目三度目はそうならないようにと怖れるということで、その前例がないと怖がらせるということでは盛り上がらない気がしました。
 ただホラーの楽しみは「怖がらせること」にあるかどうかという考えで考えると、必ずしもそうではないのかも知れませんので何ともいえないのですが。
 沙耶と主人公の極めて特殊な状況からの恋愛物……こう書くと安易な括りで申し訳なるのですが、人間の感情方面からの創作だと考えて感想をいうと……ピンとこなかったというのが身も蓋もない感想です。彼の変化は自分のことだけで精一杯な御子様である今の私のままでは理解しきれない感情なのかもしれません。
 話自体は長さに見合った風呂敷の広げ方でまとまりがあったように思いました。色々と考えられていて、細かい部分にも気配りが行き届いた作りのように思えました。
 音楽は……もしかしたらこれが一番恐怖から縁遠くなった原因かもしれません。悪くはなかったですが、話を引き立たせる効果は今回はなかった気がします。女性コーラスのハミングを微かに混ぜた効果などの工夫は感じたのですが……もしかしたら単純にニトロ系を聴き飽きてきたという可能性もあります。歌は良かったです。
 声は大御所揃いの男性陣が光っていました。絶叫系台詞は大好きです。
 怖くて眠れなくなるような内容の本をこれまでの人生で読んだことがなく、でもちょっと怖いものに触れてみたいという人にはお勧めかも。
 納得のいかなさばかりが残った鬼哭街に比べると全然良いですが、世間での人気度を考えると私の評価はアテにならないのかも知れません。

沙耶
 正体が予測不明で得体の知れないものである期間が長ければ俄然評価は替わったと思います。そうすると最後のシーンはもっと感情が籠もって読めたと思いますので。

匂坂郁紀
 彼も話が短いせいで思考の変貌ぶりに文章を割けなかったのが残念です。最初から終わってしまっていた方が良かったかも。ブギボの早乙女君みたいに。

戸尾耕司
 彼が残る話の方が虚淵さんの味が出ていて好きです。ホラーには欠かせない配役のキャラ通り、頑張ってくれました。

高畠青海
 これまた短かったせいで一度もぶつかる前に早々と退場してしまい、思いやるゆとりもなく。

津久葉瑶
 バラバラになりそうな話の繋ぎ役でもあり、存在意義をなくしても何とかなってしまう気の毒な人。

丹保凉子
 耐え切れず禁断症状が出たのでしょうか。終盤主役を耕司とコンビで奪ってしまえる存在感に。

奥涯雅彦
 立場や設定の割には妙に親近感の持てる感じのキャラで、不思議な気持ちに。

 無理して短くしなくても、半端な長さでも前半部分に文章を更に割けたらオチももっと面白く出来たのではないかと思うのですが。まとまっていて良かったと思える半面、煮え切らない気分が残りました。あと3Dの成果か、車が妙に立体的で雰囲気から浮いて見えました。

【お気に入りキャラ:戸尾耕司】


こなたよりかなたまで 2004,3,31

 言われている通り、練りこみ方次第では名作に届けた作品かと思いました。
 逆にどうしてこんな半端な長さにしたのかが気になります。もしこのぐらいの長さの話にするという前提があったのでしたら、もう少し短く切れた気もします。ただそうなると「鬱ゲー」と言われるような空気が増しますが。

 絵師はしゃあさん。F&Cの一期一会スカウト戦略は相変わらずです。
 あの人の絵の特徴を消すような塗りではあったのですが、逆に癖が抜けていて安心した絵になった気がしました。
 音楽はなかなか良かったです。
 何でも遂にI’veが全面的に出張ったらしいのですが、案外F&C風になっていた気がします。流石は多くのメーカーで仕事しているだけはあるなと。声優さんは今更言うこともなく。
 システムはF&Cお馴染みのものですが、今時ではかなり古臭くなっています。
 そろそろ新verにしてもらわないと辛いです。
 特にスキップが遅過ぎますし、解除もなかなか上手くいきません。
 選択肢の数は少ないのですが、クリス以外のルートへの分岐が意外と判り難いかも知れません。あと、クリスGoodエンドは最初からやりなおさないといけないことに気付かず、セーブデータを使っていたのでドツボに嵌りました。

 シナリオはクリスx2→佳苗→いすみ&優→二十重の順で終わらせましたので各ルート別に短評を。あとキャラクターについても纏めて。

クリステル=V=マリー(クリス)
 時期的にも月姫+ヴェドゴニアなどと言われる危険性を持ったルートだったのですが、シナリオの持つ空気の違いもあるのでしょうが、似通った素材で決して独自色を出せたわけでもないのに、前見たから的イメージを強く感じさせないままに仕上げたのはとてもよかったです。
 ただ一方でラストの敵との戦いなど、シナリオ展開の投げ出し感ありありなのがかなり気になりました。相手は何者で何が目的で、どうしてあそこであんな形でああいう風に対峙に至ったのかというのが全くないのが特に。
 短くした理由がこの辺の投げ出しに繋がっているのであれば少し引っ掛かるところです。
 二周目のTRUEENDで初めて、過去の約束に繋がせて終わらせていますが、その分岐後の会話の「偶然」と「運命」の使い方は私の好みでした。
 ただ最初のTRUEENDじゃない方で主人公の死に際に佳苗がいてはいけないような……あんな関係の終わらせ方のままで死に別れたら佳苗の性格からしても、自分を苛み続けて事前に打ち明けているよりも酷くなりそうな。配慮の出来る主人公なのでその辺に気づかない筈はないと思うのですが。
 キャラクターとしては二段変化のアイディアは良かったですし効果的でもありましたが、寝巻き立ちCGなど使い回しになっているのが違和感が。思い切って全て差し替えていたら評価はもっと上がりました。
 彼女のルート以外の彼女の立ち回り方はなかなか良かったです。

佐倉 佳苗(さくら かなえ)
 シナリオさんの力量を感じるルートでした。彼女側からして「言ってくれないとわからないよ」という感情などは、かなり頷けるものがありました。キャラ的に嫌いになるタイプですが、そんなものもなく最後まで良かったです。
 どちらかと言えば主人公同様友達のいないキャラだったのにも関わらず、彼女が友達を多く抱えられるようになっていった経緯を主人公との関係と明確に結びつけて、自信をつけたとかいう風にしてみても良かったような。

鹿島 いずみ(かしま いずみ)
 話としては確り筋が通っているのですが、構成の都合で殆どが「過去の出来事」だけでまとめられているので、逆に他のルートで彼女たちを放置する展開が気になるという部分もあってしまったような。
 普通に作れば共通ルートで纏められてしまう話でした。

九重 二十重(ここのえ はたえ)
 初登場時の雰囲気からして、過去からの因縁があるのかと思っていましたら全くなく驚きました。敵がクリスではなく彼方を狙っていた部分も説明が無かったのが戸惑いました。推測は出来ますが、個人的なものでゲームから読み取れるものではないもので。話の短さに合わせて、性格もあっさりしたものにさせられたような印象が。
 一番短いと感じたのが彼女のシナリオでした。佳苗は別にあのまま切っても問題がないのですが、二十重に対してはまた色々と出来そうでしたので。

朝倉 優(あさくら ゆう)
 間違いを犯さない自信がない感じで(待て)。あの添い寝は反則でしょう。
 でも正直、初登場時のイベント絵が一番可愛い気がしました。

島田 耕介
 F&Cお得意の、善意で固まった親友キャラ。
 幾ら家族代わり級の親友とはいえ、主人公への世話焼きっぷりはかなりのものです。
 割と本編で明らかになっていない設定とか大分抱えている気がしました。

板橋先生
 死ぬまでに一度は、こんな主治医にかかりたいものです。死病になってもいいので(本末転倒過ぎです)。

まとめ
 シナリオさんの文章が気に入るか気に入らないかで、作品全体への評価も変わる気がします。少しだけしんみりとさせようとするような部分は地の文や会話などもそんなに光ってはいないのですが、ここぞと思っているシーンなどの感情表現はかなり良かったです。
 前者はクリスが彼方を慰めたり自分のことを話したりするシーンなどで、後者は佐倉とのやりとりなど。
 展開としては駆け足だったです。短いシナリオの欠点はキャラクターの感情の移り変わりが早過ぎるところで、二十重嬢などはかなり祟ってます。クリスもそうですが、一応彼女は以前会っているというセフティーリードがあるので、まだ許容できるかと。
 展開の早い部分のもう一つとして敵関連でいえば、クリスとの出会いで主人公が何かを持っていてそれを付け狙うとかあれば面白かったような。例えば初めて会った時に再会を約して何かアイテムを渡していて、クリスが接触してきたことで敵もそれが主人公が持っていると気付くとか。
 あまりに尻切れ過ぎるので、そんな補足まで勝手にこっちで考えてしまうぐらいには不満が。
 設定のアラが出ないように短くなったとかというおちでないことを祈るばかりです。
 余談ですがハーレムENDも可能な設定状況だったのですが……これをやるとそういうのが好きな層からの支持も貰えるでしょうからあっても良かったかも知れません。
 主人公メインヒロイン含めて嫌いなキャラがいないという珍しい経験でした。
 逆に誰が贔屓というのもあまりなく、好きな順としてはクリスと二十重が並んで続いて優でしょうか。

【お気に入りキャラ:クリステル=V=マリー】


ショコラ - maid cafe "curio"- 2004,4,5

 午前午後の店内MAP移動式でしたが、エンディング分岐が仕事で会った回数なのか、イベントを回収してのものなのかが良く判らないまま終わらせました。ノーマルエンディングもCGもあれば見所もあり、なかなか凝っていて楽しめました。
 気になった点としてはただ会うだけで進展するイベントが多いので、狙い以外のキャラのイベントも半端に進行したりするところが。特にさやかなどは、何度家に行く約束をすっぽかしたことか(爆)。
 システムは総じてあまり良くなかったです。エンディングロールがスキップできないのは本当に辛かったです。せめて早送りぐらいは欲しかったです。
 あと、店長の仕事と休日の過ごし方の意味があまりなかったように思いました。

 クリア順は、大村翠 → 結城すず → 橘さやか → 桜井真子 → 真名井美里 → チロル → 秋島香奈子で。

 好きなシナリオ順は、大村翠 ≧ 秋島香奈子&チロル > 真名井美里 >> 結城すず > 桜井真子 > 橘さやかで。

真名井美里
 メインヒロインのようで、そうではないキャラ。核である香奈子ルートで完全にハブった時点でメインヒロインの座から滑り落ちました。彼女のシナリオでは彼女からの告白シーンなど、それぞれのイベントがとても良くて最後に主人公の説教癖が上手い具合に生かされているのがとても良かったです。終盤にオールメンバーが出張るのはメインヒロインだった頃の名残でしょうか。結城ファミリーエンディングということで。シナリオ自体は目新しいものではないのですが、美里というキャラクターが上手く生きていたので実に面白かったです。強いて言えば吉田さんはもうちょっと中盤から出張っても面白かったような。全く終盤まで何も無いので、序盤の警戒振りから急に無警戒になるのと、彼女のルート以外は結局御父様は放置ですか?というのが気になりました。

結城すず
 病的なまでに依存を迫ってくるシーンは引きました。嫌いと言う以上に、恐さすら覚えました。友人よりも兄が大事とするのは序盤の構い方がそうさせたのか、彼女自身の頭の中にある理想像がそうさせたのか。対香奈子の行動などはもっとパターンを見たかった気がします。好きでもない相手から執拗に迫られるという恐怖がこのシナリオにはありました。私の為にも頑張れ同級生と応援していましたし。ですので天宮悠太と落ち着きそうなノーマルエンドの方がかなりホッとしまして、好きです。

大村翠
 付き合いが長過ぎると最後まできっかけを失うという距離を上手く出せていたキャラでした。伊達にポスト速瀬水月は名乗ってません。主人公にだけは見せたくない、もしくは見せてはいけないと思っている自分を持て余しつつ自分の立ち位置を護ろうとする姿はかなりキました。自分の中で締めるところは締めていてメリハリを効かせている性格設定はかなり好きです。彼女のルートに乗るとタガが外れておかしくなっていくのがそれもまた良かったです。

桜井真子
 やりたいことはわかるものの、話としてはやっぱり無理があるような。元々オチや展開の為に主人公が変わるシナリオはあまり好きではないということもあります。ただここで孤立して周りから批難されるのではなく、労わられるというのがこのショコラの芸風なのかなぁと。割とその部分だけは嫌いじゃないです。

橘さやか
 ぞんざい過ぎ。美里もベタシナリオなのに、あれだけ愛された作りになっているのにも関わらず、もうぞんざい臭がだだ漏れです。多分攻略ヒロインでなくした方がまだ人気が出た気がします。

秋島香奈子
 バリバリに力入れた描写が光りました。他のシナリオには欠片もない伏線も幾つか張っていましたし。ただ、肝心のすれ違いの持っていき方がやや苦しいところも。それぞれの感情の動かし方は上手かったのですが、あれこれと検証するとあの二人があのままゲーム当初の関係に座るのには無理がある部分もある気がします。野暮な突っ込みっぽいですが。ただ力作通りに最後まで見応えのある展開でした。彼女自身よりも翠の使い方が本当に上手くて良かったです。

 好きなキャラ順はこんなところで。

 秋島香奈子 ≧ 大村翠 > 真名井美里 > 榊原宏幸 > チロル > 天宮悠太 > 結城大介 > 桜井真子 > 結城誠介 > 結城すず > 橘さやか



I’m... 〜心の向こう側に〜 2004,4,8

 あどべんちゃらさん達が作ったAVGで、専用頁はこちらです。当時の鍵系同人の著名な面子が集まって作られたという印象があります。結局、完成には至らなかったらしいのですが、現在フリー配布されているβ版でもかなりの完成度です。というか恐らく、1ルートの1ENDINGのみ以外は完成と呼んでも問題なさそうです。ですので普通にお勧めできる作品です。
 シナリオは堅実で、飽きの少ない配慮がなされています。無駄な日にちが殆ど無いのはかなり好感が持てました。音楽もそれほど変なものもなく、違和感は感じませんでした。絵は原画さんが違うこと以上に、塗りに差があるのがかなり気になりました。殆ど同じ方が手掛けているのにも関わらず、塗った時期が違うのでしょうか。

杜宮柚香シナリオ
 急転直下という四文字熟語が似合うシナリオでした。ゲーム中の日時の尺に合わせる都合上、どうしても二人の関係の進展がどれも唐突感が出てしまいました。そのこと自体は別に珍しくないのでいいのですが、見られて困るノートが卓上というのはチョット。最低限、当の相手が来たら引き出しにしまったりしませんでしょうか。穿ってしまったので、逆に「読んで欲しいんだな」と一瞬思ってしまったり(爆)。そんな些細なツッコミを入れる程度で、話自体はイベントの散らばらせ方も上手くて楽しめました。

籐條朝季シナリオ
 話の完成度は一番だった気がします。このゲームの最大の肝である「影」を根幹にした作りはとても良かったです。序盤の距離の置きっぷりは王道として柚香に気兼ねしての態度かと思ったのですが、違ったのは新鮮な驚きでした。そんな彼女の苦手な部分を支えつつ、次第に仲良くなっていく様は頷けるものが。唯一、影発動のきっかけになる部分が柚香の時の行動同様に、いきなりそんな感情がと思う部分もありましたが、それ以外は気になる部分も少なく。最後の彼女を取り戻すシーンなどの下りは、熱くて少し痺れました。あの驚異的な破壊スキルは主人公の漫画の彼女をモデルにしたキャラを関連しているのでは?と思っていたのですが、関係なかったみたいです。

華島さくらシナリオ
 ある意味TRUE的シナリオ。もしかしたら他二人をクリアしないとルート発生しないとか……? 他のルートでは正体は判っても、どうしてそうなるのかという部分は触れられず仕舞いだったのですがここで語られたり。イベントの繋がらせ方も上手く、殆ど頷きっぱなしでした。サブキャラの使い方も絶品でしたし。ただCG枚数が足りないのか、夢に出る桜の立ちCGがテキストと合っていなかった様な。語られる桜というキャラとも。謎キャラや石野が口にした人形の話などは伏線の張りっ放しで終わったのが未完成なのかなと。人形にさくらの魂を入れるのか、そうなったとしてどうなるのかとか色々と気になったのですが謎のままで。


杜宮柚香
 死んじゃった時は正直唖然と。かなり吃驚しました。ただ最後の最後まで感じたのが彼女の「好き」はまだ親愛の延長線上でしかないだろうなぁと。だから悪いとか、その後に破綻するとかは思わないのですが。

籐條朝季
 泣き顔の立ちCGがかなりチト。それと立ちCGが変わる度にアホ毛が動くように見えるのが面白いような感じでした。寝ているのとキスのイベントCGはかなり良かったです。CG三枚も費やした破壊の数々もお気に入りです。柚香が欠片も気づいてくれなかったので、ヒント付きとは言え彼女が気づいてくれたのは嬉しかったです。

華島さくら
 一番多く使われた基本の立ちCGの塗りが一番気になったのが……昔やった体験版のままだったのがかなり。ぶっちゃけ、並ぶことの多かった織霞嬢のCGとの塗りと否応無く比較されます。服が透けたCGと身体が透けたCG、そして図書館の過去編と、公園でしゃがみ込むCGが良かったです。

三島奈津美
 何故かフリーゲームの非攻略キャラのお姉さんキャラに29歳は多いような。失意と悲嘆にくれる主人公を優しく慰めてくれるシーンを激しく期待したのですが……残念。

前島可憐
 声が想像できそうなタイプなキャラでした。割と王道過ぎる程王道なだけに、王道なままそのまま頂こうかと思ったしまった私は駄目野郎です。あわや、鳴海孝之になりそうに。でも正直彼女の方が好きです。

暁織霞
 みさき先輩に於ける雪見先輩。可憐と彼女のルートが是非欲しいです。こうなったら書くしか!(いや無理)。美人で気が良く、冗談が通じるお姉さんキャラにはとことん弱い私です。くぅぅぅ、相合傘の誓いさえなければ!(君、これ以上喋るな)

前島霧也
 出木杉君。桜の恋人っぽいので、恐らくさくらEND後は目覚めた桜と結ばれたのだと思ってみたり。可憐とは兄妹設定なのでしょうか?

石野
 押さえるべきつぼは押さえていました。


 夜の徘徊は別として、序盤の勝手に手が動く現象だけは彼のものじゃないと思っていたので、やや吃驚。性格指定がなかなか面白く、味のあるキャラに。シナリオの都合上、殆どの彼の初仕事が壊れかけたヒロイン達との関係修復なのはご苦労様です(笑 あと、字が別人なのはテストとしてはかなり致命的な気もします。

杜宮雄三
 立ちCGの必要性が実はなかったなんて言ってはいけないかと(笑

総評
 完成度の高さが光りました。これ以下の物をメーカーが定価で売っているケースは結構あるのではないでしょうか。時代を一時代下げればかなり多くあると思います。少なくても私は十分以上に楽しめました。
 好きなキャラ順は以下の通り。特に嫌いなキャラはいませんでした。

 暁織霞 > 前島可憐 > 三島奈津美 ≧ 華島さくら > 籐條朝季 > 石野 > 前島霧也 > 影 > 杜宮柚香


みよしの 2004,5,12

 つるむらさきさん製作のDNML和風謎ノベルです。
 ゲームというよりもノベルですが、一応エンディングは4つあります。
 最終選択があってそれぞれ選んだ先でエンディングですが、その選択肢に辿り着くまでに好感度のフラグを立てているか否かで、ハッピー系の二つになるかBAD系の二つになるかになるようです。攻略法はあとがきにもありますが、自力でも解けます。やってた時は気づかなかったのですが、どうやら最初はBAD二種を見ないとフラグが立たないようです。
 全四章構成ですが一章一イベントという区切り方なので、長い話ではなく一時間もかからずに終わらせることが出来るのではないでしょうか。
 設定も一捻りしていて面白く、会話内容のテンポもなかなか良くて楽しめました。
 十八禁ノベルということで、そういう部分もばっちり盛り込まれていますし、お手軽に出来ていいのではないでしょうか。

【お気に入りキャラ:みよしの】


二階のお姉さん 2004,5,25

 矢吹おいらさん製作の18禁マルチエンディングADVです。
 ゲーム性はそこそこで手軽にエロを楽しめるようにと配慮しているように思いました。
 主人公や舞台が一緒の「となりのお兄ちゃん」「となりのお兄ちゃん番外編〜優ちゃんの脱衣クイズ」の共々気軽に楽しめるのが売りかと。
 因みに「となりのお兄ちゃん」はもっと手軽に遊べたりします。
 ただセーブが無いようなものなのと、リセットしかなかったり、使っているシステムの操作性があんまり良くないのが欠点かも。

【お気に入りキャラ:薮内優(となりのお兄ちゃん)】


アパート 2004,5,26

 スタジオセピアさん製作のNScripter18禁マルチエンディングADVです。
 ゲームというほどのものではないのですが、幾つかの選択肢でエンディングが変わるので一応。唯一っぽいBADENDが唐突で妙にウケました。

【お気に入りキャラ:泥棒】


INBLEED −爪痕を君に− 2004,5,27

 谷口由紀さん製作のNScripterによる18禁ノベルゲーです。
 エンディングは5つありますが、どれも長い話ではないので手軽に遊べます。
 こういう主人公でロリものでも鬼畜ものでも奇想天外ものでもないのは結構珍しいかも知れません。
 社会人じゃない人向きの話で、共感できない人はとことん共感できないお話だと思いました。
 中途の構成を全面的に手入れをすれば深みが増した話にできたような部分もあって少し勿体無い気も。
 オマケにあたるギャグシナリオはなかなかぶっ飛んでて面白かったです。

【お気に入りキャラ:ミコト】


ONE2 〜永遠の約束〜 with VOICE 2004,6,4

 確かに評価に困るゲームというか、コメントの歯切れが悪くなるゲームというのが良く判りました。シナリオの差が天と地ほど違うので、あまりにそのギャップに悩まされました。
 クリア順は麻生久遠 → 深月遙 → 望月綾芽 → 香咲乃逢 → 芹沢心音 → 小菅奈穂です。

麻生久遠シナリオ
 VOICE版によってシナリオが追加されたのですが、オフィシャルサイトで言われているようにこのキャラに人気があったのか結構悩むところです。話としてはONEよりもコ・コ・ロ…2の方が近い感じです。ジュースでここまでご機嫌になれるのは一桁年齢までだと思うのは私だけでしょうか。チョップの音が良くて平手打ち、さもすると鞭打ちで使うような音だったのが相当引っ掛かりました。彼女のEDだと夢を諦めるのが前提というのは、まあどうかなとも思います。

深月遙シナリオ
 人物描写が浅く、シーンの説明も曖昧で展開が雑。困った時の視点変化が露骨過ぎ。 なかなかどうしてどうして心底駄目テキストなシナリオでした。どうして責任者がこのシナリオでGoを出したのかが判らないぐらいに。正直、このライターさん分のテキストは全部抜いて非攻略キャラにしてしまった方が、ゲームの価値としては良かったのではないかと思えるぐらいに。

望月綾芽シナリオ
 共通の序盤&前二人のテキストがアレだったのでかなり嫌気がさしていたのですが、彼女への分岐直後の地の文章からして、違いがはっきり出ていて驚きました。このゲームをしていて初めて楽しいという感情が沸きました。テキストが良いだけに原画さんの絵の微妙さが引っ掛かりました。アップの顔が正直辛かったです。ツンデレのデレへの移行部分がちょっと引っ掛かりましたが、そこからの変貌ぶりがかなり可愛く良かったです。

香咲乃逢シナリオ
 綾芽ルートで仲間外れになっていたので、普通に学園生活に溶け込んだり、他のキャラが絡んだりしていく話は一番良かったです。イベントへの理由付けから、話の起伏、そして綾芽の出番などがかなりいい気分にさせてくれました。えいえんシステム的に、ネタを知っていたとは言え乃逢をそれほど気にしているとは思えなかった綾芽が、覚えていられたというのは疑問ですが、そんなのはどうでもいいと思えるぐらいには。

芹沢心音シナリオ
 連続して挽回していただけに、ここでまたアレなテキストを読まされるとかなりがっかりです。読んだ限りでは違うかもしれませんが、先にCGありきみたいなシナリオのようでした。無理な話の繋ぎ方が目立ちました。あと、久遠&遙ルートとこの話に関しては、えいえんの世界への解釈が異なるような。存在の消失は確かに死に連なるものではありますが、何だか生きながら死んでいく世界のような扱いになっているのが。一応メルヘンな筈なのに、ホラーやオカルトをやろうとしているらしく、あんなラストに。

小菅奈穂シナリオ
 実にメインヒロインらしい話でした。及川の態度が理に適っていない気がするものの、誰もが理に適った行動をするわけではないので気にはなりませんでした。

小菅奈穂 第一印象が最悪の割にはシナリオで挽回。エロシーンは入れ辛いキャラのようでした。
望月綾芽 まさかあそこまで懐くとは思わなかったのでかなり吃驚しました。乃逢ルートもいい感じでした。
香咲乃逢 この手のタイプにしては甘えや媚がなく、確りしていたのが好感度は高かったです。
深月遙 久遠ルートではあまりにあんまりな扱いでした。
芹沢心音 偽乃絵美。無理が通れば道理が引っ込むを地で行く感じでした。
麻生久遠 シナリオ内での彼女のあの頭の悪さはかなり居た堪れなく。
及川譲 出番は多かったものの、あんまり見せ場らしい見せ場もなかったような。
児玉忠 進学塾にいた感じのタイプですが、進学校でもこういう人いるんでしょうか。
蔵谷孝子 冒頭からのギャップは良い感じでしたが、ラストがやや置いてかれた扱いに。
貴島和宏 多少無理を感じたものの個性を出そうとしていたところは悪くなかったかと。

【お気に入りキャラ:望月綾芽】


NETANNAD −ネタナド− 2004,6,8

 サイトはこちらにて。
 CLANNADを未プレイだった時、既にプレイを始めていた無口さんが「俺はもっとMOON.っぽいゲームをしたいんだ!」と永遠を探し求めていたのを思い出しました。当時はまさかそんなものが今更と思っていましたが、ここにありました。
 良い感想が思いつかないのですが……「感動」という一点に於いてはCLANNADを私の中では越えたかも知れません。
 経緯とかは良く知らないのですが、某大型匿名掲示板にてCLANNAD発売前にゲームを作ってしまおうという企画として製作されたらしいです。こういうゲームをやるのは夏☆Kanon以来になりますが、それぞれ出来の凄さは本当に壮絶です。

 シナリオはたまに分岐があって攻略を読む限りは重要な分岐は殆どありません。それもやり直しが十分効くので、クリアに苦労することはそうないと思います。
 登場キャラはヒロインにことみと智代、サブで古河家と伊吹姉妹に芳野さんが出てきますが、どのキャラも実に深いです。先にCLANNADをやっているとキャラが原作と違うことに違和感を覚えるかと思っていたのですが……そんなの忘れます。間違いなく。
 一人の男が守れる者はたった一人の女のみ―――という事かはどうか知りませんが、誰かを一番に思えば他の誰かまでは助けられない理不尽さと切なさが実に印象に残りました。智代ルートはことみを諦めねばならず、トゥルーでは智代の犠牲があって成り立ちます。そしてそれらルートに辿り着くには渚を捨てなければならないという部分もあります。渚を取れば智代もことみも痛々しいことが想像できる結果になってしまうようになっています。そしてサブキャラクター達も安穏とできず、しかもそれらほぼ全てが主人公達の行動の結果という居た堪れない気持ちに否応なくさせられます。誰にでもいい顔をするわけにはいかないと、御都合主義な展開を皮肉るようなシナリオはかなりのものでした。終盤、巻が入ったところで辻褄の合わなさに気がついたりもしましたが、あまり深く気になる物でもなく。何よりほぼ全キャラに切ない思いを感じることが出来ました。
 CLANNADやる前にやらなくて良かったなぁと真剣に思えました。かなり真剣に。

【お気に入りキャラ:坂上智代】


Forest 2004,7,3

 一言で言えば腐り姫の焼き直し。個人的には昇華したとは言い切れず。ネタがどうとか仕掛けがどうというよりも認識がそこ止まりでした。ただその凝り具合、手間のかけ具合はかなりのものでして、焼き直しだからどうという感情は覚えませんでした。
 登場人物がどうとか、言動がどうとか分からない部分は大概テキストではなく、そこで出ているキャラクターとその原典から紐解いていくことで、その場面や展開などの説明としているようなので、元ネタを知り尽くしていないと話を理解するのはかなり難しいみたいです。半分程度、それも名前しか知らないものを省くとその半分以下程度な私の知識では追いつかなかったです。勉強不足でした。あと新宿自体への知識もあると全然面白さが違ってくるようです。つまり、結局は「調べ、考え、読み取る」という作業が下地に無いと楽しむことが出来ません。表層的な部分で理解する、わかったふりをする構えを取るとどうもあやふやな感想しか持てないような気がしました。雰囲気だけで楽しめないということではないのですが。
 問題点は声。ミュージカル仕立てにしつつ、敢えて歌わせるような台詞回しがしていないのは演出でしょうか? 韻を踏むシーンのあのたどたどしさは狙っているのかそうでないのかわからないままで。声優さんのレベルが低いとは思わないだけに、かなり気になりました。

 キャラクターは大まかに分ければ作り手と受け手の二組で前者が城之崎灰流、雨森望、宮乃伽子の三人で後者が黛薫、刈谷真季、九月周の三人。
 前者の三人は当事者とも言えるのでいいのですが、何故後者の三人が新宿なり森なり前の三人なりに選ばれたのかという点が最初の疑問点です。結果だけ言えば新宿内で他の誰よりも知恵があり理解力のある薫、同じく誰よりも正確に記憶し記録することの出来る真季、誰よりも許容し受け入れて踊ることのできる周という風にNO,1だから選ばれたという感じに受け取ることも出来ますが、どうしてその3人が選ばれたのか、代わりが効かない存在なのかという点が謎でした。鍵は最初のお茶会。そこから考えるとこの面子で"アリス"を演じさせたかったようで、それが今後も引き摺ったシーンがあることから、アリスを演じさせる為に選ばれた面子だったのかという予想がせいぜいです。
 複数の視点から語られ、灰流の一人称シーンがそれほど多くないことから彼を特別な主人公として捉えない見方の方が多そうですが、私は彼が主人公であったと思います。最後のシーンからというのではなく、伽子が用意した物語の主人公は彼であったと思う点から。伽子と雨森望は共に灰流の生徒として物語の作り手となりますが、悲しい物語は嫌という姿勢の雨森嬢とすれちがう二人を望んだ伽子。自前の蔵書からの知識をふんだんに揮い力を持った魔女を望んだ雨森嬢と、アリスという存在に自分を重ねた伽子。
 ラストシーンから思うに、これは雨森と灰流が作った物語の世界下で演じられた伽子の物語だったのではないかと。脚本は伽子でしょう。

雨森望
 魔女アマモリの名を冠す森の創造主にして原作者的存在。自己中心的な性格でヒステリック。周囲の顔色を窺い、身を竦めることで失敗し、一人勝手に悩み、落ち込む。

城之崎灰流
 名無しの賢者を気取る森の創造主にして原作者的存在。無責任な偽善者として、傍観者にもなりきれない。嘘吐きの癖に自分の嘘を好みきれない半端者。

宮乃伽子
 生き様探しの不治の病人。黒のアリスを投影する森の従者にしてリドルマスター。二人によって作られた世界下で自分が望む物語を作り、共演者と共に演じ上げる。

黛薫
 彼女が本来はアリス役として宛がわれていたらしいシーンが幾つか。だからこそお茶会で黒いアリスは混ざれなかったということで。後半の彼女の役割はまた別。

九月周
 典型的な新宿ジャンキー。他に何も無いからこそ、住処に偏執する。人と距離をとっているせいで、本当の意味での人好きにもならない反面人嫌いにもならない。

刈谷真季
 年齢不詳の常識人にして纏め役。発想力は乏しい反面、持ち前の知識量と考察力は異常な程持ち合わせる。洞察力は些か乏しいのに観察力はあるというアンバランス。

 好きなキャラはリーピチープ、グロリアーナ、フックにダイナとそっち系列なキャラばかり挙げたく。人間なら役割として意図的に魅力を持たされている刈谷女史を。

【お気に入りキャラ:刈谷真季】


君が望む永遠 special fandisk 2004,7,17

 二章に入ってその急展開に延々と隠々滅々し続けた人にとって、第一章のみで終わらせるというのはまさに夢のIFということで、ファンディスクの名に恥じないシナリオでした。殆どのシナリオはいかにも後から作ったものという印象が強くて、自然に本編からの流れに溶け込めたとは言い難い展開ばかりだったのではありますが「良かったね、本当に良かったね」と主人公やヒロインに素直に言える気持ちになれました。そして最後のEXTRAですが……こういうのは原作者側だから出来る悪戯と言える代物で、そのとことんまでの悪乗りがとても笑えました。
 声優さんの演技は全く問題が無いのですが、後から録ったものの方が総じて声の聞こえる距離が近かったように感じました。具体的に言えば鳴海孝之の声が他の声よりも耳元で喋られる感じでしたので、非常にエロシーンが辛かったです。CGは追加分の絵の出来がかなり気になりました。水月だけが光っていたように思います。
 壁紙やラジオドラマ等は特にどうというものはありませんでしたが、値段的にも十分だったとは思います。TRUELIESは一番最後が宜しいかと。
 総評としては、遙や茜、愛美よりも二章で辛い立場になる水月の救済こそが主目的ではなかったのだろうかと思えるぐらいに、どのルートも水月が良かったです。

【お気に入りキャラ:速瀬水月】


ぴゅあぴゅあ 2004,10,05

 耳っ子とやらの定義とか常識とか世界観の基本設定を知らないので、主人公の行動に対する境目がどうなのかという部分がわからなかったです。こういうのは何も考えずに楽しめば良いのでしょうが。
 全体的な感想としては、「本来予定したものを縮小した?」という感があります。ひなた両ルート以外はどうも印象が弱いままです。全体的な伏線もどうも消化しきっていないように思いました。ひなたルートでもきっとあると思った主人公がかつてのように再び鋏を振るうシーンなども遂になかったですし。老紳士とやらの話の絡みがあると踏んでいたので期待外れでした。とばりルートも彼女の気持ちが主人公と前の主人とのゆらぎ方は最後にちょっと出して終わりでしたし、何より最初の彼女の登場シーンの説明が最初から「実は大したことではなかったんです」と考えられていたとはちょっと思えなかったもので。教会にいたのももっと伏線あったのではないかなぁと色々買いかぶって考えてしまいます。ハーレム?エンドも、とばりが彼女ルートでは言わないご主人様を連呼する部分で、ひなた主従ルートのような含みを当初は予定していたのではないかと勘繰ってしまいましたので。そして何より美和エンドはBADEND扱いと考えていいのかとか思いましたし。もしかしたら本当は何か予定していたのにポシャったとかこれも思いたくなります。
 システムはたまにBGMが小さくなる程度で気になるものでもなく。曲そのものはOPは良かったですが、ゲーム中で気になるものは特になく。立ちCGのアップは可愛かったので、それなりに満足は出来ました。

ひなた
 犬嫌いの人が感じる犬のイメージってこんなのかなぁとフト思いました。正直、勘弁して下さいと心から思いっぱなしでした。最後の最後までそうだったかも。

とばり
 日中の「日向」に対して夜の「帳」ということなのでしょうが、何もない状態でとばりという名前はどうかなぁとか物凄いどうでもいい部分に引っかかりました。

さち
 男としては一番良い立ち位置にいてくれそうなキャラではないでしょうか。あの勉強方法はかなり疑問ですが、手紙という演出はとてもよかったです。

結城美和
 御堂とくっつくとかあった方が話になったのではないかと思いますが……このままで通すならもっと年齢を下げるとか、性格をひねくれさせるとか、正直「妹置いとけ」というだけの妹キャラであるという認識以上のものを感じられず。

御堂拓也
「何このアイテムキャラ?」という具合に、主人公の為だけに存在しまくりです。学生時代に主人公の練習に必ず付き合う彼の行動に「きっと彼なりの目論見があってやっているんだな」と思っていたので、経営者云々の話が出た時点で言葉は悪いですが「青田買い」あたりが目的かと思ったのですが、偶然がなければ再会もなかったということで親友だから以上に何が何でもという理由はなかった模様。彼がオーナーになったのは主人公を養う為以外ないという話の都合と、無駄に登場人物を増やさない為だけの事情があからさま過ぎるのが辛かったです。正直、金持ちのボンボンであるという裏設定でもないとちょっと店の経営の日々のご都合的展開などは厳しい感じがしました。特に金管理とか。

結城潤
 何をどうやったら彼のように世界中の人から無条件に保護されるのか秘訣を教えて欲しいです。正直、何をやろうともここまで誰からも慕われ励まされ批難されないでいるのは辛いです。この手の性格だとキャラクター的にグラフィックは二枚目野郎ではなく、坊ちゃん風のお人よし絵で描いて欲しかったです。正直違和感が。私のイメージではCanvas2の柳画伯のようなぼっちゃんヘアと眼鏡装備でした。

【お気に入りキャラ:とばり】


SHUFFLE! 2004,10,08

 ゲームの根幹部分は「Bless」と「それは舞い散る桜のように」の悪いところを集めたというよりそれぞれの楽な部分を選りすぐって作ったという感が。シナリオライターの立場からすると悪く言えば手が抜きやすい、普通に言えば書きやすい作りになっていたと思います。
 そのシナリオは突っ込む方が間抜けに見えるぐらいにほぼ全ての話や展開、設定、説明、オチ、裏事情、ありとあらゆるものに「いや、それおかしくない?」というのがあるので、深く考えない方が良いようです。買った時点で、いちいち文句を言う権利は放棄した方が精神衛生上幸せになれます。「結い橋」ほど全力で突っ込みたくなるほどの無茶苦茶さはな……あったかもしれず(あれ?)。あと無駄にそれ散るに対抗したつもりなのか、笑いどころが見つからないギャグとテンポの欠片もない台詞回しはかなり気になるものがあります。普通なら突っ込みを入れる「子供の頃一日一緒に遊んだだけでベタ惚れ。しかも親も了承」という前提さえもいつしかどうでも良くなるぐらいの域ばかりなので、ご注意を。
 努力もせず無条件にハーレムが好きという設定だけで大体満足できる人、もしくは映画の新作を見るたびに「感動した」と言えるような人でしか通用しそうもない、出した側から先が透けて見える薄っぺらいイベントと心が少しも篭っていない決め台詞を眺めることが出来る人でないと辛いかも知れません。イラスト集を買っているだけ、王さんのシナリオゲーが出る為のお布施など寛大な気持ちになる、でなければ私のように平均価格より二千円も安かったので他の衝動買いのついでに買ってしまったという理由がないとチト。
 率直な感想としては「1コインランチに味がどうこう言うのは野暮だけど、せめて材料に火ぐらいちゃんと通そうよ」というところで。
 CGは西又さんので相変わらず一部気になるものや、いい加減同じポーズばかりで見飽きたものもあるものの、イベントがあれば一枚CGがあるぐらいになかなかの充実振りでした。
 曲はそれ散るの焼き直しっぽい雰囲気のも幾つかあり、これというのは。ED曲のSCRRMBLE!はちょっと古き良きアニソンを思い出して個人的には懐かしさを思い出してました。SEの使い方はシナリオの印象を悪くする効果しかなく割と最悪に近かったです。

リシアンサス
 BasiLからのメインヒロインの特徴を抑えたキャラ。私服の髪型はちぃ?

ネリネ
 自己というものが希薄で流されまくり。どういう教育を受けてきたのかとか。

芙蓉楓
 壮絶な独り善がり。その信念があるなら全てにおいて引っ込んでなさいよとか。

プリムラ
 あの変貌は笑うところ、ですよね? 誰かそうだと言ってください。

時雨亜沙
 その誓いは遠まわしに親に対して嫌がらせをしているだけではないかとか。

キキョウ
 裏シア。姫君の我侭に振り回された気の毒な人と言ってそれほど間違っていない感が。

土見稟
 一見、あるようでかなり無個性。まあこの手のゲームらしく非常にどうでも良く。

緑葉樹
 プリムラルートで主人公が思いつきそうなことを代わりに言うためだけに存在?

麻弓=タイム
 八重樫モドキの脱却ができず。あの密着イベント以外は見せ場がありそうでない人。

紅薔薇撫子
 名前負けしてます。目立ってはいますが、いなくても全く支障がなかった人。

ユーストマ
 神パパ。アニメ化でもされればきっと見せ場はありますよとか言ってみたり。

フォーベリシイ
 魔王パパ。神王より割と出番が多目で、キャラも立っていました。

カレハ
 BasiLからの伝統のパンチラ担当。声優の無駄遣いとかこっそり思ったり。

時雨亜麻
 生還後の月宮あゆを思い出させるビジュアルの人。声がちょっと辛かったです。

【お気に入りキャラ:キキョウ】


秋風夜空 〜BOY MEETS UFO〜 2004,10,16

 凪原みどりさんのサイトにて。フリーゲームでは結構有名っぽいゲームで、落としたのは相変わらずかなり昔だったのですが、先日漸く終えました。
 秋風耀さんの攻略頁見るまで、私は全ルート解明が出来ませんでした。他所様の感想なども、全員クリアしていないことに気づいていない人が多かったっぽいですのでやる方はお気をつけ下さい。多分これで全部だと思うのですが……。

 斎藤有香NormalEnd → 双山季節NormalEnd → 岸市味NormalEnd → BadEnd → 岸市味HappyEnd → 斎藤有香HappyEnd → 双山季節HappyEnd → シェレストEnd → エルマリアHappyEnd

 クリア順は上の通りで、フリーゲームということで舐めていたので最初はそれぞれのキャラを個別で狙い打っていけば大丈夫だと油断していました。Happy狙いだと結局完全に無駄な日というのが二周目に一回と三周目に二回ぐらいしかありません。最難関はエルマリアでして、上記の攻略のままやったら失敗しました。かなりの回数色々試したのですが、私が成功したのは三周目に最初の三日間で他キャラと会っておいて、エルマリアと海に行った次の日に玄関に行くとイベントが発生しました。苦労した分、感動もひとしおです。好きなルートは双山季節の出来が抜きん出ていて、エルマリア、斎藤有香が続くというところで。好きなキャラ順は以下の通り。

 双山季節 ≧ エルマリア ≧ 斎藤有香 > シェレスト > 岸市味 > 土村十史 > 須藤光一郎 > 高橋秀

双山季節
 物語の完成度が魅力を上手く引き出しているように思いました。シナリオの欠点はほぼ他のシナリオにも言えるので、個別でここがというのは特になく。キャラクターもシナリオに上手く合っていて読み応えという点では抜きんでていました。

エルマリア
 好きになる動機とか展開とかは一切考えない方向で(爆)。気難しげで扱い辛いお姉さんの一途を素直に堪能しました。隠しキャラっぽく。

斎藤有香
 メインヒロインっぽく見えるのですが、あまりそんな感じでもなく。ただぶっとんだ登場の割りに、自分の言動がおかしいと気づいている点が好感が持てます。それだけにあんまり追いかける気になれない岸市味に比べれば、主人公と噛み合うようには見えませんが応援はしたいキャラです。

シェレスト
 設定の痛さに最初は引きますが、慣れるとかなり楽しくなってきました。彼のルートがあるのは驚きましたが、特に深いものはなく良かったような残念なような。

岸市味
 彼女の口から真実?が語られるまで彼女の行動理由が全くわかりませんでした。難儀な考え方というか、そういう考えもあるんだと吃驚しましたが、私が見聞しない分野ではこんな思考もあるのかも知れません。

土村十史
 幸せに暢気に生きてきた苦労知らずのボンボンという部分が少々。有香ルートでの言動はちょっと個人的に「あいたたた」でした。彼なら多分季節先輩が一番上手くいく相手だと思います。

須藤光一郎
 てっきり楽器はもう弾けなくなっているからこその素っ気無い態度かと思ったら天然だったらしくて吃驚しました。主人公のお怒りは尤もですが、季節先輩同様に彼というキャラを認められる私としては嫌いではなく。

高橋秀
 ひょうひょうとして捕らえどころがなさ過ぎで、正体がおぼろげながら出た時はなるほどと思った反面、都合良過ぎのようなとか、主人公を狙ったのは何故とか、分からないことが多過ぎです。


神樹の館 2004,11,05

 年末用に取っておこうと思ったのですが、風邪で寝込んで暇だった際につい手を出してしまいました。
 絵はそれなり、声は竜胆の人が久しぶりに棒読みエロ台詞モードで堪能できた他、最近では珍しいぐらいにイマイチ感が全体的に。音楽は質は高いように思えましたが、この手のゲームらしい曲だなぁという枠内を出る高評価なものはありませんでした。好みを挙げると「危険なセレナード」と「神樹の森」を。システム周りは全く不満を感じず。設定で非アクティブ状態の状態を変えられるのは良かったです。テキストは三人称なのは構わないのですが、視点が変わるのに間がないので、漫然とクリックしていくといつの間にか主人公主観の文から他のキャラの視点の文章に変わっていたことに気付かなかったりして厄介でした。
 冒頭の選択肢で大まかなルート確定とは体験版の時点では気付きませんで、深く考えず双子ルートに入っていました。クリアは
 伊美BADEND → 斎BADEND → 双子TRUEEND → 主人人形化BADEND → 紫織身代わりBADEND → 紫織NORMALEND → 紫織TRUEEND → 帰還後麻子人形化BADEND → 夫婦人形化BADEND → 麻子やり直しBADEND → 麻子TRUEEND → 竜胆NORMALEND → 竜胆TRUEEND の順で。

 館物ゲーはどうも意味のない選択肢が決定的分岐を生むことが多いのか、これもそうでした。双子姉妹のどっちの勉強を見るかで運命変わり過ぎです。伊美に手を出したことで、斎の怒り云々というのはこの時点では分からなかったのですが、どうも種が明かされると却ってただの斎の逆切れと解釈しても問題ないような気もしました。
 実質的な館脱出ルートは斎BADENDのみで、しかも館自体が居着こうが出ていこうがご自由にという設定なので、ハラハラ要素がないので脱出とはいえないかも。
 一応、館に居座った一族側としての双子、元訪問客としての紫織、館から出て行った側として麻子とそれぞれ違う立ち位置のキャラ達そのそれぞれの事情や経緯などを上手く物語の背景に織り込んで表現できていたように思います。竜胆の陰が見え隠れする中でのこの館の世界観の構築はとても良かったです。
 ただ問題は主人公の存在で、物語自体三人称で描かれていることもあって、存在意義があまりありません。それぞれのキャラに関わっていくやり方も拙く無理があり、双子は勉強を一度見てやっただけで、紫織は元は同じ立場であったというだけで、唯一繋がりのある麻子でさえも惹かれるようになったという経緯が描かれていないので、互いが互いに入れ込んでいくという展開がどれもピンとこないままです。
 全体的に主人公工月秋成が、特別な存在に成り得るだけの説明も設定も行動も何一つ為されていないように感じました。
 ですので最後の竜胆ルートは、他同様に主人公が流されるままに動くだけなので物語の解説編である以上の意味合いが感じられず、竜胆や他のキャラクターが勝手に意気込んで空回りするような構図を感じました。そんな白けた気分で読んでいたせいかも知れませんが、大オチもかなりげんなりさせられました。母子信仰等の類には元から評価点が低い私だからというのもあるのかも知れませんが、仕掛けの工夫が凝っていただけに逆にがっかりさせられました。設定作りでほぼ力尽きてしまった作品という印象です。
 最後に主人公の野暮天っぷりはお見事でした。ただ終盤、ここは腹を括らないと逆におかしくない?と思う部分もあって、匙加減の難しさをやや。

【お気に入りキャラ:伊美】


ちうがくせいにっし 2004,11,08

 眼鏡スキー派では知る人ぞ知るというらしいKIMM SOFTさん製作のフリーゲームです。
 フリーゲームの中から風邪で朦朧とした頭で出来そうなゲームを選んでやったのですが、サクサクと短期間にやれました。
 毎回「学級会議」を開き、誰の意見を支持するかで展開が変わっていくもので、めちゃめちゃな展開ばかりで面白かったです。
 基本的に全キャラ「いい」性格をしまくっていやがりますので、女性に偏見を持つ貴方も満足な出来かと(爆)。
 個人的には主人公に忠実な謎の転校生と一人エロスに走る担任のキャラが面白かったです。

【お気に入りキャラ:岸井桜子】


ひぐらしのなくこロワイアル 2004,11,11

 T.Kingさんによる高橋直樹さんのNscripterを使用した、ひぐらしのなく頃にキャラによるバトルロワイアル形式の生き残り目的の殺戮ゲームです。
 ルールが難しくないだけに、複雑な戦略を要さなくても勝ち抜くことが不可能ではなく、やっていくうちに慣れていくので手軽に楽しめます。
 初心者向け注意としては、他のキャラの動きは構わないので沙都子の動向には要注意です。彼女の張った罠は気をつけていれば避けることができ、逆にその罠に掛かった敵は弱体化したり、身動きできなくなったりしますので。理想は彼女を仲間にしてしまうことですが、私のプレイスタイルでは序盤からなるべく彼女の側に行って、彼女を仲間にするか彼女の罠に誰か掛かるのを待ちます。
 後は梨花に近ければ、彼女に誘われて仲間になるのを狙う手もあります。彼女の仲間になるとそのうちに最大派閥に成り上がることが可能になりやすいので、終盤まで楽に生き残ることが出来ます。ただ、最後の裏切りチキンレースはなかなか見極めが必要になりますが。
 プレイヤーキャラとして使いやすいのは詩音で、愛用キャラは鷹野さん。
 仲間で使えないのは何故か誰に対しても仲間の呼びかけをしてしまって止めを刺してくれないケースが目立つ詩音と、こちらの予測できないタイミングでの裏切りが妙に多いレナでしょうか。まだやりこんでいないので暫定的判断ですが。

【お気に入りキャラ:鷹野三四】


お姉ちゃんの3乗 2004,11,18

 何も言えなくなるぐらいの二番煎じな作品でしたが、前作プレイから長い間開いたことでライターさんのノリに懐かしさが私の中で加わったことと、他の人が尻馬に乗ってやるような二番煎じではなく本人さんがそのままということで劣化したものを感じなかったこともあって、楽しめるところは楽しめました。
 システムはNscripterでしたが、パッチを使用しても重くて大変でした。画面切り替えの際はいつも数秒待たされていた感があります。音源はCD音源っぽくて吃驚しました。OPとEDはスキップが利かず、シナリオ追加フラグも最初からプレイということが必須とのことでしたので、地味に辛かったです。
 私の持論の一つに「ギャグが上手い人はシリアスもいいのが書ける」というのがあるのですが……二人目の例外さんかも知れません。目立って悪いとまでは言わなくても、少し困った笑みを浮かべて読んでしまう部分ばかりでした。竹井さんは、違うのかもしれませんが勢いと思いつきだけの頭の回転そのままで文章を作っているように見えるのでギャグがどうしようもない勢いで転がっていく感があり、シリアスモードだとその勢いが完全に消沈してしまうように見えました。ギャグ部分の選択肢なんかまさに思いつきでその場で思いついた先から書いているのでは?と思える部分ですし、前作同様笑えないオマケ部分も勢いの余韻が書かせている代物という気がします。
 エロ方面は一番マシなのが失禁というぐらいのハードプレイなのは前から知っていたこともあってかそれほど引きはしませんでした。ただシナリオさんが前作の評価から「より一層の好き勝手」を考えて書いたのでしたら、今回の評判によって次がどうしてくるのかという興味はあります。一番気に入ったシナリオは……想像以上だったツンデレぶりの立夏シナリオを。
 好きなキャラは、春崎立夏 ≧ 春崎小鴨 ≧ 鎌倉タケル > デビル・デモニラ・デワーリル ≧ 鎌倉夢子 > 有坂未空 > 奈乃菜レモン > 権田原疾風 > 春崎いりあ > 春崎七夏 の順ですが、夢子以下は特にないです。

春崎立夏
 キャラクターはそこそこなのですがツンデレっぷりに圧倒されてしまいました。転生編も他二人よりはまだ良かった気もします。

春崎小鴨
 姉キャラクターの中では一番かもしれません。他が壊れ過ぎてついていけないかもという可能性も十分ありますが。いえ、彼女も無茶苦茶壊れている気もしますが。

鎌倉タケル
 多分今の精神状態限定かつ、このゲーム限定で。シナリオはイマイチで、ボケっぷりなどもそれほどパッとしないのですが、動いているだけで可笑しいと思えるキャラでした。

デビル・デモニラ・デワーリル
 正体があっさり読めるのですが、トゥルーで何のフォローもなく出てきた時は吃驚しました。というか殆どの謎は放置だった気もしますが。

鎌倉夢子
 弄り相手であって対象キャラであって欲しくなかった気も少々。

有坂未空
 前作主人公以上に開き直った設定にされていましたが、それぞれの転生の彼を見ると今の彼は育て方を間違っていたのではないかとか(笑)。

奈乃菜レモン
 SMは愛情表現のひとつだということを示す為に頑張ってくれるお姉さん。ごっつ怖かったです。というか何者なのか割と気になりました。

権田原疾風
 濃いキャラクターが揃ったことで立ち位置が希薄なのは仕方がなく。

春崎いりあ
 あの怒った顔の立ちCGに似合った展開はなかったような。無理だらけの話の中でも彼女のが一番無理度が高かった気もしますが気のせいかも。

春崎七夏
 あの部屋はちょっと。箪笥の中もちょっと。盗聴器もちょっと。タスケテ。

風見甚三郎(長老)
 前回にも増してサブキャラの有象無象が楽しかったです。


アカネマニアックス 流れ星剛田伝説 2004,11,19

 毎月雑誌掲載されていた時、その雑誌を購入した時たまたま最終話だったのでそれだけしかやっていませんでした。別に困りはしなかったのですが。軽くやって軽く笑って軽く楽しめる一作でした。

【お気に入りキャラ:梅田庵努朗】


モエかん -MOEKKO COMPANY- 2004,11,23

 今更何をと言う気もしないでもないですが、今更やったので仕方がないのです。
 CGは根本的な部分に目を瞑れば、気になることはなく。音楽はノイズが走るのが気になりましたが、BGMとしては問題もなく。
 システムはかなり気になります。ムービースキップが出来ないのは個人的にはかなり致命的でした。しかもこれはセミファイナルとファイナルの二回ムービーがあるだけに辛かったです。スキップも遅く、つっかかるケースも多くてこれもやってて大変でした。あと、シナリオ担当同士のフラグ管理もかなり巧くいっていないせいで、そのイベントを見ていないのにそれを前提に会話していたりすることも幾つか。
 シナリオは各シナリオでそれぞれのキャラが行動から目的まで変わってしまう部分と、全体的に隠し部分というか設定だけ存在してゲーム中には出されない部分が多いのに加え、途中でいっぱいいっぱいになっている感がダダ漏れてて、投げ出しはしなかったけど細かいところは勘弁してくださいというような話の結び方が、一応ノベライズと設定資料集を読んでいて知っていた筈なのに改めて向き合うとちょっと辛く。
 主人公の年表がないと理解に苦しみます。漠然と考えただけだと計算が合わなかったもので……。
 全体的にはどのルートも「終盤で台無し」感がかなり強かったです。最後の最後で一気にどれも安っぽくなってしまうのがその前の折角の空気をと思いましたし、エロシーンはシナリオとほぼ完全に独立してて別世界な話ですし、あとオマケに出てくるのはアフターストーリーではなくアナザーストーリーの間違いっぽいですし。
 キャラクターは男女メインサブ含めてほぼ全員良かったです。嫌いなタイプである筈のリニアにも悪感情はいつの間にかなくなっていましたし。
 早い話、モエかすを買ってやれと言われているような気分に。いや、誰に言われているのかわかりませんが。でもマイナーチェンジに近いとも聞いていますし、さて、どうしたものでしょうか。

【お気に入りキャラ:朝霧かずさ】


だぶるまいんど 2004,12,06

 幼い頃の事故で芽生えた性格のルートの方が本来の性格を押し通したルートよりもシナリオとしては俄然真っ当でした。悠ルートに至っては正規のトゥルーエンドにやる気のなさすら疑ってしまいたくなるぐらいに裏性格ルートのついでに作った感が。
 システムはセーブがMAP時のみという2000年以降発売のゲームとしては有り得ない形で難儀しました。音楽は並で、声は及第点でした。ゲームとしてはどっちの性格が主になるかは選択肢で決定し、グラフ表示されていくやり方でWith youとコ・コ・ロ…2を会わせたような印象がありました。あくまで見た目の話ですが。
 事故とその後の環境のせいとは言え、ヘタレというより腑抜けな本来の性格が終始一貫駄目過ぎる状態なので、裏人格の持ち前の信念や新たに得た経験による成長などのドラマ性ばかりが目立ち、そっちばかり印象を強く残しました。一番の傑作は南あきの裏性格ルートでしょうか。ヒロインキャラとして自分の中で好感度が一番低いキャラでしたが、それを忘れるぐらい非常に味があるシナリオは楽しました。ただ他の裏ルートも最後のラストだけが、「だからコイツは裏なんです」と言わんばかりの鬼畜(と言ってもF&Cレベルなので高が知れていますが)に突入させるというその前のヒロインキャラとの攻防に温度差を感じました。ナチュラル2以上に唐突さが気になりました。
 私の中でこれは裏主人公の言動を楽しむ為だけのゲームでした。

【お気に入りキャラ:岩崎雪乃】


Princess Holiday 〜転がるりんご亭千夜一夜〜 2004,12,20

 私とオーガストとの縁はゲームはさっぱり、でもノベライズは全読という微妙に歪んだ形でしたが、漸くゲームをする機会に恵まれました。ノベライズだから端折っているのかと思った部分も割かしそのままで、全体的にあまりシナリオがシナリオしている感はありませんでした。シルフィルートなどはその最もたるものでツッコんだら負けかなと思うぐらいにイロイロとアレでした。エロシーンは描写に深みがない反面、パターンと回数は複数あるので、その方面に関してこれといった不満はありません。シナリオはエロシーンの雰囲気作りであると思えば、1プレイの長さが短く手軽で気楽なのも納得です。TRUEENDはアイディアを出したところで終わっている感がしたものの、このゲームらしい浅さがいいのかもと思いました。ただ何となく全てが「ごっこ遊び」のイメージを払拭できなかったのが残念でした。

【お気に入りキャラ:宰相令嬢(ダンスの相手)】


大空寺危機一髪 フルボイス版 2004,12,21

 エロシーンを主人公が訥々と喋り続けるというのは新鮮というか何と言うか……御免なさい。正直に言うとちょっと聴いてて辛かったです。そのせいでギリギリまで待機して何もしない主人公の行動も辛かったです。というかエロは割りとどうでも良かったので、邪魔に近かったです。笑いに関しては元ネタの主人公の下りが良かったぐらいで他はそこそこ程度で。ネタバレとしてはおまけゲーだから仕方がないのですが、海原雄○な実は……な部分は苦手でした。君が望む永遠のファンアイテムという認識で入るよりも、ageのいつものアレと思ってやるといいかと思います。

【お気に入りキャラ:冨士雄君】


十六夜れんか 2004,12,31

 六ツ星きらりの影響で、千世のゲームに興味を持ったことで購入してやってみました。プレイ順番のせいかラスボス三人衆の一人である但馬さんの好感度が次第に上がっていくステキ仕様でした。整合性や展開への説明の不徹底さを初めとした六ツ星きらりの欠点全てに加えて主人公のしょぼさが目立った分、攻略には苦労するという意外なオチが待っていました。結局攻略を頼ってやり直したのですが、ノーマルエンドなどは最難関だったかも知れません。曲はボーカルを中心にやっぱり良かったですが、終盤の画面を展開させるシーンが逆にちゃちさを感じさせてしまった部分と、声優の実力不足が幾分目立ちました。台詞を読むだけ率が高かったです。シナリオとしては小エピソードで楽しめた反面、終盤への大掛かりな流れは予測しやすく裏切られることもない為興味を引くものはなかったです。特に設定上、便利屋になってしまったヴェーチェルさんにはシエル先輩の称号を与えたいぐらいに都合よく使い倒されてしまいました。それぞれのルートでラスボスの目的が変わるので、対象にならなかったヒロインは途中から出番すらなくなってしまうのが残念でした。

【お気に入りキャラ:佐伯乃眞鳥】



2004プレイゲーム総括 対象 計38本

I’m... 〜心の向こう側に〜
秋風夜空 〜BOY MEETS UFO〜
アパート
INBLEED −爪痕を君に−
ちうがくせいにっし
となりのお兄ちゃん
二階のお姉さん
NETANNAD −ネタナド−
ひぐらしのなくこロワイアル
みよしの

アルルゥとあそぼ!!
お姉ちゃんの3乗
君が望む永遠 special fandisk
Canvas2 〜茜色のパレット〜
CLANNAD
こなたよりかなたまで
沙耶の唄
SHUFFLE!
ショコラ - maid cafe "curio"-
神樹の館
3days −満ちてゆく刻の彼方で−
そらうた
だぶるまいんど
てこいれぷりんせす! 〜僕が見えない君のため〜
PARADISE LOST
ひぐらしのなく頃に
ひなたぼっこ
ぴゅあぴゅあ
Fate/stay night
Forest
ままにょにょ
六ツ星きらり
十六夜れんか
モエかん - MOEKKO COMPANY -
ONE2 〜永遠の約束〜 with VOICE
Princess Holiday 〜転がるりんご亭千夜一夜〜
大空寺危機一髪 フルボイス版
アカネマニアックス 流れ星剛田伝説

音楽方面:『CLANNAD』
OP曲方面:『太陽』【ひなたぼっこ】
ED曲方面:『愛の証』【3days 〜満ちてゆく刻の彼方で〜】
挿入歌・オマケ歌方面:『扉』【ひなたぼっこ】
ストーリー方面:『六ツ星きらり』
世界観方面:『ひなたぼっこ』
熱中度方面:『アルルゥとあそぼ!!』
エロ方面:『六ツ星きらり』
同人・フリーゲー方面:『NETANNAD −ネタナド−』
ヒロインキャラ方面:永澄真奈【そらうた】
主人公キャラ方面:遥彼方【こなたよりかなたまで】
サブキャラ方面:芳野祐介【NETANNAD −ネタナド−】
萌えキャラ方面:朝倉優【こなたよりかなたまで】
年間ゲーム方面:『CLANNAD』
特別方面:『ひぐらしのなく頃に』
コケモモゲー大賞:『SHUFFLE!』
コケモモ主人公方面:『畑中圭一郎』【だぶるまいんど】
コケモモヒロイン方面:『芙蓉楓』【SHUFFLE!】
コケモモサブキャラ方面:『犬伏トモカ』【そらうた】